バックパッカー=選択と不安と楽しい日々
2月11日
今日はウユニ行きの夜行バスに乗る。
道は最悪、標高は相変わらずの富士山の上である。
夜行バスに乗る日、まず考えるのは体調管理だ。
長時間きつい姿勢で悪路を行くものだから、体調が悪いと生き地獄である。
とくに気をつけたいのは「お腹の調子」だ。
南米バスはリッチなのに乗ればトイレがついている。
しかし、いくらトイレがあるからといって揺れるバスの中で用を足すのはかなり辛い。
僕は以前インドで腹の中がスターシップトゥルーパーズになった状態で、夜行バスに乗った経験がある。
どうやらインドの調味料が全く合わなかったらしく、顔がよじれるぐらいの腹痛とシルクのようにさらさらの下痢で苦しめられていた。
しかし、夜行バスに乗らざるを得なかった。インド脱出のためには国際空港がある都市まで行かねばならなかったのだ。
あの時の辛さは今でも身体が覚えている。食料はポテチとコーラのみ。
今思えば病院に行けばよかったのだが、あの時は完全にインドに飲まれていた。
そんなわけで今日は体調管理をしっかりと・・・まさかの嫁が腹痛!!
昨日の何かが当たったらしい。そこまで酷くはないのだが、ここは絶対安静だ。
外人向けの高級レストランでスープを飲み、あとは紙に、、、いや神に祈るだけなのだ。
12時チェックアウト、バスは18時なのでホテルのロビーで待たせてもらうことに。
旅ではこんな不安事はつきものだ。
体調しかり、バスや飛行機の予約、天候や治安、現地の人とのコミュニケーション・・・
毎日が不安なことだらけ、そして何よりも楽しい日々。
バスが何時間も遅れたり、入国監査で引っかかって別室に連れて行かれたり、ボラレたり、喧嘩したり、丸1日無駄にしょうとも、楽しい日々。
不確定すぎる日々は常に自らの「選択」しか信じるものはない。
いくらガイドブックを見ようが、人に聞こうが、日本のそれと違って100%はない。
なんせ、町、いや国自体が、国家そのものが不完全すぎる行き当たりばったりで経営されているのだから。
日本のように手をかざせば水が出て、ケツを下ろせばナイスな場所に水を吹きかけられ、いつでも冷たいコーラが道端で買え、電車は1分の遅延すら許されない「ほぼ100%」の社会で生きているとそんなことは思いもよらない。
複雑なシステムの中で生きていると、「選択」なんてものは全自動で誰かがやってくれる。その誰かは誰かの、そのまた誰かの誰かの労働からなっている。
日本は選択しない失敗のない高度なシステムを数多の人間の労働から構築している。だからあんなに仕事が多いのだと思うわけだ。
だから日本のバックパッカーは学生と無職者しかいない。
だからヨーロッパの人がただただ羨ましい・・・そんな話。
ちょっと話がそれた。
ボリビアには自動販売機はないし、トイレは有料でしかも汚いしトイレットペーパーもついていない。バスは遅れても「wait」の一言で誰も謝らないし何事もなかったかのように走りだす。昼間には店を閉めて寝ているし、警察が平気で賄賂を要求するような国だ。
不確定どころか何が飛び出すか一寸先は闇。少しの判断ミスによりパンツ一枚で路外に放り出されることだってあり得る。
それでも大抵のことはあとで笑い話になる。
全財産盗まれたことを笑って話してくれた日本人旅行者はたしかに存在したのだ。
そんな「毎日が選択日和」なバックパッカー旅はやめられない。
という話。
バスはラパスの町を30分遅れて出発した。