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tabing 世界一周

旅好きな夫婦が世界一周してきます。旅好きな人たちが集まるサイトです。

フィッツロイ~セロ・トーレトレッキング 3日目

⑯パタゴニア

32

 

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昨日の寝坊も踏まえて、今日は6時半に目を覚ました。

夜はかなり寒かった。寝袋を極限まで絞り、口と鼻だけだしてなんとか眠れた。

氷河より流れる風と、氷河より流れる川がすぐ横にあるのだから仕方がない。

 

 

朝日でオレンジ色に輝くセロ・トーレへ向かう。

寝ぼけた身体を奮い立たせる朱色に輝く先鋒を見ると、居ても立ってもいられない。

心臓が急なフル稼働で驚く中、僕はカメラ片手に駆け出した。

 

 

 

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湖前の小山に立つ。

そこには湖に映る燃えるようなセロ・トーレがあった。

こんな景色を見るためにパタゴニアにやってきたんだ。

 

 

 

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絵画を思わせる黄金比の前ではカメラを持つ手が震える。

湖には誰もいなかった。独り占めだ。

空は青く、風はなかった。

早朝の澄んだ湖の前で、寒さを忘れていた。

 

 

 

 

 

 

 

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ついに下山の日だ。

嬉しいような、名残惜しいような複雑な気分。

山好きならわかるであろう下山という儀はそんな乙女チックな響きを残す。

最後まで晴天に恵まれ、お天道様に申し訳ないくらいの日々であった。

 

 

 

しかし、貧乏人は急がねばならないのだ。

悲しいかな金が無い分、時間というものは待ってはくれない。

悠長に優雅に可憐に過ごす金持ちとは違い、こちとら泥水すすりながらでも1ペソでも安く生きたいのだ。悲しいけどこれ戦争なのよ。

 

 

9時半。下山開始。

余韻に浸りたいが、13時のカラファテ行きのバスに乗りたいのだ。

それならば、一泊分の宿泊費が浮かせられるからだ。

余韻とは金持ちか老後の爺さんのためにある言葉なのである。

 

 

下山まで看板によると2時間半。

朝飯に残りの材料すべてを打ち込んだので、エネルギーに満ち溢れている。

一気に駆け抜ける。パタゴニアの風の如く駆け抜ける我々には孫子も腰を抜かすに違いない。

 

 

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軽快なペース。しかし3日分の疲労はごまかしきれない。

フィッツロイとセロ・トーレが両方見られる峠で少し休憩する。

幾重も続く小高い山は大した傾斜ではないが、先の見えない道に心が折れそうになる。

 

 

 

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3月すぎるとパタゴニアには秋の気配。

紅葉に目もくれず、ただ走り抜ける。

 

 

 

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やっと登山口についた。

かなりの良いペースだったのに2時間10分。

日本のように優しい標準タイムではなかったようだ。

そういう配慮が日本の良い所かもしれない。

 

 

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下山してからが忙しい。

普段なら優雅にコーラでも飲んでいるところだが、なんせ時間がない。

次の町エル・カラファテまでは3時間半。

13時のバスに乗っておかないと、宿の手配やスーパーでの買い物がままならない。

疲れを忘れ宿で荷物を受け取り、その足でバスターミナルへ。町中のバス会社は生憎の日曜日でお休みの憂き目に。

1220分にバスターミナルまでフル装備で走り、1240分に両替に走り、1250分にバスに乗り込めた。

ドロのように眠り、エル・カラファテに辿り着いたのは16時半だった。

 

 

宿はインフォメーションで最安だと聞いたHotel Huemul

ドミトリーで70ペソだ。インフォメーションのおばさんに嘘の場所を教えられるもなんとかチェックインし、一息入れる。

この辺でやっとフィッツロイ・トレッキングの余韻に浸れるのだ。

あんな素晴らしい景色を快晴の下で見られたのは本当に運が良かった。

あの景色は絶対に忘れないだろう。

そんなことを思いながら、こちらも悲しいかな。我々は下山後の絶対飢餓状態であらぬものを見つけてしまったのだ。

 

 

 

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アサード食い放題!

エル・カラファテのメインストリートを少し北に行った場所に、食べ放題の店があったのだ。

120ペソ。1200円ちょいだが、3日間のトレッキング下山後の我々は迷うことはなかった。

 

 

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中国人オーナーのこの店は、アサードはもちろん中華料理にアイスまで食べ放題時間無制限デスマッチ。

大仁田厚が電流爆破しようと、武藤章シャイニングウィザードが炸裂しようと、スコット・ノートンナガタロックで悶絶しようと、我々は喰いに喰ったのである。

※ディナーオープンは19時半

 

 

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3日間の重労働&粗食に慣れた身体は、急にティラノサウルス並みの肉食万歳攻撃にさらされ、帰り道情けないかな嫁に荷物を持ってもらいフラフラ帰ったのであった。

2時間満腹の腹を抱えてただただ寝込んだのは言うまでもない。

フィッツロイ、セロ・トーレ、氷河、そんな美しい世界はどこへやら。やはり、下山後の欲望は心の清らかなあの瞬間のことは微塵も覚えてはいなかったのだ。