「サピエンス異変」を読んで現代生活のヤバさを知る
要約すると、「現代人を苦しめる肥満、糖尿病、腰痛、近眼、歯痛などなどは、全て現代の生活・・・特にデスクワークによる座りすぎが原因」であり、このブログでおなじみの『人間=狩猟採集生活に適した生き物説』にピッタリの内容だ。
結局のところ、「サピエンス全史」でもあったように我々人間はマンモスを追いかけ、木の実や果物を拾い集め、日が昇ったら起きて日が沈めば眠る生活に適合するようにポンと生まれる。
だが、生まれてみたら世界は一変していた。
学校教育では45分黙って硬い椅子に座り続けることが求められ、スマートフォンやパソコンを使いこなし、満員電車で通勤し、仕事に時間を拘束された生活を送っている。
食べ物はとても改善した。いつでもどこでも24時間カネさえ払えば何でも食べることができる。だが炭水化物多めの柔らかい添加物まみれの食べ物は、いくら喰っても本来の満足感はなく、かわりに異常な糖質の摂取により内蔵が制御不能となり肥満や糖尿病になる。
これでイカれないのが不思議だ。というのが僕の信ずるところでもある。勝間和代もびっくりしたことは言うまでもない。
座り過ぎや栄養の偏りによる弊害という現代のミスマッチ病に対して、どう対処すればよいのかを要約して書いてみたいと思う。
狩猟採集生活時代の生活に近づけるためには
現代人を苦しめる病の総称は『ミスマッチ病』である。
狩猟採集生活に適応した脳や体は、本質的に現代生活には合わない。
なので狩猟採集生活に近づけることが単純明快な解決方法である。
実際に野山を駆け巡り狩猟採集生活をしようものなら、それが本質的な生き方であるにもかかわらず現代では不可能に近いが、本書に書かれている解決方法をまとめてみる。
とにかく歩け!
初期人類は一日8~14km歩いたという。
人類は二足歩行で歩くことにより進化した(※詳細はこちらから)
現代人はほとんど歩かず、長時間座りっぱなしになっている。
そのため背骨と大腿骨を繋ぐ腸腰筋という太い筋肉が短縮し、骨盤が前傾してしまう。
骨盤が前傾すると重心を戻すために背中が曲がり慢性的な腰痛を発症する。
この腰痛は薬や手術をしても意味はない。身体の土台が崩れているのだから、水道管が壊れているのに必死で床を拭いているようなものだ。
トレーニングはいろいろあるが、一番効率が良いのは「早歩き」だ。
早歩きをすることで、腸腰筋や大殿筋という二足歩行や姿勢を維持する筋肉が鍛えられ、骨や靭帯に刺激がいき骨密度などを高めてくれる。
特に椎間板の健全性を高めてくれるのがポイントだ。筋肉と違って代謝が遅い骨や関節は、適度な刺激を与え続けることで骨密度等が強くなり、血流が促されることで衝撃にも強くなる。
なので軽めの有酸素運動を長時間することがベストだ。
歩行の場合は、目安として一日1万歩といわれている。これはもちろん初期人類の一日8~14km歩いていたからだ。1万歩なら7kmはあるので、現代人の目安としてはちょうどよい。
ちなみにウエイトトレーニングは荷重が強すぎ、水泳や自転車は骨密度を上げるような刺激はない。が、しないよりはマシ。
そこでおすすめはトレイルランニング。
他の本でも一番人間に適した運動としてあげられている。
不整地の地面を走ることは脳や足に適しており、自然の中を走ることは最高のマインドフルネスだ。まさしく狩猟採集生活にタイムスリップなのだ。
もちろん強度のランニングは、膝などの関節に負担は強い。
一番理想的なのは、山の中を走ったり歩いたりするインターバルトレーニングだろう。これなら筋肉と心肺機能を効率良く鍛えられる。
だが早歩きだけをすれば腰痛が治るとは限らない。
腰痛は腸腰筋や椎間関節だけでなく、全身状態は影響しているからだ。運動やストレッチは効果的だが、長時間座り続ける生活をどうにかしなければならない。
座りっぱなし生活をやめよう!
本来人間の座り方というのは、俗にいう「うんこ座り・ヤンキー座り」らしい。
椅子に座って作業するのが一般化されたのは、産業革命以後たった数百年である。
これを裏付けるのは、おしりを触ってみると良い(注:自分のケツにしましょう)
手や足の裏のように荷重のかかる部位は「淡明層」と呼ばれる摩擦に強い特殊な層でできている。踵がザラザラするあれね。
でもおしりは違う。本来座る生き物であったなら、おしりも淡明層になっているはずだ。
そんな人類は、デスクワークという拷問にあえいでいる。
長時間座る場合、正しい座り方なんてものはない。なぜなら人間は本来長時間座らないからだ。
長時間座ると、前述の筋肉が短縮するだけでなく、全身が弱くなり、身体の動かし方がおかしくなってしまう。血流も低下するため、糖尿病や心臓病のリスクも高い。
実験では、長時間座っている人のテロメア(染色体を守る保護キャップ)が短くなるという結果もある。また長時間座る仕事をしていた人は、引退後老人ホームに入る割合がそうでない人に比べ40%高い。
著者は運動や食生活以上に大切な腰痛対策とは、「週40時間から50時間も一箇所にいなければならないような仕事には就かないこと」と述べている。
そんな事も言ってられないので、他には立ち机を利用する等の対策もあるが、日本人には結構厳しい?
だが一番効果的なのは、軽度で長時間の全身運動と座りっぱなし環境を辞めることだ。
ベアフットシューズを履こう!
「走ることが大嫌いな僕がランニングを始めるきっかけになった本」の中で紹介した『BORN TO RUN』という本で書かれていた内容と全く同じ。
現代人はランニングシューズのおかげで快適に走れるようになった。靴底の高密度で柔らかいクッションのおかげで衝撃を感じなくなったからだ。
しかし、そのせいで本来の足の動きが制限されている。
著者曰く「ランニングシューズ=ギプス固定」
本来人間の足は弓のようなアーチがあり、曲げる/伸ばす以外にも回旋ができる3次元の関節構造を持っている。
しかしランニングシューズはこの動きを制限し、本来の筋肉や関節の動きを阻害してしまい、扁平足を量産している。
詳細はリンクに書いてあるのでどうぞ。
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対策としては裸足で歩くことが一番なのだが、それでは完全狂人扱いなのでベアフットシューズがオススメ。
靴底(アウトソール)が薄くてできるだけ平らなものが良い。
「ビブラム ファイブフィンガーズ」のような5本指タイプが一番良いが、日常使いはなかなか難しいデザイン。
ベアフットシューズで歩けば、ふくらはぎがすぐ筋肉痛になるだろう。
そして普段、シューズによってどれだけ足が甘やかされているか知ることになる。
僕もベアフットシューズでいきなり8km走って一週間まともに動けなくなった。
ベアフットシューズを履けば、足の3次元の動きをすべて実施でき、体重移動をスムーズに行うことができる。なのでランニングフォームの改善にも役立てる。
まあ、こればかりは体験しないとわからないだろう。かなり驚きます。
肥満にならない生活習慣を!
肥満は万病の元だが、現代生活では避けがたい病気になってしまっている。
現代は狩猟採集生活ではありえないくらい簡単に食べ物が手に入る。
狩猟採集時代の人類は、繰り返される寒冷化により人口が世界で1万人になるまで激減したことがある。その原因は間違いなく飢餓だ。
しかし今は飢餓で死ぬことは稀で、食べ過ぎによって人は死んでいく。
狩猟採集生活に適応した人間は、食べ物の誘惑に弱い。
しかし現代の高カロリーで砂糖まみれの食べ物に身体は適応していない。狩猟採集時代の人間が一年で食べる量の砂糖を、現代人は一日で摂取している。
内臓が対処できないのは当然で、糖尿病患者が増え続けている。
肥満の原因は一口には言えないが、現在新たな問題が指摘されている。
現代の食物は、一昔前と比べると全く別物になっているのだ。
例えば人参は、サイズがかなり大きくなっているが栄養素が大きく偏ってしまった。
これは二酸化炭素の増加や品種改良など様々な要因があるが、現代の食物はカロリーだけがやたら多くなりその他の栄養素は減っている。
なので、この偏った栄養の食べ物を腹いっぱい食べても、ミネラルなどのその他必要な栄養素が摂取できていないと更に食べたくなってしまう。これはマウス実験でも立証されている。
対策としては、腸内フローラの改善だ。
腸内細菌が人間の脳と情報をやり取りしており食欲などを操っているという説が最近話題(仕組みの全貌はわかっていない)
なので肥満対策として腸内フローラ改善はかなり効果的だという。
生の野菜や果物、アブラナ科の野菜(ブロッコリー、ケール、キャベツなど)、発酵食品が良い。
またカルシウムも骨だけでなく、腸内フローラに良いとのこと。
肥満対策としては、その他にも加工食品や添加物を避ける、上述のウォーキングなどの運動が挙げられている。
う~ん至ってシンプルかつそれができれば太らないよという感想が多そう。
日光を浴びよ!
日光にあたりすぎは良くないが、全く日光にさらされないのは有害だ。
骨を強くするビタミンDの摂取は日光からである。
現代人は、学生時代から社会人に至るまで、極力陽の光が当たらない空間に押し込められる。
まとめ
「人間=狩猟採集生活に適応している説」を色んな角度から攻めて現代病を斬るスタイルで非常に面白い本だった。
また外国人のこういった本によくある話が脇道にそれまくる問題(ジャレド・ダイアモンド、スティーブン・ピンカーなど)がほとんどないので読みやすかった。
だが現代病の原因が現代社会の生活にあるのは重々わかったが、その対策については至ってシンプルの極み。
まあ僕は個人的に運動もしているし仕事柄けっこう歩くのでまだマシだが、普通の生活をしている人にはかなり難しいだろう。
筆者も述べている通り、農耕定住生活が始まった頃からすでこの兆候が現れており、現代まで延々と苦しんできたことでもある。
なので人間本来の営みを考えると、現代ではそんな生活を送っている人ほぼ絶滅しているといえるだろう。
食生活や運動習慣は何とかなるかもしれないが、仕事や学校で急に立ち上がって走り回ったりすれば社会不適合者扱いだ。
現代への適応が人間本来の生活への反逆となってしまっているところが、現代人の悲劇かもしれない。
おすすめリンク
つうことで山に行こうぜ!
狩猟採集生活疑似体験に一番良いのはトレイルランニングなのはまちがいない!
山においでよ!
エアロプレス+ステンレスフィルター+インヴァート方式で濃厚コーヒーを淹れてみた
前回記事でエアロプレスのペーパーを使った抽出方法を紹介しましたが、奥が深いエアロプレスの世界はまだまだこんなもんじゃありません。
今回は、ペーパーではなくステンレスフィルターを使い、インヴァート(倒立)方式でエスプレッソ風濃厚コーヒーを淹れてみました。
スタンダードとインヴァートの違い
スタンダード方式は、説明書に書いてあるメーカー推奨の抽出方法です。
スタンダード方式の詳細な抽出方法は、前回の記事で書いていますので参照ください。
インヴァート方式とは、エアロプレス世界大会の優勝者も行っている抽出方法で、簡単にいうとブランジャーを逆さまにして最後にキャップを締めてプレスする別名倒立方式。
インヴァートとは、「逆にする、反対にする、転倒させる」という意味なのでそのままですえ。
このインヴァート方式が人気で、世界大会や有名店でもこの抽出方法が使われていることが多いです。
なぜインヴァート方式が人気かというと、スタンダード方式には弱点があるからです。
スタンダード方式では、粉を入れたブランジャーに湯を注ぎ撹拌している間、ポタポタと湯が漏れてしまうという弱点があります。
※前回記事の「④湯を注ぎ、蒸らし・混ぜる」を参照
そのため、蒸らしが不十分になったり、コーヒーが少し薄くなってしまいます。
インヴァート方式は、ブランジャーを逆さまにすることで、この弱点を克服しているんです。
では、実際にインヴァート方式の抽出方法を見てみましょう。
インヴァート方式の抽出方法
セッティングや事前の準備は、前回の記事と同じです。
・湯の温度を計測
今回はエスプレッソのような濃厚な味が出したいので、93℃くらいにしました。
・豆の量を図り、「中挽き」に挽く
豆は20g、中挽きより少し細かめ。ナイスカットミル目盛り③にしました。
豆を挽いた後、茶漉しを使って余分なカスを取り除いておくと尚良し。
①キャップにフィルターをセットしておく
今回は『AeroPress用DISKコーヒーフィルターFINEタイプ』というステンレスフィルターを使いました。
詳細は後述します。
キャップにフィルターをセットし、湯で洗っておきます。
②ブランジャーにチャンバーを差し込む
さあここからがインヴァート方式の醍醐味です。
チャンバーをしっかりとブランジャーに差し込み、スタンダード方式とは逆に倒立させます。
チャンバーのゴム部分がしっかりと差し込まれていることを確認してください。
少しでも隙間があったり、差し込みが浅すぎると、コーヒーが漏れてしまい大惨事になります。
しかしあまり差し込みすぎると、今度は湯があまり入らなくなるので注意が必要です。
いろいろなインヴァート方式のセッティングを調べましたが、写真のようにチャンバーのゴム部分が全て収まっているくらいが丁度良いようです。
③湯を注ぐ
粉を入れたら平らにします。
最初は少し不安でしたが、しっかりゴム部分が入っていれば漏れることはありません。
茶漉しを使わないと、写真の薄茶色のカス(豆の皮や微粉)が残ります。
無駄な雑味に繋がるので、面倒くさがり屋でなければ取り除いておいたほうが良いでしょう。
僕は気にしませんが(笑)
93℃の湯を100ml入れて、パドルで5回ほど撹拌し、1分蒸らします。
さらに100ml追加投入。
200ml入れれば結構ギリギリになります。
写真はブランジャー目一杯に湯を注いだ状態。
蒸らしや撹拌中に湯が落ちないので、落ち着いてできますね。
④キャップを締めて、ひっくり返す
ステンレスフィルターを入れたキャップを締めます。
ペットボトルの蓋の要領です。
ここからがポイント。
本体をひっくり返して、サーバーorマグカップに立てます。
ここでスタンダード方式に戻すわけです。
ひっくり返すときに、当然ですがキャップ部分からコーヒーが漏れてしまうので、マグカップを近付けながら「ひょい!」とひっくり返すのがコツです。
⑤押すべし!!!
あとは押すべし!
押す時間でも味が変わります。
今回は40秒でかけてプレスしました。
ペーパーでやるよりは、力がいりますね。
15秒くらいで一気にプレスすると、エスプレッソのような濃厚でオイリーになります。
手で押すのではなく、体重をかけるのがポイント。
コーヒーサーバーより、分厚いマグカップの方が安心感があって良いですね。
⑥完成
味はステンレスフィルターの影響ももちろんありますが、スタンダード方式より濃厚です。
フレンチプレスのようなオイル感もしっかり出ています。
手軽に濃厚コーヒーが淹れられるのは、エアロプレス最大の強みですね。
キャンプでエアロプレスコーヒーを淹れてみた(インヴァード式)
動画も撮ってみましたので、よろしければご覧ください。
続いては、ステンレスフィルターについて詳細レビューしてみます。
ステンレスフィルターのレビュー
able社の『AeroPress用DISKコーヒーフィルターFINEタイプ』を購入しました。
able社といえば、『ABLE KONE コーヒーフィルター』でも有名な、コーヒー用具のサードパーティ商品を作っているアメリカのメーカーです。
そう、うちにあるKONEと同じです。
ステンレスフィルターは、ペーパーのゴミを出さず、半永久的に使えるので非常にエコなアイテムです。
able製品は、商品はシンプルですがパッケージや説明書がデザインよくてカッコいいですね。
さすがAppleを生んだUSAメーカーです。
ableステンレスフィルターの種類
ableのステンレスフィルターはSTANDARDとFINEの2種類あります。
STANDARDは厚めで穴が大きいです。
僕が買ったのはFINEタイプで、本体は非常に薄く、写真のように小さな穴が無数に空いています。
FINEの方が穴が小さいので圧力が増加します。
そのためエスプレッソのような濃厚な味が出せるようになります。
STANDARDとFINEの違いは、この圧力の差があります。
STANDARDは厚めなので手軽に使いやすいためペーパーの代用として、FINEは濃厚な味が好きな人向けです。
圧力を高めるために、この2枚を同時にセットする強者もいるようです。
ステンレスフィルターの掃除
抽出後にキャップを外すとこんな感じになっています。
ステンレスフィルターの弱点は、掃除の手間が増えることです。
ペーパーだとこのまま捨てれましたが、ステンレスフィルターを取らなければなりません。
左上がステンレスフィルター。
割とべったり粉が付いてしまいます。
キャップのまま少し水をつければきれいに取れることもあるようです。
付着した粉を指でこするときれいに取れます。
使用後に長時間放置せず、乾ききる前に掃除すれば問題はなさそうです。
もしこびりついたり、穴に粉が詰まっていても、湯につけて歯ブラシなどで洗えばきれいになります。
そこはステンレス製の良いところですね。
FINEタイプは非常に薄く、少し力を加えると歪みます。
強度を心配する声もありますが、ステンレス製ですし、かなりぞんざいに扱わなければ問題ないと思います。
ですが、薄くて鋭利なので小さな子どもさんには触らせないほうが良いでしょう。
ステンレスフィルターのメリット・デメリット
メリット
・フレンチプレスのようなオイルを抽出できる
・圧力を高めることができるので、エスプレッソ風コーヒーも可能
・ペーパーのようなゴミが出ず、半永久的に使うことができる
デメリット
・片付けの手間が増える
・微粉が漏れてしまう
ステンレスフィルターはエアロプレスの特性を高めるアイテム
ステンレスフィルターを使うことで、圧力が高まり、ペーパーによるオイルの吸収がないので、フレンチプレスやエスプレッソに近い濃厚な味が出せます。
しかしペーパーより片付けに手間がかかり、微粉が漏れ出てしまうのでザラっとすることがあります。
総評としては、エアロプレスの最大の利点である「手間を掛けずに濃厚なコーヒーが作れる」というコンセプトが合う人には、ステンレスフィルターを追加することでその点を最大化することができます。
そのため、ステンレスフィルター+エアロプレスであれば深煎りのコーヒー豆がおすすめです。
個人的にはコクのあるマンデリンとの相性が良いと思いました。
エアロプレスは豆の品種によって抽出方法を変えて調整することもできるので、コーヒーライフが広がる素晴らしいアイテムだと思います。
豆の品種はよくわからない方は、『加藤珈琲店 電撃の珈琲福袋[Qコロ・Qエチオピア・ラス]』のようなシングルオリジンの豆が数種類を選べる、しかも格安な商品がおすすめです。
おすすめコーヒー記事リンク
こちらはエアロプレス本体のレビューとスタンダード方式での抽出方法を書いています。
エアロプレスはアウトドアにも最適です。
ステンレスフィルターは片付けに手間がかかるので、アウトドアでの利用はペーパーの方が良いでしょう。ペーパーならそのままゴミ袋に押し出せば済むので。
入店ハードルが高すぎな東京のスペシャリティコーヒー店巡りもしました。
エアロプレスでアウトドアコーヒーに革命を!
↑このアウトドアコーヒーの記事が大変人気でして、誠にありがたいです。
今回は、そんなアウトドアコーヒー道具に新加入した『エアロプレス コーヒーメーカー』を紹介してみようと思います。
軽くて、簡単で、何だか楽しいコーヒー抽出方法になってますので、おそらくアウトドア好きにはたまらないかと。
※先に「実際の抽出方法」や「アウトドアでの使用についての考察」をご覧になりたい方は、目次よりジャンプしてください
エアロプレスとは?
この注射器のような、理科の実験で使ったことがあるようなアイテムが、「エアロプレス コーヒーメーカー」です。
このナイスなUSAデザインの箱は、フリスビーの会社が作ったという異色の生まれを具現化したようですね。
パーツがたくさんありますが、抽出方法自体は簡単です。
すべてプラスチック製なので、見た目より軽量で屋外使用も対応できます。
左上より、チャンバー+プランジャー、粉を入れるときに使う漏斗、豆・粉用スプーンと撹拌用のパドル、ペーパーケース。
下段はペーパーとキャップです。日本語説明書も入っています。
サイズは、一番大きな写真左上のブランジャーとチャンバーをセットした状態で長さ134mm/幅104mm程度となっています。
エアロプレスの抽出方法
エアロプレスは、抽出方法、豆の量や蒸らす時間、かき混ぜる回数や抽出時間によって複雑に味が変わるので、抽出方法に厳密な正解はありません。
豆の種類や出したい香り・味によって、抽出方法の最適解を探し出すちょっとマニアックで奥が深いのがエアロプレスです。
マニアックな感じが、アウトドア好きにも相性が良いと思いますけどね。
それでは、まずメーカー推奨の抽出方法を行ってみました。
①お湯の温度を計測する
エアロプレスは、お湯の温度を厳密に計測して使うことが推奨されています。
その温度も、メーカー推奨の80℃から93℃説まで多様にありますが、要するに豆や自分の好みに合わせて温度を調整することが重要です。
そこまでこだわらなくても十分おいしく抽出できますが、「毎回同じ味を出す」「狙った香りや味を出す」ような目的がある人は、温度計測は必須です。
ということで、買っちゃいました。
両製品ともにレビューが良い定番商品ですが、エアロプレスにはぜひセットで使いたいアイテムです。
後述しますが、エアロプレスのチャンバーに湯を注ぐことになるので、細口でゆっくり湯を出せるヴォーノのようなコーヒー専用ケトルがあると幸せになれます。
ああ、どんどんコーヒー沼にハマっていく・・・
今回は80℃でやってみましょう。
②豆を「中挽き」に挽く
今回は普通のブレンド豆を用意。
17gでやってみます。豆の種類や好みの味に合わせて豆の量を調整します。
僕の場合、濃い目の味が好きなので200ml=20g前後くらいがちょうどよいです。
「HARIO V60 ドリップ スケール」で豆と時間を計測しています。
今回はお家カフェの強い味方「Kalita ナイスカットミル」で目盛り4の中挽きにします。
エアロプレスにかかわらず、美味しいコーヒーを自宅で飲みたいのであれば、やはりコーヒーミルは必須アイテムです。
挽きたてを使うと、香りがぜんぜん違います。
僕は自宅では電動コーヒーミルであるナイスカットミルを、アウトドアでは手挽きコーヒーミルを使っています。
③チャンバーをセットし、粉を入れる
ペーパーを写真左のキャップに設置し、お湯をかけておきます。
お湯をかけることで、ペーパーの匂いなどを取り除き、キャップに張り付くようにします。
ペーパーを入れたキャップを、チャンバー下に装着します。
ペットボトルの蓋の要領で回せば、カチッとはまります。
セットしたチャンバーの下に、押しても割れないようなコーヒーメーカーやマグカップを置けば用意完了です!
挽いた豆をチャンバーに入れます。
漏斗はなくても良いです。
④湯を注ぎ、蒸らし・混ぜる
お湯を注ぎます。
今回は最初にゆっくり100ml注ぎます。
パドルで10秒ほどゆっくり混ぜ、30秒ほど蒸らします。
そのあと、さらに120ml注ぎ1~2回パドルで混ぜます。
この手順も、豆や味に合わせて調整します。
⑤押すべし!
あとは押すべし!
本来両手でやりますが、一眼フルサイズカメラを片手に、ジョジョ立ちでやっております。
エアロプレスは一人で撮影しながらやるもんじゃない(笑)
片手なのでグラグラしてますが、空気の層がコーヒー粉を下へ下へ押し込んでいます。
まさに注射器でキャップに溜まったコーヒー粉の層に、お湯を圧力かけて押し込んでいくイメージです。
けっこう力がいりますが、体重をかければ女性でも簡単だと思います。
なんせジョジョ立ち片手でも何とかできてますからね。
20秒かけてゆっくり押し込みます。この秒数も調整してみると、味が変わってくるので奥深いです。
ブシャー!と出るイメージでしたが、ポタポタっとした感じなのでご安心を。
⑥完成
完成まで慣れれば2~3分くらいです。
色は(同じ豆で行った)ペーパードリップに比べると、若干薄いような気がします。
エスプレッソのように濃い目に淹れて、この段階で湯を足すことも可能です。
3~4人分ならば、豆の量を増やし、あとで湯で割ったほうが良いでしょう。
味は・・・ペーパードリップと違う!
ペーパードリップよりコクが有り、酸味や香りが増したように思います。
それでいてフレンチプレスのようなオイル感も少しありますね。
アウトドアでエスプレッソのような濃厚な味を求めて設計されているようなので、まさにそのとおりのコーヒーになりました。
おすすめの豆の品種は、好みの問題ですが、まず大事なのは「エアロプレスは豆の個性出やすい」ということです。
フレンチプレスのように湯に粉を浸して撹拌し、さらに圧力をかけて抽出するため、豆本来の個性が強烈に出ます。
ペーパーがオイルを吸うためクリアな味になりやすいペーパードリップとは対極です。
なので、低品質や新鮮でない豆を使うと雑味が出てしまいます。
できるだけ新鮮で、味の変化を楽しみたいのであれば、加藤珈琲店の「極限 の 珈琲 セット」のようなシングルオリジンが数種類セットでしかも安い商品がおすすめだと思います。
いろいろな品種を試しながら自分の好きな豆を見つけ、さらに抽出方法を研究して最高の一杯を目指すというのもエアロプレスの楽しみ方だと思います。
⑦片付け
抽出後キャップを外すと、こんな感じに。
そのままポーンと捨てれば、ほとんど汚れません。
チャンバー内も、デカい僕の手がなんとか入るので普通のスポンジで洗えます。これ意外に大事ですよね。
忙しい時は水で濯ぐ程度でもきれいになります。
ここがエアロプレスの良いところで、片付けがペーパードリップの次に楽ちんです。
個人的にフレンチプレスが好きなのですが、とにかくフレンチプレスは片付けが面倒です。
エアロプレスは、フレンチプレスのような味が出せ、しかも片付けが楽で手間いらずというのが素晴らしいですね。
追記『エアロプレスのインヴァート方式もやってみました』
この記事で紹介したスタンダード方式とは違うインヴァート方式もおすすめです。
キャンプでエアロプレスコーヒーを淹れてみた(インヴァード式)
エアロプレスのメリット・デメリット
メリット
・簡単な抽出方法でフレンチプレスやエスプレッソのような味が出せる
・抽出方法が無限大なので奥深く、自分に最適なコーヒーが生み出せる
・軽量で持ち出しやすい
・後片付けが楽ちん
デメリット
・豆の個性が出やすいので、良質な豆を使うのが望ましい
・抽出時の押し込みに多少力がいる
・大人数向けではない
以上のように、割と癖があるが、コンセプトにハマる人には最高のアイテムだと思います。
抽出方法も、湯の温度、蒸らし時間、撹拌する回数、プレスする時間などなど、各工程を少しでも変えればすぐに味や香りに反映される。
豆の違いや狙った味・香りが引き出せるオリジナルな方程式が生み出せれば、コーヒーライフがもっと幸せになれるでしょう。
僕も目下勉強中ですが、なかなか難しいけども楽しくやっています。ジョジョ立ち一眼レフ片手持ち撮影のせいで腰を痛めましたが。
アウトドアでエアロプレスは使えるか?
エアロプレスは、フリスビー会社が開発したので、始めからアウトドア的なコンセプトだったようです。
たしかにアウトドアでエスプレッソを飲もうとすると、圧力が必要なので重い器具のものが多いです。
エアロプレスはその点ですべて持ち込んでも500gは切りますし、最低限に絞れば更に軽量化できます。
Able Brewing グリップ トラベルキャップ for AeroPress Coffee & Espresso Maker
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- メディア: ホーム&キッチン
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しかも一番大きなチャンバーとブランジャーはスタッキングも可能です。
社外品ですが、この「トラベルキャップ」を使えば豆をチャンバー内に入れて持ち運べます。
最低限必要なのは、
エアロプレス本体:チャンバー+ブランジャー+キャップ+ペーパー
その他:バーナーセット、コーヒーミル、頑丈なマグ、パドルの代わりになるスプーン
アウトドア趣味の人なら、上記リンクのような最低限装備は持っていると思うので、エアロプレスはすぐにキャンプや登山でも使えると思います。
難点を言えば、「嵩張ること」と「使用後の持ち運び」でしょうか。
サイズは、冒頭でも述べたとおりブランジャーとチャンバーをセットした状態で長さ134mm/幅104mm程度となっていますので、多少嵩張ります。
ここは軽量化しやすいペーパードリップ用のドリッパーにはさすがに負けますね。
使用後は濡れているので乾かすか、濡れたままビニールなどに入れることになると思います。登山の場合は、少し面倒・邪魔かもしれません。
やはり最軽量のペーパードリップには持ち運びやメンテナンスでは勝てませんが、パーコレーターやフレンチプレスよりははるかにアウトドア向きだと思います。
まとめ
以上、エアロプレスの紹介でした。
最近糞寒いのでめっきりインドア派になっていますが、暖かくなれば登山にキャンプにトレイルランニングに行きたい・・・と布団の中で念じています。
エアロプレスは味云々より、単純に抽出するのが面白いですね。2歳の娘がキャッキャ言いながら見てましたし。
今年はどこかの山の頂上でエアロプレスで淹れたコーヒーを飲みたいものです。ああ寒い。
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