巡礼22,23日 Sahagun~El Burgo Ranero~Mansilla de las Mulas
6月12日
Sahagun~El Burgo Ranero 18.5km 4時間30分
かなり休んだので、体力回復。
かと思いきや、気を抜いたせいか足に痛みと脱力感が・・・
このレベルになると、一定の負荷を与え続けて騙し騙し歩き続けるのが良いようだ。
アル中と同じような気もするけど。
今日は18kmだけ。
フランスのガイドブックには37kmと書いてある。
何故か海外のガイドブックは、たまにありえない無理を言う。
といっても、この区間はほぼアップダウンなしのストレート。なので、けっこうそのまま挑戦する人もいる。
僕らはそんなことしたらあの世まで行ってしまうので、2日に分割した。
祭りのあと。
町は熱狂のほとぼりも・・・などと語りたいが、ショ◯ベンとウ◯チだらけですごいニオイに。立ちションは許す。だが、野糞はイカン!
ここから2つルートがある。
本ルートを少し外れると、ローマ時代の道がある。
らしいのだが、分岐がよくわからなかった。
僕たちは本ルートにある町に泊まるので、特に問題ない。
フランスのタフガイとずっと歩いているのだが、彼は37kmに挑戦すると言い、昨日別れの挨拶をした。
そして、今も一緒にいる。彼は言う。
「37km?クレイジーだよ!」
コーヒー小話
バルで休憩。昼間っからビール。嗚呼、生きている。
フランスのタフガイと嫁さんはコーヒー。
フランス人は食べ物もそうだが、とくにコーヒーとワインにうるさい。
「日本人はコーヒー好きかい?」
「好きだよ。でもアメリカンが多いかも」
スペインというかヨーロッパは、ほとんどエスプレッソだ。日本でよく見られるドリップコーヒーは殆ど見られない。
「アメリカのコーヒー?あれ、フランスでなんて呼ばれているか知ってる?」
「さあ、知らない」
ミルクコーヒーの中にさらにネスカフェのインスタントを投入するカフェイン中毒フランス男は言った。
「ソックス・ジュースだよ!きたねえソックス絞ったみたいだろ!!」
気を取り直して歩き出す。
自転車チームの練習と並走。
といっても一瞬だが。
El Burgo Raneroに到着。
この辺りは、町が少なく変則的なスケジュールになる。
だから37kmとか出てくるわけだ。
僕らはここで休憩。もちろんフランス・タフガイも一緒。
そして一緒に到着直後の恒例になってしまった冷たいビール一気飲みを始める。
彼のおかげでかなり早く歩けるようになったが、かなり酒を飲まなくてはやってられない体質になってきた。
台所の余り物の米でいつもおにぎりを作っている。
おにぎりならどこでも食べられるし、腹持ちも良い。
これはフランスのタフガイが考案した『生ハムおにぎり』
かなりいける!
生ハムの塩味が効いて、普通にうまい。
そして、たぶん生ハムが美味しいだけのような気もする。
本日からワールドカップが始まった。
旅する前からわかってはいたが、やっぱり見れないのは悲しい。
日本戦なんて、こっちじゃ誰も興味無さそうだし。
消灯も22時、WIFIもあるときのほうが少ないので、ここは我慢するしかない。
日本がんばれ~
6月13日
El Burgo Ranero~Mansilla de las Mulas
昨夜、バルのほうがかなり喧しくて寝不足。
原因はやっぱりワールドカップ。
挙句の果てにはケンカ騒ぎまであったらしく、さすがサッカー強豪国といったところか。
寄付制のアルベルゲだった。綺麗で快適。
今日も昨日に引き続き、まっすぐで平坦な道。
13kmの間、町が一切ない。
景色が変わらない。
わりと標高は高めだがこの大平原。
日本では考えられない。
遥か先に貨物列車
最近、日中めちゃくちゃ暑い。
そのせいか、朝早めに出立する人が増えてきた。
この暑い中歩くのはかなりハードだ。
町が見えてきた。
アスファルトの照り返しが辛い。
Mansilla de las Mulasに着いた。
12時前には到着できた。それにしても暑かった。
到着の儀。
また暑い中、格別。
このアルベルゲが開くのは12時半。
しばし待つ。こんな時は暗黙の了解で着いた順に中に入る。
やっとアルベルゲの中へ。
設備もシャワーもWIFIも素晴らしい公営アルベルゲ。
そしてなぜか左上に日本のお遍路グッズが。
今日はばあちゃんに手紙を出した。
絵葉書と切手を買っても2€しない。
切手は郵便局かタバコ屋で売っている。ポストは日本と違って真っ黄色が目印。
両親や友人とはSNSなどで連絡を取り合っているが、ばあちゃんはさすがにできないので、巡礼路の地図と写真が載った絵葉書が調度良いと思った。
ばあちゃんは世界地図を買ってきて、父に電話で聞いた僕達が今いる所に印をつけているらしい。
うちのばあちゃんはド田舎から殆ど出たことがないコチコチの昭和一桁生まれなので、初めてベトナムに個人旅行に行く際に、
「あんな首狩り族が出るところやめんさい!」と言ってきた。
せめてベトコンとかにして欲しかった。ばあちゃん、ベトナムは良い所ですよ。
ワールドカップが始まった!
人類の祭典ワールドカップが始まり、今晩はスペイン対オランダ。屈指の好カードが地元で見られるなんて最高ではないか。
試合時間はスペイン時間で21時から。しかも運良くアルベルゲが23時まで開いている。
偶然居合わせた日本人たちと一緒にバルで試合観戦。
スペインのサッカー人気は言うまでもない。しかもここ数年世界最強をずっと維持している。
スペイン人とワールドカップの話をしていると、アルベルゲのおじさんがやってきて対戦表とテレビ放送時間が書かれたパンフレットをくれた。おじさんはトーナメント表のチャンピオンという文字をさして、
「ここにスペインと書いておきたまえ」
と笑ってみせた。
さあ、そんなスペインの相手は前回大会決勝戦と同じ強豪オランダ。しかしスペイン人、誰も不安の色を見せない。そりゃそうだ。ここ最近のスペインは無敵艦隊と言って良い。
しかし、無敵艦隊もいつかは敗れる。アルマダ海戦は繰り返された。
まさかの1-5の惨敗。
熱狂するスペイン人を見にバルに行ったのに、罵声とため息があふれる通夜みたいなことになってしまった。
とくにGKカシージャスの凡ミス失点の際は、グラスを叩き割るオヤジまで現れる。
試合が終わって仲良くなったスペイン人のお兄さんは言った。
「まあ、大丈夫さ。まだ1次リーグだしね」
その余裕、日本にも欲しい。