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モロッコ・マラケシュの誘惑

3月31日

 

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午前4時、モロッコのカサブランカ国際空港に降り立つ。

はたして眠れたのだろうか?

寝たような寝てないようなふんわりとした時の流れに身をまかせ、飛行機から降りる。

寒い。

一応、アフリカであるモロッコ。予想以上に寒かった冬の終わりかけのバルセロナとさほど変わらない。当たり前か。3時間くらいしか飛んでいない。漠然とスペインやアフリカなんか一年中夏くらいだと思い込んでいたが、いそいでダウンジャケットを着こむ。これも旅でしか味わえないギャップというやつだ。

 

 

入国は本当にすんなりといった。普段は大行列になるというが、さすがに夜明け前となれば人も少なく、アクビばかりする係員は適当にパスポートのド真ん中にスタンプした。

結局、モロッコからの帰りの便の質問すら無かった。あれだけ奔走したのはなんだったのか?

後日出会った日本人旅行者も空港で第3国への航空券を買わされたといっていた。まあそういうことなのだろう。

 

 

空港の高いカフェのNespressoで眠気を惑わしながら、6時の始発電車を待つ。

カサブランカの空港はそこまで大きくもなく、設備も少ない。

空港内の看板はフランス語とアラブ語が目立つ。

ATMも初めはフランス語。英語の選択ができてホッとしたが、フランス語なんて「ボンジュール」と「クロワッサン」しか知らない。アラブ語は文字だと認識できるまで模様かと思っていた。

 

 

 

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6時の電車に乗る。

チケット売り場のやる気がなさすぎて逆にキレ気味なおじさんにマラケシュに行くと伝える。

何か英語で言っているがさっぱりわからない。

何とか2等のチケットを買う。

フランス語訛りの英語なのかアラブ語訛りの英語かは知らないが、こりゃ難儀しそうだ。

空港列車でカサ・ヴォヤジャー駅まで行き、そこでマラケシュ行きの電車に乗り換える。

・・・のだが、車内アナウンスや駅の掲示板などがない。外は真っ暗だ。

 

何人かに聞くと、一人英語ができるおじさんが「俺もそこ行くから教えてやるよ」と言ってくれた。

カサ・ヴォヤジャー駅は40分位で着いた。おじさんに呼ばれる前に何人も「次がカサ・ヴォヤジャーだよ」と教えてくれる。

モロッコ人はがめつく詐欺師ばかりだなんて聞いていたが、一般人はとても親切ではないか。この後も強く思ったのだが、一部の商人や客引きのせいで大いに国民の評判を落としている。一般人は恥ずかしがり屋だが親切な人ばかりだった。

 

 

無事マラケシュ行きの2等車に乗る。

2等車といってもソファーはふかふかだしとても綺麗。

切符代金が何故か知らないが、空港からカサ・ヴォヤジャー駅までが40DHなのにカサ・ヴォヤジャー駅からマラケシュは90DH。40分で着くカサ・ヴォヤジャー行きと3時間半もかかるマラケシュまでの代金の比率がおかしい。

車窓は砂漠や牧場やオアシスっぽい街といった絵に描いたようなアラビアンな世界が広がるが、寝不足の極みで蜃気楼が見えそうなのでぐったり眠り込む。

※どろぼうさんが多いらしいので注意

 

 

 

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マラケシュには昼前についた。

思ったより都会だ。マクドナルドもある。

中心地であるフナ市場まではバスで行く。乗り場がさっぱりわからなかったが、なんとか8番のバスに乗り、目印にしていたクトゥビアという塔を目指す。

安宿街に行くも地図をいくら読み込んでもさっぱりわからない。

おもてなしが一切ない一見さんお断りな迷路のような町だ。

本当は地図片手にキョロキョロしていたら「僕達右も左も分からないひよっこ旅人ですよ~」と宣伝してるようなものなのでやりたくないのだが、そうでもしないとすぐに自分がどこにいるかすらわからなくなる。

案の定、道を教えてあげるという親切な若者が沢山寄ってくるが、その変に慣れた日本語からすでに怪しさがトグロを巻いている。

何度も道を間違え、怒りすら覚えてふらつきながらも何とか宿につく。

 

 

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hotel Medinaはダブルで110DH(1500円位)だが、長期滞在だと100DHにしてくれる。

ここのおやじさんが日本人ばりの親切丁寧な人でとても過ごしやすい。あとWIFIがすごい早かった。ホットシャワーもあるし屋上きれいだしで最高だった。あとキッチンさえあれば、おやじさんの養子にしてもらうところだった。

 

 

久しぶりの不安な移動の連続にふらふらだ。

人間、少し便利な大都会にいただけでここまで耐久性が落ちるのか。

バルセロナは広くて複雑な街だが、看板や電光掲示板に沿っていれば地下鉄でもバスでも好きな所にすぐ行ける。流動的な大都会はAmazonの倉庫のように人間を勝手に仕分けしてくれる。

身を任せればよかったバルセロナとは違い、モロッコはそんなに甘くはない。

優しい看板やアナウンスはない。事前に調べておかないと気づきもしないことも多々ある。英語はあまり通じない。たまにある看板も読めない。怪しい詐欺師がウロウロしている。信じるのは自分だけだ。

でもこれこそ生きるということなのだ。

だれも旅行者のためなんかに町を作ったわけではない。主役はそこに住んでいる人たち。その中にちょこっとまぜてもらっているのが旅人なのだ。だからこれくらいの不便を掻い潜れなければならない。

そしてこの不安、ドキドキ感が癖になってしまったおバカさんがバックパッカーなのだ。

初めて降りたバス停で呆然とするその瞬間こそ快感を感じてしまう。

まるでアトランティスでも探すかのように喧騒の中に巨大なバックパックを背負い込んで歩き出す。

宿についたその瞬間の何とも言えない脱力感は麻薬のように誘惑的なのだ。

 

 

 

 

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フナ広場へ。

世界一ともいわれる巨大な市場スークと、夜中まで途切れることのない屋台の煙と大道芸人たちの繰り出す音がこだまする広場。

毎日が祭だ。一度でもこの広場で夕方から夜が始まるあのワクワク感を感じてしまうともう抜け出せない。

ひしめく屋台とスークからは絶えず「ニホンジ~ン!」「コンニチワ~アリガトウ~」「キミ、カワイイネ~」と客引きが蠅が逃げ帰るほど湧いてくる。

広場に一歩踏み出せば、自分の半径5mで飛び交うへんてこな日本語、強引な客引きには腕を引っ張られ、無視すると暴言を吐かれ、カメラを構えただけでカネをよこせと怒鳴りこんでくる大道芸人たちの大合奏。

本音のホの字すら出さずに無表情で探りあう日本人の美徳なのか悪いところかは知らないが、そんな七面倒な間合いの取り方は一切ない。ここでは常に全身全霊を込めた一の太刀が飛び交う。

 

 

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そんな本音の容赦無い体裁も何もない世界に初めは驚くも、慣れてしまえばこれもフナ広場の一部分であるということに気づく。

 

 

 

 

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初めはスークに向かう。

市場というが巨大迷路アトラクションといったほうが早い。

きらびやかな商品ばかりに気を取られると、Google Maps先生でもお手上げな迷宮の数多い迷子の一人となる。

ランプやかわいい雑貨や鳥やオイルや漬物・・・なんでもござれスークの市場は迷いながらも楽しめる不思議な場所だ。

 

 

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なぜか猫がわんさかいるスーク。

危うく踏みそうになることも多々あるが、そんな危険なスークも迷わずにトコトコ駆け抜ける猫たちであった。

 

 

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もちろん迷った僕たちは、上にかかげてある看板を頼りに方位磁石を駆使して何とか抜け出すことができた。思ったところよりだいぶズレたところであったが。

ということで初めてスークに行く人は手前だけ覗く程度にして少しずつ慣らしていきましょう。

 

 

 

 

 

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夕日が広場を染めるころ、広場の喧騒はピークに達する。

美しい夕暮れの景色なんて誰も気にしない。そこには肉を焼き、魚を揚げ、スープを煮込むおいしそうな煙と音が満ち溢れる。

 

 

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煙の流れる先には大道芸人たちのパフォーマンスに人だかりができている。

人々の欲求とそれをますます掻き立てようとする人々が織りなすカオスな世界。

なりふりなんて構わない。金と欲。単純な方程式しか通用しないフナ広場。

溢れだす活気と喧騒で人を誘惑する毎日がお祭なフナ広場は、人間の本性を引っぺがして楽しませる享楽的で危険な場所だ。

 

屋台で待ちに待ったモロッコ料理をいただく。

なんせ安いんだからバルセロナ帰りの僕達には天国としか言い表せない。

屋台巡りはまた後日。

 

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とにかくハチャメチャなフナ広場。モロッコ最初の夜から早くも虜にされてしまった。