マチュピチュからクスコへの帰還
2月6日
マチュピチュ疲れ。
期待と焦燥と疲労がこんがらがり、ひどく消耗。
しかし朝から列車に乗らねばならない。
来た道をひたすらガッタンゴットンガッタンゴットン。
異常な疲れと空腹感。
とくに物価高のマチュピチュ村での節制生活たった2日で困憊。
早くクスコでうまいものを気兼ねなく堂々と食いたい。
オリャンタイタンボでコレクティーボに乗り換える。
来る時は寝ぼけていたのであまり見ていなかったが、クスコまでの道の景色の素晴らしさったらない。
どこまでも続く平原、放牧される牛、黄色い花。
やはりクスコ周辺の景色は絶品である。この辺は聖なる谷と呼ばれているらしい。
途中に停まってもらい弁当でも食べたくなるそんな景色。
クスコ着。
急いでメルカド(市場)へ。
へっこんだ腹を戻すには口から詰め込むしかない。
魚のフライと豆シチュー定食 5ソル
おばちゃんが揚げる絶妙な味付けの魚。ペルー初の魚料理は塩っ気が効いていて日本人好みの味だ。
隣のおじさんがいろいろ教えてくれたが、食うのに夢中で内容を覚えていない。それほど脳に栄養が回っていなかったのだ。さすがマチュピチュ疲れ。
まだまだ足りるわけなく、市場を彷徨う。
そして見つけたのがキング・オブ・ボリューミー
ペルーではこの手のシンプルなものがうまい。
この米と肉とフライドポテトと目玉焼きのオーケストラは間違いはない。
11ソル、二人で分ける。
かなりの量だ。このジャンキーな味がたまらない。
このあとはカサデルインカに戻って洗濯やら何やら。
今日はなぜかけっこうな旅行経験の猛者先輩たちが多く、いろいろとお勉強になった。
猛者先輩の情報にたいていハズレはなく、たいてい聞いておいて助かることばかりだ。
しかしすごい人もいるもので、聞いたことのないような国に行ったり、ものすごく恐ろしい目にあったりしているがちゃんと生きている。
そんな逞しい人間になりたいのはやまやまだが、あれだけ食ったのにお腹が減ってくるやるせない夜。
夜道に出るのは怖いので、シーツでもしゃぶって寝るとするか。
2月7日
本当は今日プーノに行く予定だったのだが、気づけばカサデルインカn朝食をゆっくり食べていた。
もちろんクスコの居心地が良すぎたこともある。
が、気になる情報があった。
とある女の子はラパス~クスコ行きの夜行バスでストライキのためにバスから降ろされ、2時間も歩いたのだとか。
道に電信柱や大きな石ころが散乱していたという。
スペイン語ペラペラの大学生が旅行会社に状況を聞きにいくということなのでちゃっかり付いて行った。
何でも、プーノより先の住民が、「こっちに税金をもっと回しやがれ!!」と怒り狂い、国境封鎖というとんでもないことをしでかしたらしいのだ。
なんて元気がよいのだ。
たしかにクスコを一歩出ると明らかにインフラが整っていない。
しかしそれで国境を封鎖するという暴挙に出るなんて、あのおとなしそうなペルー人が・・・
東日本大震災での原発事故が起きた際の当時の管政権と東電の体たらくっぷりをまざまざと見せつけられたくせになぜ日本の若者は怒らないのだ!とどこかの国の政治記者が言っていたのを思い出す。
日本の生活とはリアリティが希薄なのかもしれない。不満はなくもないが、政治運動までやるなんて人は早々いない。ペルー人が異常なのではなく、日本人が公に対して不感症すぎるのかもしれない。
「どうせ何をやっても同じ。」「誰かがやってくれるだろう。」で思考停止という状況が今の日本社会のような気がしてならない。
そんな思考停止が末期まで進むと僕のようになってしまうのは言うまでもない。
一応、ストライキは収束方向に向かっているらしいのでバスを予約し、オーダーメードの靴屋さんへ。
嫁さんのサンダルはちゃんと完成していた。
意外にしっかりした作り。革もまだ新しいので、履いていくうちに味が出てきそうだ。
サンダルで60ソル。2400円位。
靴だと90ソルだとか。
このオーダーメード靴屋さん、女性にはたまらないらしい。
あまりみてくれに興味のない万年坊主頭の僕はいまいち良さがわからない。
僕の欲しいものはだいたい高機能ギアで、メカニックでごちゃごちゃしていてスマートなものが好きだ。あとアズテック繊維やらゴアテックスやらチタンといったとりあえず何かヤバそうなもの。要するに仮面ライダー変身セットや合体ロボみたいなお子ちゃまワクワク感が未だ根強く物欲を征服しているようだ。
先程の旅行会社曰く「明日明後日がプーノの祭りですよ。」
ネットで調べたらまだまだ先のはずだったのだが、どうやら一番祭りが盛り上がる時にぶつかってしまったようだ。
お祭りは嫌いではない。お祭り騒ぎは嫌いだが。
お祭りとはその地域の歴史と伝統を一気に垣間見ることができる機会である。
そんなお祭りに行けるなんてラッキーだぜ!!とは問屋もAmazonも下ろさない。
お祭り=人がいっぱい=観光客もいっぱい=宿がない&物価高
これはイカンということで、HostelBookingで予約しておいた。
ELINTI BACKPACKERといういかにも長期旅行者に優しそうなホテル。
ツインで一人10ドル。2人2泊で1割4ドルを納め、プーノの祭りを楽しみに眠りについた。
まさかあんな目に遭おうなんて思いも知らない夢心地の僕は、プーノ名物マス料理しか頭になかった。