「GARMIN fenix5」を登山で使ってみたのでデータ解析してみる

tabing.hatenablog.com

久しぶりに清水寺の舞台からムーンサルトプレスを決めて買った『GARMIN fenix5』を、大山登山で使ってみたので、ランニングも混ぜてレビューしてみる。

 

 

GARMIN fenix5外観

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fenix5は本体サイズ47mm、重量は87gとなっている。

ランニングに腕につけておくには少し大きいかと思ったが、実際使ったところそこまで気にはならなかった。

 

 

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・・・が、登山中にはこの厚さ(15.5mm)がかなり邪魔だった

写真の通り、ボールペンよりも太いので、バックパックを背負う際に当たってしまうことがある。

 

ほぼ同スペックの軽量版である「fenix5s」や、ランニング専用モデルの「ForeAthlete 935」はもう少し軽くて薄いが、そのため稼働時間は短くなっている。

重さ・厚さを取るか、稼働時間を取るか、でモデルを選ぶのが良いと思う。

 

 

Garmin Connectとの連携がすごい

www.garmin.co.jp

アクティビティ中の詳細なデータを取ることがfenix5の仕事である。

詳細なデータがわんさか取れるので、記録の確認・解析はもちろん、モチベーションの向上など、様々なメリットが有る。

 

データはfenix5本体でも確認は可能だが、ウェアラブルウォッチはスマートフォンやパソコンと連携してこそ真価を発揮する。

上記リンクの『Garmin Connect』(無料)で記録やGPS情報を簡単にスマートフォンなどと連携できる。スマートフォンや自宅Wi-Fiと連携すれば、自動で解析データをアップロードしてくれるので、とても楽だ。

では、実際に鳥取県の大山登山をした情報を見てみよう。

※以下はパソコン上での情報です。

 

 

fenix5で登山記録を振り返る

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大山登山の登りの記録。

小屋泊だったので水を大量に持ち上げ、しかも気温30℃というハードな山行であったが、果たしてデータは如何に?

 

まずは距離や時間、平均速度など。※休憩時間に停止するのを忘れていたため、少し余分がある。

利用時はアクティビティから登山を選び決定ボタンを押すだけ。

あとは勝手に計測が始まる。

GPSといえばGARMINだが、奥まった登山口でも1分かからずに正確な位置を指したのにはびっくりした。

ちなみに遮蔽物の無い場所なら数秒で捕捉可能だ。ちょっと怖い。

fenix5シリーズは、ABCセンサー機能(高度計、気圧計、コンパス)があるため、GPS機能のみの機種より高度計測には強い。

 

 

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GPSはさすがの感度で、ちょっと寄り道して写真を撮ったりしたのも記録されている。

 

 

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情報の詳細。これを帰宅してゆっくりビールでも飲みながら見るのが楽しい。

 

標高

大山は独立峰なので、けっこうな傾斜の階段が延々と続く。

なので標高は右肩上がりとなっている。

 

速度

GPSマップ上で確認できるため、場所ごとの詳細データも確認可能。

速度を見れば、「ああ、あの急登のところか」なんて思い出せる。

それにしても後半足が止まってるなあ。

 

心拍数

fenix5には光学式心拍計が付いており、これが購入の決め手になった機能でもある。

心拍数を確認することで、運動強度を把握できる。そのため、「ランニングでは乳酸のたまらない運動強度(最大心拍の70%程度)で走る」やペースの上げすぎなども確認できるので高度な心拍トレーニングも可能だ。

登山でも、不要な疲労を避けるためにも、心拍を確認することで目で見て対処することが可能になるため、負担の少ないペース配分ができる。

そして上記のデータをご覧の通り、序盤からほぼMAXの運動強度となっている。ダメだなあ~

 

気温

酷暑の中、10kg近い装備というのもあり、運動強度が上がった原因ともなっている。

一応頂上は1700mあるんだけど・・・とにかく暑かった。

 

 

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平均心拍数が146bqm、有酸素運動が5点満点中4.7と、僕にとってはかなりきつい運動であったようだ。

もちろん、次回行ったときにデータを比べることができるので、このデータを超えるよう練習する励みにもなる。

 

 

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ダイエットをしている人にはありがたい消費カロリー記録。

水曜、木曜は登山前なので特に運動をしなかったこともあるが、この消費カロリー差には体もびっくりしたことだろう。

登山をする人は、特に泊りがけの縦走の場合、必要摂取カロリー量の目安にもなる。

 

 

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一日のデータの確認もできる。

睡眠やストレスなど、運動以外のデータも取得している。

大山登頂日は、過酷な運動であったためか、ストレスレベルが高い。

 

 

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ちなみにこちらは普段の仕事をしている日のストレス。

労働嫌いの僕にとって、仕事とは大山に登るくらいハードらしい。

大山登山はストレス感じないけど。

 

 

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ちなみにランニングのデータはこちら。GPS地図は近所を走ったため割愛しました。

ランニングの場合、ピッチ数など登山とは違ったデータも計測してくれている。

別売りの「ランニングダイナミクスポッド」や「ハートレートセンサー」があれば、フォームの左右差や乳酸値まで計測可能となるので、フォーム修正なども可能。トレーナーが要らなくなる時代が到来です。

 

 

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こちらは睡眠データ。

遺伝性寝相最悪症の娘と寝ているためか、眠りが浅いようです。

 

 

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VO2 MAXとは、運動中に摂取可能な酸素の最大量を数値化したもの。

なんとご覧の通りの大山登山の体たらくぶりでも、30代では上位20%に入るらしい。

これを元にフルマラソンの予想タイムを出してくれるのだが、なんと3時間半とかなのでかなり過大評価してくれているようだ。

 

 

まとめ

とにかくfenix5は登山を最高に楽しくしてくれる相棒であるということは断言できる。

これが長期縦走であったらもっとおもしろい?データが取れるだろう。

また長期縦走に向けてのトレーニングも、これでずいぶん楽しくなる。特にランニングは詳細なデータが出るので、ただタイムを測るよりは数倍モチベーションも上がる。

もう少し体力を上げて、運動強度70%で長時間走ることができたら、トレイルランニングも夢じゃない。

金無い時間無いアクセス悪いの三重苦登山愛好家としては、短時間で一気に縦走できるトレイルランニングは是非ともやってみたいところではある。

そしていつか「Trans Japan Alps Race」に出るんだ!そしてそこで野垂れ死ぬのが夢です。

 

つい最近新機種であるplusシリースが出ました。

当分安くはならないのと、そこまで機能に変化がなかったので、だいぶ安いfenix5も現役であると思います。

 

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登山にもランニングにも使えるGPSウォッチの選び方

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三十路を過ぎ、久しぶりに友人と登山に向かったところ、開始20分でダースベイダーのような呼吸をしてしまうくらいの疲労に見舞われた僕です。

これではいかんとランニングを始めたところ、タイムは女子中学生くらいではあるが、非常に快活に生活できるようになった。

これは「GO WILD 野生の体を取り戻せ! 」に影響されたのは言うまでもないが、とにかく今まで登山しかしてこなったのを悔いるくらい体調が良い。

最近はGPSを利用したり心拍数を計測することで、ランニングや登山の記録を管理し、より良い記録やペース配分などへのアドバイスや、モチベーションアップに利用している人が多いと聞く。

特にGPS機能は、昔からの登山趣味家にとっては憧れの存在であった。それが腕時計についているなんて!

だが、この手の腕時計は種類が大変多く、なおかつ僕のように『登山にもランニングにも使いたい』というワガママコスパ厨には数を絞るだけでも大変な目にあった。

今回は、そんなGPSウォッチの選び方を調べてみた。

 

 

登山とランニング=二兎追う者は一兎も得ず?

まず、どのような機能が必要かというのをリストアップすることから始めたほうが良い

なぜならこの手のウォッチは、目的に特化して作られているものが多いからだ。

ここでは、登山・ランニング別に特化する機能を挙げてみる。

 

 

登山時計として欲しい機能

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・防水堅牢

これは一番大切だ。登山というスポーツは、突如雨に襲われたり、岩場をよじ登ったりと、普通の生活環境ではないところで行うからだ。だからこそ面白いのだが。

 

・GPS

道に迷うことで命の危険にも繋がるのが登山。特に人気のない山、不明瞭な登山道、雪山を歩く場合は、地図読み能力が非常に大切だ。

が、登山ガイドですら道を間違えることがあるくらい、ルートファインディングとは難しい技術。

正確なGPSがあれば、遭難リスクを大幅に減少させることができる。

 

・ABC機能(高度計、気圧計、コンパス)

GPSだけでなく、このABC機能もあれば、現在地の把握はより正確になる。またバッテリーに負荷をかけるGPSを常時使うよりは、「手持ちの地図とABC機能を使いながら、自信がないときにGPSを利用」といったような使い方もできる。

あと気圧計は、急な天候変化などの予兆を捕らえることができるので、3000m級の縦走などあまり逃げ場がないときは早めの判断材料になる。

 

・長時間バッテリー

せっかく多機能でも、電池が切れて使えない、予備バッテリーが必要なんてことになるとあまり意味がなくなってしまう。

さすがにスマホや腕時計サイズのバッテリーになると、現在の技術をもってしてもそこまで長期間利用することは難しい。

だが種類によっては、2,3日程度ならGPS機能を使えるような大容量バッテリーを持つ腕時計もある。

 

 

ランニング時計として欲しい機能

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・防水軽量

ランニングは腕をたくさん振るので、あまり重くなると腕の遠位部につける腕時計は軽量なものが良い。

防水は登山と同様、急な天候悪化にも対応できる能力が求められる。

 

・心拍センサー

心拍数を測る意味は、「運動強度」を把握するためだ。

運動強度を知ることで、自分の目的にあった負荷量でトレーニングができる。

心拍数の視覚化は、適度な負荷で効率よくトレーニングする際に必要となる。

 

www.epson.jp

詳しくはエプソンのサイトがわかりやすい。

筋力や瞬発力向上のトレーニングならば、運動強度を高くする。持久力を鍛えるなら最大心拍の70%程度にする。

 

また心拍センサーは、腕時計に付いているタイプと、胸ベルトを付けるタイプがある。

使い勝手が良いのは腕時計タイプ、より正確性を高めたいなら胸ベルトタイプを選ぶ。が、胸ベルトは付けるのが面倒なのと、締め付ける感じが嫌いな人も多い。

 

・GPS

登山のようなルート確認としての利用も大事であるが、高機能なGPSウォッチの場合、トレーニング後にGPSから得た走行地図情報の上に心拍数やピッチ数などのデータを重ねて表示できるものもある。

 

・タイマー機能

ランニングの場合、ラップタイムやインターバル走用のタイマーが必要になる。

また走行時間や距離を振動や音で伝える機能もあり、多様なトレーニングに合わせて利用できる。

 

 

以上が登山・ランニング用時計に欲しい機能。

ほとんど同じような機能のようだが、求められる機能のレベルとそのために捨てるポイント(例えば重量やバッテリーの持ち時間)が極端に違う項目もあり、これが二兎追う者は一兎も得ず状態の原因でもある。

 

 

 

登山にもランニングにも使えるGPSウォッチとは?

では、題名の通り『登山にもランニングにも使えるGPSウォッチ』となればどうであろう?

これが非常に難しい。

GPSウォッチは星の数ほどあるので、とにかく登山・ランニング両方で十分使えるモデルを調べてみた。

 

各メーカーのGPSウォッチを2週間ばかり調べまくった結果、

・登山特化モデル/ランニング特化モデルは種類や価格帯が多く選びやすい。

・登山とランニング共に特化したモデルはフラッグシップモデルしかない。

という結論となった。

「登山特化モデル」や「ランニング特化モデル」のようにある程度機能範囲を絞った商品は、安価なモデルから高機能モデルまで種類が多く選択しやすい。

しかし、その両方の特化機能を合わせた商品は、各メーカーが誇る最高機種であるフラッグシップモデルしかない・・・という結論に達した。

 

よって『登山にもランニングにも使えるGPSウォッチ』は、『ランニングウォッチ+登山用機能=フラッグシップモデル』であり、機能・価格共に最高ランクとなっている。

 

これは登山特化モデルに、ランニングウォッチのように心拍センサーが付き、なおかつあらゆるスポーツでも使える題名の通りの最高製品。

登山でも心拍センサーを利用することで、極端な疲労を回避できる歩行ペースを知ることができる。また下山後にデータ解析することで、ペース配分等の指標を得ることができるので、トレイルランニング利用者を中心に、登山でも心拍センサーを利用する人が増えている。

 

これらを価格帯別に並べると、

ランニング特化<登山特化<ランニング用フラッグシップモデル<メーカーフラッグシップモデルとなる。

基本的にこの手の趣味をしている人間は、基本的に常時金欠状態であろうから、この中で自分に合った最高コスパの製品を選ばなくではならない。

例えば、登山とランニングを両方する人でも、登山の比重が高ければ、登山特価モデルでも良いかもしれない。また日帰り登山やトレイルランニングが主体であれば、バッテリーの持ち時間はさほど重要ではないので、フラッグシップモデルの軽量版で良いだろう。

だが果ては、ウルトラマラソンや長期縦走を計画している人は、初めからフラッグシップモデルを購入したほうが費用対効果は高い。

 

 

目的別おすすめGPSウォッチ

以上、GPSウォッチの選び方を書いてみた。

ここからは、ランニング特化<登山特化<ランニング用フラッグシップモデル<メーカーフラッグシップモデル別各種モデルを挙げてみる。

登山とランニングのどちらに比重を置くかにより価格が大きく変わっていくので、自分の目的と利用方法をよく吟味した上で選ぶ指標にしていただきたい。

※GARMIN製品だらけになっているが、これは口コミ・レビュー共に最良で、GPS精度最強を誇るメーカーであるため。

 

ランニング特化モデル 

ランニング特化モデルは、1~3万円の製品が多い。

最近のランニングウォッチ売れ筋はGARMINのForeAthleteシリーズ。

中でもForeAthlete 235Jは長期間売れ筋ランキング上位にあり、スマートウォッチに本腰を入れたGARMINの「本気」が見れる機能が散りばめられている。

GPS、心拍センサーはもちろん、VO2Max(最大酸素摂取量)まで測れて3万円しない。

ランニング特化モデルは、EPSONやSUUNTOも有名だが、その他にも心拍センサー機能がある非常に安いモデルも多い。

トレランやマラソンがメインで、登山は稀に日帰り登山程度であれば、コスパ良く価格が安いこのモデルが良いだろう。 

 

 

登山特化モデル

登山特化モデルは、3~5万円の製品が多い。GPS機能がなければ1万円からある。

登山時計といえば、やはり「CASIOのPROTREKシリーズ

かく言う僕も10年余り「 PRW-1300」を愛用している。ABC機能とタフソーラーを持ち、山や世界旅行でガンガン使ったが、全く壊れる気配がない。

そんなPROTREKが待望のGPSウォッチを世に出した。前述の登山時計に欲しい機能を網羅しているだけでなく、オフラインでも地図が使えるすぐれ物。

登山に特化した時計であれば、SUUNTOの「AMBIT3」も人気だ。スント製品はタウンユースできるくらいデザインも素晴らしい。

 

登山メインで、ランニング等で心拍センサーによるデータが不必要なら、登山特化モデルが良い。

登山メインであれば、ABC機能は必須であるし、登山道に合わせた高性能なGPSを最優先しよう。

最近は予め登山地図をダウンロードしてオフラインでも利用できる機能が増えてきている。これがあれば、道迷いによる遭難リスクを腕時計一つで対応できる。

 

 

ランニング用フラッグシップモデル

ランニング用のフラッグシップモデルは3~5万円の製品が多い。

ランニング用のフラッグシップモデルとなれば、例えばGARMINの場合、ランニングダイナミクスという優れた機能がある。

これは、ランニング時の上下動、接地時間、左右接地時間バランス、ストライド、ピッチ数を計測することで、フォームの改善に使えるデータが取得できる機能だ。

安価モデルには無い機能で、別売りの心拍センサーベルトを利用すれば、乳酸閾値などの計測までできるようになる。

ランニングモデルであるため、材質が軽量でフラッグシップモデルよりかなり軽く扱いやすい。そして値段も幾分安い。その分、値段の割にチープに見えるので、普段使いや会社に付けていくのは難しいという意見もある。

だが、その他機能も各メーカーのフラッグシップモデルにかなり近いため、トレイルランニング等で軽量さを求めるのであればこのモデルが良いだろう※ABC機能が無い製品が多いので注意。

またメーカーフラッグシップモデルの機能をほぼ利用できるにもかかわらず、1~2万円ほど安い。

EPSON WristableGPS U-350BSもお忘れなく。

 

 

メーカーフラッグシップモデル

各メーカーが鎬を削る本気モデル。価格は6~10万円、それ以上の物もある。

あらゆる状況やスポーツに対応した盛りだくさんの機能で、ほとんどの人が使い切れていないといわれている。

トライアスロンやウルトラマラソン、長期縦走といったハードなスポーツでも耐えきれる性能と長時間バッテリーを持つ。

GARMINのFENIX5シリーズは、 先程のランニング用フラッグシップモデル「ForeAthlete 935」にABC機能と頑丈なサファイアガラスを付けたモデルで、登山のようなハードなアクティビティでも十分対応できるモデルだ。

重量は重くなるが、その分耐久性と視認性が向上している。モデルによっては、バッテリーの持ち時間も長くなっている。

GARMIN fenix5xともなれば、予め地図がダウンロードされており、ルートナビ機能までついている。その分値段は9万円と、ちょっと登山にもっていくのは躊躇するレベル。つい最近、fenix 5 Plusという音楽が聴けてお金の支払まで出来ちゃう最早スマホでいいじゃんという製品まで生まれている。

SUUNTOのフラッグシップモデルであるスパルタン ウルトラ HRも、ルートナビ機能や80種のスポーツモードがあり、こちらもデザインが良いので人気だ。

 

フラッグシップモデルを買っておけば、あらゆる機能が備わっており、最近はネット上でスマホのように機能を更新できるモデルも有る。

安い買い物ではないが、「大は小を兼ねる」と思えばそこまで高い買い物でもないと思う。

 

番外:超コスパモデルと裏技

play.google.com

最近はスマートフォンアプリのGPS地図機能がかなり向上しており、登山などでも十分使えるレベルになっている。

 

play.google.com

これはランニングも然り。

ということは、極論としてGPS機能をスマホアプリに丸投げしてしまえば、そんなに高機能なウォッチは必要ないということになる

心拍センサーだけであれば、中国製なら3000円くらいから買えるモデルもあるので、本当に安く済ませてある程度データも欲しいという人は、

『登山用GPSアプリ+低価格心拍センサー』を併用すれば、非常にコスパ良く揃えられる。

 

これは、登山やランニング特化モデルと併用でも使える

「登山GPSウォッチ+低価格心拍センサー」や「スマホGPSアプリ+ランニング特化モデル」のように、ほとんどの人が持っているであろうスマートフォンと併用すれば良い。

デメリットとしては、スマホを持ち歩かなければならないことだろう。またGPSウォッチと違い、スマホはGPS機能を利用するとバッテリーを激しく消費する事と、GPS精度がいまいちという点がある。

 

 

 

結論

「登山とランニングの二兎を追う」のであれば、フラッグシップモデルが一番最終的なコスパは良いと思う。

また将来的にトライアスロンやウルトラマラソン、ロードバイクなんかにも手を伸ばしそうという人は、フラッグシップモデルならどこへフラフラしようと対応できるポテンシャルを持つ。

余程軽量モデルが良いという人以外なら、フラッグシップモデルを買えばまず間違いない。使いこなせるかどうかは別として。

だがフラッグシップモデルは5~9万円もする高価なお買い物だ。

 

財布や奥様と相談して、どうしても価格を抑えたいのであれば、中途半端な二兎追いモデルではなく、特化モデル+スマホアプリが良いと思う。

特にGPS機能はスマホアプリでもある程度の精度で利用できるが、心拍センサーはアプリではどうしようもないので、そちらを優先するほうが良いだろう

POLAR H10心拍センサーのように、心拍センサーをスマホと連携させて使う製品もある。

 

移り気な僕は、このような微妙なラインでの買い物が尽く失敗しており、いつも「安物買いの銭失い」となっている。

趣味の道具というのは、結局の所フラッグシップモデルに流されていくようにできている。コンデジから始まって、入門デジタル一眼、気づけばフルサイズ機、なんかLeicaも欲しい・・・とか、まあそんな「いつかはクラウン症候群」に陥ってしまう。

だが、それが趣味なのだよ諸君!

ということで、

 

 これ買いました!

 

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レビューはこちら↑

 

 

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中国山地の登山

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登山を趣味とする者にとって憧れの地といえば、日本アルプスであることは言うまでもない。なんと言っても森林限界を超えた岩稜の連なりの圧倒的なスケールは、一度体感すると病みつきになってしまう。

3000m近くの稜線上を縦走し、テントや小屋に泊まりながら、雄大な自然にどっぷり浸りながら歩くことができる。

そんな日本アルプスは中部地方にある。というか名高い山々は、ほとんど東日本にある。

世に蔓延る「百名山」なる登山趣味家にとっての指標を見ても東日本だけで88山、2000m以上の山の西端は石川県の白山である。

何が言いたいか・・・それは西日本は森林限界以上を縦走する雄大な登山はできないということだ。

 

いやいや、名峰石槌山を擁する四国や、大火山連なる九州の山々があるではないか!と地元愛あふれる愛好家もいるであろう。

そのどちらも行ったことある僕ではあるが、たしかに九州の火山岩塊の中を歩きテント泊までできる九重なんかは素晴らしい。

じゃあ、何が言いたいか?

それは僕が住む中国地方の『登山趣味者、不毛の地』ぶりである。

 

 

 

中国山地データ

東西に長く、東はおよそ市川・円山川(いずれも兵庫県)付近から、西は響灘海岸(山口県西岸)までの約500kmに及ぶ。

氷ノ山(標高1,510m)を除くと高い山でも標高約1,300m~1,000m程度、その他はおおむね標高約500m~200m程度の比較的低い山で構成されている。

全般的に風化しやすい花崗岩が多く、侵食を受けて小起伏の多い準平原地形を呈している。

Wikipedia様にも書かれている通り、高くても1000m前後の山々が吐き気を催すくらい延々とウネウネしている。

「中国山地も良いところがある」「100名山だけが山ではない」という人もいるが、中国山地では登山者憧れのテント泊での大縦走は実質できない。

まず、テント場がない。中国山地は基本的に日帰り登山中心である。キャンプ場なら登山口周辺にある。だがそれはキャンプ場である。なので稜線上でテント泊や、何泊にも及ぶ大縦走はできない。

もちろん最近話題の闇テントはできないこともないが、僕はテント場以外のテント泊が法律的にグレーゾーンであるという認識である。

しかも、山小屋も殆ど無い。水場がないところのほうが圧倒的に多い。というか、登山道が死んでいる場合が多い

あと熊さんがいっぱい。

 

ということで、中国人(中国地方人)はテント泊縦走をするには、近隣では九州か四国、あとは数少ない休みをやりくりして日本アルプスに向かうしか無い。

だが、中国地方人の交通インフラの悪さはこれまた日本トップクラスだ。

・・・とこんな運命を呪ったところで山には登れない。

では、まず『なぜ中国山地は低いのか?』を知らなければなるまい。

 

 

 

なぜ中国山地は低い山がウネウネしているのか?

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頂上に立ってもこんな見晴らし。

悲しいけど、これが中国山地の登山なのだよ!

 

中国山地の大雑把な成り立ち

中国山地というか日本列島の地形の誕生は、かつて日本列島がユーラシア大陸の一部であった時代に遡る。

2000万年前にプレートの運動によって大陸の縁に亀裂が入り、日本海の原型が誕生。

その後、日本海が拡大し、現在の西日本と東日本が分かれた状態でこれまたプレートの運動で太平洋側へ引き剥がされ、1500万年前に現在の位置に達した。

その後、現在の丹沢や伊豆半島が南の島からやってきて衝突し、プレートの運動も手伝って隆起が起こり、現在の日本列島となった。

この西日本と東日本、そして伊豆半島はすべてプレートの運動によって運ばれた。

ユーラシアプレートに北米プレートとフィリピン海プレートが押される地点、フォッサマグナ(糸魚川・静岡構造線)の西側にある土地が押し上げられ、現在の日本アルプスができたわけだ。

これは大地の皺のようなものである。

世界の高い山脈もほとんどがこのプレート同士の衝突によるもので、かのヒマラヤ山脈はアフリカ近辺にあったインド大陸が長い旅を経てユーラシア大陸に衝突し、盛り上がったのがヒマラヤ山脈でありエベレストだ。その証拠にエベレストではアンモナイトの化石なんかも見れてしまう。欧州のアルプス山脈も同様の造山運動によって誕生した。

要するに、標高の高い山脈とはプレートとプレートの衝突によって誕生する。

 

え?じゃあ中国山地は?

中国山地はもともと大陸の縁にあった部分(付加体)で、前述のように大陸より引き剥がされ、何度か海中に沈降と隆起を繰り返して現在の位置に辿り着いた。※日本海のジオパークはこれである。

南海プレートなどからも遠いため、隆起スピードは遅く、なおかつ花崗岩が多い地質のため風化や河川などによる侵食スピードが早い。

ちなみに花崗岩が多いため上質な砂鉄が取れるので、山陰山陽地方は「たたら製鉄」で有名であった。

だが、僕は鉄は作らない。

 

古い地形=準平原

侵食スピードが早いだけならまだしも、中国山地は日本アルプスなどの地域に比べずっと古い。

準平原地形とは、簡単にいうと侵食されすぎて起伏の少ない平原のようになってしまった古い地形(4500万年前)である。

これは地形輪廻という説で、河川の侵食により地形が変化して行く過程をいう。

ちょうど人間の成長のように生まれたての原地形から、現在の日本アルプスのように切り立った谷や尖った尾根を持つ壮年期を経て、最終段階である準平原に行き着く。

実際は地殻変動の影響もあり、そんなに単純ではないが中国山地はがっつり準平原と指摘されている。ややこしいが隆起準平原でもあり、脊梁部から階段状の地形→1200m前後を頂点に、800m前後、400m前後というような起伏の少ないなだらかな山が延々と連なっている。

 

ちなみに火山はある

中国山地が誇る唯一の百名山である「大山」は火山である。

他にも富士山のような成層火山(円錐形の火山)の三瓶山(1,126 m)がある。

これはこれで素晴らしい山なのだが、標高の低い火山は『テント泊できない』のである。水場もないしね。

 

 

ということで、中国山地が低くてのっぺりしてていたたまれない理由は、

①大陸からベリッと剥がれて、流されて、現在地に辿り着いただけ

②プレートから離れており、隆起活動の低い地域

③古い地形のため、侵食されすぎて平原のようになってしまった

なのである。

日本アルプスの雄大な景観は、プレートの衝突により押し上げられ、氷河が作る芸術に飾られ、なおかつ脂の乗った壮年期というRIZAPみたいなコミット感のある意識高いし標高も高い系の山の持つ美しさである。

中国山地は結果にコミットできていないのか?

中国山地は日本アルプスに勝てないのか?

否、中国山地にも武器がある。

 

参考図書

日本列島100万年史 大地に刻まれた壮大な物語 (ブルーバックス)

日本列島100万年史 大地に刻まれた壮大な物語 (ブルーバックス)

 

日本列島の成り立ちは、この本が一番わかり易い。

最近、ブラタモリのおかげなのかブルーバックスの地質学の本が立て続けに出ており、文系の僕でも非常にわかりやすくて良い。

他にも「山はどうしてできるのか」「図解・プレートテクトニクス入門 」がおすすめ。

自分の住んでいる地域や、好きな山のことが知りたいなら一読あれ。

 

 

中国山地登山の楽しみ方

そんな森林限界信者の僕であったが、いつの間にか中国山地を這い回る山男になっていた幼馴染と中国山地を散策することで、中国山地にしかない楽しみ方というのを学んだのである。

 

①ブナ林

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登山者なら知っているだろうが、ブナ林はとにかく美しい。

新緑の季節は、淡い緑の光の中を歩くことができる。ブナ林は豊かで、豊富な果実や山菜や美しい沢があり、そこに集まる多様な生物(もちろん熊も)も含めた生態系を作り出している。

またブナ林は常緑樹林より明るく見通しが良いし、柔らかい腐葉土が天然のダム効果となり地面がフカフカしているので、まさしく登山向け林でもある。ちなみに管理されていない登山道は笹まみれになるので、雄大かつドMな笹漕ぎも楽しめる。

ブナの木は「橅」と書くように、近代まであまり使い途のない木であった。ブナは重く、腐りやすい性質で、杉などと違い曲がりやすく加工しづらい。

そんなブナだが、戦後の植林政策やパルプの材料などに利用され、その多くが姿を消してしまった。ついで花粉症が国民病になった原因もこれ。

 

そもそも日本人は縄文時代、ブナの森が作る生態系で繁栄していた。

前述したとおり、ブナ林は非常に自然豊かだ。木の実や山菜の採集・獣や魚の狩猟により、縄文人は生きていた。なので、縄文時代中期の温暖な縄文海進(現在より数m海面が高かった)の時代は、ブナ林の多かった東日本のほうが西日本より遥かに人口も多く縄文文化も発展していた。

その後、寒冷化や西日本での稲作文化の浸透により、東日本の縄文人は減少していったが、マタギのように近年まで人々はブナ林と共存してきた。

 

そんなブナの原生林が中国山地には残されている

中国山地のブナは1000m前後の多雪地域にある。しかも日本海岸型気候帯に分布するブナークロモジ群集であり、斜面に広がるブナの巨木が織りなす原生林は他の地域でもあまり見れないんじゃないかと思う。

太平洋側のブナ林と違い、多雪地域である日本海側ブナ林は、ブナの大木が多く辺り一面ブナまみれな純林を作っている。雪に強いブナの木の勢力が強いためだ。そのため、白いブナ林と笹に覆われた林を形成している。

 

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そんなブナ林の写真を撮ってきました。

 

参考図書

ブナの森を楽しむ (岩波新書)

ブナの森を楽しむ (岩波新書)

 

庭にブナを植えるくらいの相当なブナ・フェチ先生が書かれたブナ本。

ブナが作る生態系がわかりやすく書かれているので、今まで注目しなかったポイントも楽しめる登山ができます。

 

 

②静寂

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ハイシーズンの土日であっても、そう混雑することはない。平日やピーク時間以外なら尚更である。日本アルプスに見られる数珠つなぎのカラフルな登山服の渋滞は、まず見ることはない。

もちろん人がいない分、登山道は分かりにくく、野生動物に出会う確率も高いのでリスクは有る。

西中国山地最高峰の恐羅漢山周辺は多様なルートが有り縦走も可能となっている。だが道が笹で覆われていたり、獣道になっていたり、水場が消えて無くなっていたりなどなど、日本アルプスにあるようなわかりやすいルートではなく難易度は高い。

やろうと思えば数十キロに及ぶ大縦走もできなくはないが、山小屋等での補給無し、水場に乏しく、テント場存在せず、という上級コースでもある。今度やってみようと現在計画中。

逆に言えば、本来の登山に近い体験ができる。標高が低く、近隣まで人家があるため、もしもの時も助かりやすくはあるが、急な沢筋もあるため油断は禁物。

兎にも角にも、静寂のブナ林を歩くのはこれ以上無い体験である。珍しい野鳥もいるので鳥の鳴き声やキツツキが木を突く音、ブナ林を駆け抜ける風音などなど、五感でも楽しめる。

 

 

③トレイルランニングに最適

恐羅漢山周辺はルートを選べばトレイルランニングには最適な地域でもある。

第3回ひろしま恐羅漢トレイル in 安芸太田 | 3rd Hiroshima Osorakan Trail

大会前には登山道の整備を行っており、走りやすいブナ林の登山道や、広い林道が多い。

僕はそんな体力がないのでまだ挑戦していないが、トレラン練習用の山として利用されている。

 

 

④もののけ姫の舞台のモデル

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宮崎駿監督の「もののけ姫」の舞台は中国山地といわれている。

中国山地は花崗岩が多く、砂鉄がよく取れる。そのため、古代より「たたら製鉄」が盛んな地域であった。

たたら製鉄は、山を崩し、川で岩や砂を洗い砂鉄を集積する。そして大量の薪を使って火を起こし鉄を作る。この過程で、もののけ姫に見られた環境破壊を起こした。

大量の土砂の流出で出雲地域の平野が形成されたともあり、また近代までは森林伐採による「毛無山」がたくさん見られたという。

要するに、人間による環境破壊が古代より行われた地域でもある。映画における人間とモロ一族やイノシシたちの戦いは、製鉄のために自然を破壊する人間と自然を守るために立ち上がった獣たちの戦い、生存権を賭けた戦いである。

そこに人間であり獣に育てられたサンを主人公に据えるあたりが宮崎駿監督なのだ。

 

 

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この写真なんか、モロが座ってそうにも見えない・・・かな?

さすがにシシ神の森のような古代林はないが、写真のような「男鹿和雄」っぽい風景が見られる。

帝釈峡や三段峡といった奇景や急峻な滝が多く、絶景穴場は数多い。非常にアクセスが悪い地域だが、写真好きにはたまらないロケーションが数多い。

 

 

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そんな景色を撮ってきました。

 

 

 

 

まとめ「中国山地登山は楽しい」

百名山や標高の高さだけが山ではない。

かといって開き直ってお国自慢するのも山ではない。

山とは手が届きそうで遠いところにあるものであり、ピークを越えたらさらに高いピークがあってゲンナリするのも山なのである。

中国山地はたしかに槍ヶ岳のような魅力的な山はないが、ブナ林や野鳥や草花など、この地域でしか見られない景色がある。

ということで、今回はあまり情報がない中国山地の楽しみ方を書いてみました。

どこかおすすめありましたら教えてください。

 

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