神とピエロとSkypeと

1月19日

 

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あまりの熟睡で気分はもう戦争である。注)大友克洋

サンフェルナンド館は朝飯が出る。これぞ良い宿の条件だ。

パンとコーヒーをいただく。

 

 

 

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カテドラル

初地下鉄と決め込む。かなりの決心だ。なぜなら地下鉄こそ犯罪の温床。梅雨時のキノコのようにうようよいるらしい。

乗り方は至って簡単。窓口で5ペソ払って切符を手に入れ、改札に通す。切符は戻らないので注意。どこに乗ればよいかは係員がたくさんいるので聞いてみる。みな優しい。

行き先の駅名さえ覚えておけば地下鉄マップを見ればすぐに分かる。ホームは自分が乗る方向の終点駅名が書いてあるのでほとんど日本と同じだ。

メキシコの地下鉄は発進停車が日本では小事故レベルの衝撃なのでしっかり体を支えておかないと嫁さんのようにふっ飛ばされることになるので注意が必要だ。

ソカロ駅の一つ前まで。ここは旧市街で統治時代から続くハイカラな建物が居並ぶ。

ここで一眼カメラの電池が切れていたことに気づいたので、ここからは嫁さんのカメラで撮ることになってしまった。

 

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カテドラルは一言で言うならば「ドッカーン!!」だ。スリムでドッカーンぐらいのドッカーンだと想像して頂いて良いと思う。

日本人はあまり荘厳すぎるものは好まない。恐らく信長公の安土城ぐらいではないか。

金閣寺にしても東大寺にしてもド派手すぎることはない。自己主張はあくまでも神様側にあるように思う。

しかしそこは一神教キリスト教。とにかく派手で装飾だらけで神々しい。巨大なドームの中に入れば天井は遥か遠く、淡い光がマリア像をこれまた神々しく包み込む。

純日本人には演出が濃すぎると感じるが、ちょうどミサをやっていたので参加してみると、その儀式的な祈りをこんな荘厳な場所で行うのだから、「神様降りてくるんじゃね?」と感じさせられてしまう。

 

このカテドラル。スペイン人がアステカ・マヤ文明を滅ぼしたあと、その宮殿の真上に作られた。スペインの侵略は信仰を大義名分にしているので、異教徒の聖地など真っ先にぶち壊すものなのだ。マッカーサーが皇居をぶち壊してその上にマッカーサーランドを建てるぐらいの話・・・だと思う。

原住民の聖地の上に立つカテドラルでメキシコ人が熱心に祈りを捧げている様はなぜか悲しいところもあった。

 

 

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国立宮殿

カテドラルのすぐ近くに横にだだっ広い国立宮殿がある。

入場無料でリベラのメキシコの歴史を描いた大作壁画&マヤ文明展が見られるなんて、なんて太っ腹なのだアミーゴ。

リベラの壁画はまさにこれを見ただけれメキシコの歴史が感情的にわかってしまうという強烈なメッセージが練り込められた大作だ。

ケツァルカトルやピラミッドの時代のメキシコ人、乱入するスペイン人に殺されるメキシコ人、異教徒として焼かれるメキシコ人、革命を燃え上がらせるメキシコ人が歴史を語っている。

マヤ文明展も意外に充実しており、翡翠のお面やマヤ文字などの遺跡がたくさん見られたが予備知識をもっと入れておけばよかったと少し後悔する。

 

 

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テンプルマヨール

先程述べた聖地の残骸ともいえる遺跡がカテドラルのすぐ裏にある。

巨大なピラミッドがあったらしいがその面影は殆ど無い。むしろこんな巨大なピラミッドを壊すほうがすごい労力だったろう。

遺跡の奥に博物館があり、こちらもマヤ文明の遺跡が多く展示してあった。

メキシコとの交流というところで有田焼の展示があったが、地図上で東京の場所にARITAと書いてあった。まあいいか。

 

 

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一度宿に戻り辺りを散策していると、公園横の銀行や高級ホテルが立ち並ぶストリートに大道芸人やミュージシャンがたくさんいるところに出くわした。そこら中で人の塊がある。

ちょこちょこ顔を出しながら歩いていると、高級ホテルの一角で泣きべそのピエロがマシンガンのようにまくしたて観客を爆笑の渦中にどっぷり浸からせていた。

ピエロは僕らを見つけるとすぐ嫁さんを強引に引っ張っていった。

「どこからきたんだい?」

「日本です。」

「スペイン語はできるかい?」

「全然できないんです。」

こう言い放つとピエロは待ってましたとニヤリと笑った。

そこからは僕達がスペイン語がわからないことをいいことに、恐らくだが過激な下ネタトークをガトリングのようにまくし立てる。

観客は大爆笑。僕らは言われることに何となく頷いたりするだけだった。

結局、嫁さんは両ほっぺにキス(マウス・トゥ・マウスは阻止した)をされてから開放となった。もらった風船のプードル(初めは男性の象徴にされていた)は小さな女の子にあげた。

異国の地でこんなステージにあげられるなんてびっくりだが、僕らのお陰でけっこう儲かってたみたいだし良かった良かった。

 

 

意外に三時間以上も滞在してしまい、午後の時間が微妙になったので2時位からゆっくりすることに。

まだまだ身体も本調子ではなく、インドで15時間夜行バス×2を耐えぬいた僕もまだまだ旅モード全開ではないようだ。旅モードはトラベラーズ・ハイともいえる超人現象だ。飲まず食わす下痢まみれでも夜行バスやトレッキングもできてしまう。これを履き違えてインドで限界突破してしまったので今回は無茶はしないつもりだ。

 

 

 

チーズ入りタコスを喰らい満足感に浸っているもここからが今日の本番であった。

先日の記事通り、アメリカ入国時のドタバタで予約しなければならなかった日本への直行便のキャンセルをすることに。

声を大にして(ワギャンランドぐらい派手に)言いたいのだが、このご時世にもかかわらずキャンセルは電話のみという武骨なやり方なのだ。

シンガポール航空でまずキャンセルの電話をして、その後ANAにキャンセルしたことを伝えて手数料を引いた額を返金してもらわなければならない。

なぜ電話なのか!今日カテドラルで見たような気がした神様に僕は問うた!

 

仕方なく宿のご主人に電話を貸していただくも、「カスタマーセンターにおつなげします。もうしばらくお待ち下さい。」という無機質な声の一点張り。

これでは迷惑をかけてしまうので色々思案したところ、Skypeでとっちめてやることに。

返金額はデカすぎるので少々カネがかかっても致し方無いと涙ぐんでいたが、なんとSkype様、1ヶ月無料なんていう素晴らしすぎるニュートンもびっくりのニーチェも笑っちゃうくらいの大大大サービスがあるではないか。(Skype同士なら常に無料です)

 

今日だけはSkype教の熱烈な信者になり、帰ったら10人にはゲッペルスなみに褒めちぎって宣伝でもしてやろうと思いながらログイン!

ここからが死闘であった。

まずつながらない。まったくもってつながらない。あの電子音が耳を切り裂く。

シンガポール航空は30分以上かけて何とかつながったがWIFIの波で聞き取りづらく非常に難渋するもやっとこさキャンセル。

あとはANAだがこちらはまったく融通がきかず同じことを何度も聞かれた。こちらがSkypeなのにもかかわらず電話をかけ直すと何度も聞いてくるし、メールではダメだというしでお互いお手上げ状態。何度か説明してこちらから10分後に掛け直すようようやく収集したが、掛け直すと担当の人に代わってと言ってもまた一から説明しろと言ってくる。

すべては身から出た錆なので仕方がない。結局返金は2,3ヶ月後、さらに返金額がただしいかまた電話してくれと言われた。メールではダメらしい。

高い国際電話で何度も待たされては貧乏旅行者は金がいくらあっても足りない。せめて簡単なことはメールにしてくれたら助かるのだがなかなかそうはいかないらしい。

 

今回は教訓は

・事前調べは徹底的に行うべし!

・インターネットに過信するべからず!