標高3000mの町ワラスは買い物天国
1月24日
ワラスには朝の7時に着いた。
車窓は高地らしくどこまでも広がる草原と白き山々が見える。
外にでると若干の息苦しさと清々しい空気が張り詰めていた。
6000mを越える山が町を囲むようにそびえ立ち、すぐそばまで迫ってきているかのようだ。
白い雪飛沫を風と共に流すワスカランが見下ろす町では、インディヘナの女性たちがせっせと朝市の準備をしている。
群がるタクシー客引きを少しずつ離していきながら、アンデスの人々の暮らしを感じながら颯爽と・・・なんか野犬だらけではないか。しかもデカイ。そこら中で寝ている。
以前インドで明らかに狂犬病のよだれ犬ギャングに囲まれてからというもの、海外の野犬がかなり怖いのだ。
しかし高地だからか至っておとなしい。すごく汚いけどおとなしい犬ばかりだ。でも道の真中でウンコするのだけはやめてほしい。
目指す宿はEL TAMBO
ワラス情報を調べていたら、やたら高評価だったので行ってみることに。
しかしこの宿。非常に場所がわかりにくい。宿の道を写真入りで教えてくれているありがたすぎるブログ様のおかげで何とか辿り着くことができた。
町の西側にあるスタジアム前の横道に入っていくと門があるので声をかけてみよう。
1人10ソル。400円いかない。どこの部屋でも同じらしい。
着いて早々ママさんのワラスレクチャーが始まる。
地図をくれて安い市場や危ない場所など細かく教えてくれた。
さらにコカ茶をくれたのだ。
コカ茶はあのコカインの原料のコカの葉で作る。
JAPANでは輸入すらできない。現地の人は葉っぱのまま食べたりしているらしい。
安全だとわかっていながらも頭に浮かぶのは小学生の時に見せられた「ダメ、ゼッタイ」のあのポスター。
味は桑茶みたいな感じ。不味くはない。
飲んで数分経つと心無しか頭痛がしてくる。ただの葉っぱだがプラセボ効果抜群だ。
高山病対策として水分をたくさん摂取しておしっこをたくさん出すというのがある。コカ茶は利尿作用があるため、どんどん飲むべきものなのだ。
※普通に飲むくらいなら依存性はありません。
ママさんに聞いた市場へ向かう。
EL TAMBOは自炊可能なので、今日はいろいろ作ってみることに。
明後日からトレッキングに向かうのでどのようなものが作れるかの予行練習でもある。
市場に向かう途中に、インディヘナおば様たちの路上市場があった。
たくさんの野菜や果物が200mほど続いており、カラフルな道が出来上がっていた。
値段がおどろくほど安い。
でかいマンゴーが30円。じゃがいもなんて1㎏100円もしない。
ピーマンやブドウ、トマト、玉ねぎ、バナナ、みたことがない果物・・・なんでもある。
ここでは嫁さんが買い物に張り切る。急に金持ちになった気分だから買い物が楽しくて仕方ない。
メルカド(市場)に向かう。こちらは屋内。
いきなり肉屋ゾーンで面を食らう。アジアでもそうだったが、もちろんパック詰めなどなく皆様御開帳なのだ。
首が圧し曲がった鶏、トロンとした目で遠くを見る羊の頭、臓物を全部おっぴろげているネズミ、今まさに真っ二つにされていく豚、自分よりも大きい牛の後ろ足を背負って歩く子供、そして通路でオコボレを食らう野良犬。
正直なところ食欲は失せる。豚足が可愛く見える。蝿が独特の匂いにつられて狂喜乱舞している。
本当はステーキでもしようかと二人で計画していたが、急遽牛の細切れ肉にした。火がよく通るように。
そのあと調味料やコーヒーも買い揃えた。
なんとこれで1000円いかない。ありがたやありがたや。
町の中心カテドラルのすぐそばのインフォメーションへ。
町の地図とトレッキング情報を聞き、そこから2ブロック南にある国立公園の管理局に向かい通行許可証を買う。
高地順応のためトレッキングは明後日なので、今日と明日は準備でできるだけ歩くことにした。
昼間になると日が強くなるがまだまだ寒い。さらに雨季なので日本の山同様、昼過ぎから雲行きが怪しくなり、夕方にはザーッと強い雨が降る。
雨も降ってきたので料理の開始だ。嫁さんが。
昼間は焼き肉とマンゴーだ。
待ちに待った焼き肉。衛生状態が不安ではあるが、ワラスの人も食べているのだし同じ人間だから大丈夫だろう。
塩とニンニクで味付けをして、玉ねぎと共に炒める。
見た目はなかなか美味しそうだ。
一口目で口の中が動物園になった。ボブ・サップもびっくりなビースト風味だ。
肉が硬いのは平気だが、このビースト感はたまらない。血抜きが下手なのか、久しぶりに野生に帰れそうな味だった。
マンゴーは日本で食べるものとかわりのない美味しさ。これで30円って許されるのか?
雨がやんでから肉の反省を踏まえてまた買い物だ。歩く機会を増やしておこう。
嫁さんが頭が痛いと言い出したので、お湯を沸かして1Lくらい白湯を飲ませたらなおった。たぶんコカ茶のせいだと思う。高地の順応はメキシコシティで歩き通したので大丈夫そうだ。
市場ではベーコンと缶詰と胡椒を買った。ベーコンやハムはちゃんとしたものが売っている。トレッキングに持っていく予定であったので味の確認だ。
パスタも買う。パスタといっても米粒くらいのマカロニ。高地ではお湯がしっかりと沸かないので、パスタや米の芯が残ってしまうのでこれならうまくいけるだろう。
晩御飯はじゃがベーコンとトマトスープ。
炭水化物を詰め込んでおかなくてはならない。野菜は日本のものとそこまで大差はなく、少し甘みがないといった感じだ。野菜好きにはたまらないだろう。そもそもこれらの植物はほとんどコロンブスが新大陸、すなわち中南米から持ち帰ったものだからこっちが本場といえる。
美味しくディナーをいただいている時に、横でアルゼンチン人の集団がワイワイやっていた。何か甘い匂いをさせている。くゆらせた煙が怪しい。お、おそらく・・・
1月25日
本日は一日中曇り空。
高地順応2日目。今日は登山中の食料を買いに行く。
ワラスの町も3000mあるので、町でたくさん歩くことで身体を馴染ませる。
ということで、食事の度に買い物に行ったり、散歩に行ったりした。
サンタ・クルス谷トレッキングは3泊4日。
雨季で天気が悪いため景色は芳しくなさそうなので、気に入ったキャンピ場でゆっくり過ごしてみようかと思う。そのため食料は5日分買うことに。
長期のトレッキングになるので、できるだけ栄養を身体に詰め込んでおかなければならない。そう思うと人間面白いもので朝から夜までどれだけ食べても腹が減ってどうしようもない。
朝はマンゴーとコーヒー。
その後は朝市へと繰り出す。
今日は土曜日なので人でごった返している。
果物を買いながら歩いているとスーパーに辿り着いた。
スーパーで登山中の食料を揃える。
日本製のインスタントラーメン、パスタ、行動食用のクラッカー、食パン、リンゴジャム、アップルティーなどなど。
これだけ買って1200円くらい。
あとはストーブ用のホワイトガソリンが欲しいのだが、なかなか見つからない。
結局、宿の近くの大通りに面した工具店が並ぶところで聞いてみたら、ペットボトル入りのものがあった。5ソル。
登山装備はひと通り揃え、両手で今にも破れそうなビニールをぶら下げながら帰る。
昼食にはツナ缶をトマトパスタと混ぜてみた。ペルーのツナ缶は日本のような油が殆ど無いコンビーフ状だったのですごい料理になってしまった。
横でフルーツを食すスペイン姉ちゃんが怪訝な顔でこちらを覗き見る。
スペイン人よ。これが日本人だ!
何はともあれ魚は魚。やはり日本人は魚を食べなければ本調子にはなれない。
昼過ぎに腹が減ってしようがないので残っていたじゃがいもを蒸して塩コショウで食べた。
コカ茶も葉っぱを買ってきたので、沸かして飲む。
こちらのじゃがいもはとにかく安くて美味しい。アルゼンチン人軍団は大量のじゃがいもをひたすら切り刻んでいた。
コカ茶は利尿作用が強烈で、何度もトイレに行かされる羽目になるが高地ではマストアイテムなのだ。
夕方には荷造りをして、残りの荷物は宿に預ける。
晩御飯も豪盛にマヨネーズをふんだんに使ったじゃがいもフルコース。
これで明日からトレッキングを楽しめるはずだ。