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tabing 世界一周

旅好きな夫婦が世界一周してきます。旅好きな人たちが集まるサイトです。

ブエノスアイレスで世界最高の肉を3000円で食べる

⑰アルゼンチン ブエノスアイレス

ブエノスアイレス番外編

 

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ブエノスアイレスといえば?

タンゴ、美しい街並み、歴史ある建物、否!肉である。

花より肉である。

絶世の美女が優艶にタンゴを舞おうが、肉である。

 

 

世界一肉を愛し肉を喰うアルゼンチン人。週末に家族でアサードを行い、男子たるもの肉が焼けないと一人前と認められないアルゼンチン。

人口よりも牛が多いこの国では、もちろん肉を輸出している。

しかしとっておきの最高級肉は輸出しないのである。どら焼きを隠すドラえもんのような人々だ。

それほど肉を愛すアルゼンチン人。

そんなアルゼンチン人が最高にうまい!!と一押しな店がブエノスアイレスにある。

なんでも各国大使館の駐在員も詰めかけるような人気高級店らしく、

「世界一」ともいわれている。

 

 

「そう言ってお高いんでしょ?」

「奥さん!それが3000円!!!」

おばさんたちのどよめきが聞こえそうなビックリ価格。

世界最高級のステーキが3000円で食えるのだ。

3000円といったらこの国では超高級だが、日本では焼肉食べ放題位の値段ではないか。

最高の肉!

食わずして肉語るべからず!!!

いざ行かん、世界一の肉!!!!!

 

 

ということで宿で道を聞き、日本人大学生と3人で「ミラソル」という噂の店に向かう。

地球の歩き方にのっている港の方にある店のほうが有名だが、今はミラソルのほうが評判らしい。

ドレスコードは厳しくはないが、サンダル履きはダメらしい。

ドレスコードなんて初めて口にした下賤の身ではあるが、ここブエノスアイレスではけっこうなコガネモチなのだ。(ドロボウさん見逃して♪)

 

 

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オベリスクやコロン劇場がある大通りを北に行き、ブラジル領事館を過ぎた高架の下にある。

日本旅館からは歩いて1時間位。

店を覗くとお呼びでない雰囲気。

胃を決して、いや意を決して飛び込む。

ちゃんとしたスーツをビシッと決めた英語ペラペラのボーイに連れられ席につく。

悲しいかな貧乏人、こういう時のマナーを全く知らない。

衣食足りて礼節を知る。まさにここにあり。

 

 

メニューが配られる。

ブエノスアイレスの物価にしてはやはり高いが、日本の金銭感覚ではそんなに酷くはない。

サラダが600円、ビール300mlで300円、ワインは1500円くらいから。

そしてメインのお肉。

300gで1500円~2000円くらい。部位によって値段は変わる。安いじゃないか。

 

 

我々はそこでひとつのメニューに釘付けになった。

スペシャルビーフステーキ700g 280ペソ(3000円位)

ス、ス、ス、スススペシャルとな!700gとな!

他のメニューと違って部位も何も書いていない。

ただスペシャルと書いてある。

これを食わずして肉語るべからず。

「・・・これ、頼んます。」

「これ凄く大きいですよ。大丈夫ですか?」

「ぼくたち、イカれてますんで。」

ナイスチャレンジ!とニヤッと笑うボーイ。焼き方を聞かれよくわからんので「み、ミディアム」と言ったら舌を噛み切りそうになった。

 

 

パンやお菓子が出てくる。

周りをチラチラ確認しながら、ひたすら肉を待つ。

世界一のお肉があの奥で焼かれているのだと思うとなぜか大声で叫びたくなる。

 

 

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かなり待つ。

辛抱だ。つらすぎるが3人で励まし合いながら時が過ぎるのを待つ。

続々と肉が運ばれる。やはりスペシャルだからか、僕たちよりあとに来た客がうまそうにステーキを喰らっている。

というかけっこうなおじいちゃんおばあちゃんが肉を食らっている。さすがアルゼンチンだ。ヨボヨボプルプルの90歳くらいのおじいちゃんが上手に分厚い肉を切っていた。プルプル感を駆使した見事な捌き具合だ。

 

 

 

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奥からぼくたち付きのボーイがロールケーキを持って歩いてきた。

「だれだよ!ステーキ屋でチョコロールケーキ頼んだおバカさんはよ!!」

ぼくたちだった。

ロールケーキだと思っていたらステーキだった。

ステーキというから薄いのを想像していたが、さすがスペシャル。ロールケーキ状の分厚い肉だった。

大きさは1L入りペットボトルくらい。いや、もっとでかいか。

あまりの想像との違いにどこからナイフを入れていいものかわからない。

 

 

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結婚式のケーキ入刀よりはるかに緊張しながら、ナイフをいれる。

100均で売ってそうな小ぶりなナイフを軽く引いただけで、バックリと肉が切れるではないか。

周りはしっかり焼けているのに、中はとろとろピンク色だ。

脂がドバドバ流れ出る。口の中がよだれで溢れ、溺れそうになる。

禁断の一口。

あんまり良い物を食べてしまうと変に舌が肥えてこれから安物の肉が食えなくなっちまうんじゃあないかという貧乏人の悲しき恐怖感を拭い捨て、まさに神をも恐れぬ一口だ。

 

 

「何も言えねえ!」

某有名金メダリストと同じ言葉が出た。

子供の頃から水泳一筋に生き、何年も何年も努力してきた結果ついに勝ち得た金メダル。

その珠玉の勝利の気持ちが3000円で買えるのだ。

うまいの概念が崩壊した。

今まで食ってきた肉は部室の隅に転がっている野球グローブだったらしい。

その分厚さを感じさせない柔らかい肉質、口の中にあふれる上質な脂、それでいて肉臭さや胸焼けが一切ない。

肉を食べているという感覚がない。

僕の舌は何か新種の食べ物をはじめて食べているかのような感覚を脳に送り続ける。

 

 

 

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最高級品などめったに口にできるものではない。

日本にいる時なんか激安スーパーと大手チェーン店に身を委ねているので、そもそも見たことすら無い。

そんな僕がちょっと奮発しただけで最高級の肉が食えるのだ。

これだから旅は辞められない。そして日本に生まれてよかったと心から思う瞬間でもある。

 

 

700gの上品な肉塊はどしどし胃袋の隅々まで送り込まれる。

「こんなうまい肉を輸出しないでアルゼンチン価格で売ってくれてありがとう。」

と、死ぬほど感謝しながら食い続ける。

日本で同じレベルの肉を食べようものなら10倍近くの出費だろう。

最高級の肉を700gだ。

最高級牛肉だけでも高いのに、700gなんて化け物日本なら大食い選手権でしか見ない。

贅沢の塊をフォークで少しずつ口に運ぶ。

ペソが余っていた大学生が頼んだワインをちょっといただきながら、5歳も年下のしかも大学生におごってもらいながら最高のひとときを過ごす。

 

 

500gを超えるとさすがに腹が張ってきた。

しかし、あの焼肉食い放題で元をとってやろうと必死で2時間戦い切ったあとのような気持ち悪さがない。肉をたくさん食べすぎると脂や肉のニオイで胸焼けがするがそういったものが一切ないのだ。フォークでちょっと押しただけでも脂が噴き出るくらいなのに。

嫁も大学生も途中でギブアップした。

やはり300gぐらいまでが日本人には適量だ。

そんな日本人2人を置いて僕は完食した。

なんせここ何週間かアルゼンチン人と同じ食生活で同じ量を食べていたから僕は胃だけアルゼンチンに帰化していた。

これだけ食べても残り少なくなると名残惜しかった。

おそらくだが、こんな最高の肉を食べるのは今後なさそうだからだ。日本で食べようものなら破産だ。地球の裏側まで来ない限り僕の財布の中身では食べることができない。

さらば、肉の王よ!!!

 

 

満腹、こんな心地よい満腹はない。

しかも嫁たちが残した肉もお持ち帰りができた。

その世界最高級の肉は、

 

 

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チャーハンになった。

最高級品でチープな料理を作るという、昔のどっちの料理ショーを思い出す贅沢な一品。

豪華チャーハンは脂身を炒めその脂にご飯を投入、残った肉をチャーシューのようにして細かく散りばめた。あの上質な脂をからめたチャーハンを食った時、鼻血がでるかと思った。

 

 

 

 

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そんなお持ち帰り肉を麻薬でも持ち帰るように必死に守りながら(何から?)歩いた。

「なんか甘いモノ食いたい。」

帰り道のフロリダ通りで皆が思った。

あれだけ食べたのにデザートは別腹、というかあまりの肉のうまさの余韻が「デザートはないんかい!」と本能に訴えかけてくる。

 

 

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実はブエノスアイレスはアイスクリームも有名で、アイスクリーム店がたくさんある。

僕たちは先程のスペシャルビーフステーキに導かれるようにアイスクリーム屋に飛び込んだ。

 

 

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このカップで70ペソ(700円)

3種類のアイスを選べる。500gはあろうか。嫁さんとシェアだ。

もう金銭感覚がイカれていた。

 

 

そんな最高級のお肉が食べられるアルゼンチンは良い国です。

なんせ肉と酒だけはやたら安いからね。

ちなみに僕たちがブエノスアイレス滞在中の4日間に買った肉の量は1.5キロ

こいつに宿のアサード一人500gくらいにスペシャルビーフステーキ700gなので少なくとも僕は4日間で2キロくらい食べてる計算になる。

そこに安くてうまいビールとワインが加わるのだから、日本人にとっては麻薬のような危険な国だ。もちろん激太りした僕は、急激な体重増加で笑いすぎると顔面の筋肉が筋肉痛になるくらい顔がパンパンに太り人相が変わってしまった。

もう2週間もいたらパスポート写真と別人になって出国できなくなってしまいそうなので、泣く泣くアルゼンチンを離れた。

さらば肉の日々よ。