下山後にすることといえば
3月14,15,16日
宿のネコちゃんたち
この日から一週間の山ごもり中に溜まりに溜まりきった食欲を爆発させた。
食欲をこじらせると厄介なことになる。
山中、4人の会話の8割は食事についてだった。
衣食足りて礼節を知るというのはあながち間違いではない。
食が足りなければ、その分補充するまでだ。
ということでまる2日、ほぼ何かしらを買いに行くか作るか食べるかしていた。
この宿は僕達が東洋人で初めての客だと言っていたので、「東洋人は身体が小さいにのやたら食う。そしてやたらガスを使いやがる。」という印象をなすりつけてしまったに違いない。
いつまでも飲み食いしていたら寝ている間にどこかへ出荷されてしまいそうなので、移動の準備だ。居心地の良いチリを抜け、アルゼンチンはリオ・ガジェゴス経由でブエノスアイレスに向かう予定であった。
しかし、ちゃんと調べずにいたので当然のバチが当たる。
プエルトナタレスからリオ・ガジェゴスのバスが火曜と木曜しかないのだ。
週4便と聞いていたから週4日かと思っていたが、週2日2便ずつという悲しい真実がそこにあった。
奇しくも土曜日。
このままパイネくらいしか見るところがないプエルトナタレスにいても暇なので、友人の台湾夫婦が向かうプンタアレナスまで一緒にいくことにした。
プンタアレナスからはリオ・ガジェゴス行きバスが週5日程度出ているのだ。
しかもプンタアレナスは漁港があり、サーモンが買えるというのだ。
寿司が食いたいと熱望していた台湾夫婦に急かされ、プンタアレナス行きのバスに乗った。
プエルトナタレスからプンタアレナスまでは3時間位。
町はパタゴニアに来て一番大きくて立派だった。
エル・チャルテン、エル・カラファテ、プエルトナタレスはトレッキングの拠点という印象だったが、プンタアレナスは立派な町であるし漁港はコンテナで満ち溢れている。
漁港近くの市場で念願のサーモンを購入。
7000ペソで半身なのでチロエ島よりは少し高い。
観光など一切せず、近くで見られるというペンギンなど全く眼中にないままスーパーへ向かい、食材を集める。ペンギンは喰えないからね。
寿司といっても海苔やわさびはもちろん売っていない。
台湾夫婦は握りよりもカルフォルニアロールのようなタイプが馴染みがあるらしいので、サーモン巻きになった。
さすがに握りは難易度が高い。
嫁さんと台湾奥様が2時間かけて、寿司パーティが地球の裏側で開催された。
サーモン巻き、刺身、チーズのせ、サーモンとアボガドのサラダ。
台湾夫婦大興奮だ。台湾では寿司は高級品らしい。
こうして10日以上ともに旅をした台湾夫婦との楽しい日々は終わりを告げた。
彼らはウシュアイアまで、我らはブエノスアイレスへ向かう。