巡礼28,29,30日 Rabanal del Camino~Molinaseca~Cacabelos~Vega de Valcarca
6月18日
Rabanal del Camino Molinaseca 24.5km 7時間
今日は久しぶりの登山。
400m登って1000m下る。ずっと山道だ。
山道は険しいが、景色が綺麗なので軽快に進める。
みんな朝早い。最近いつも最後の方。
ひたすら登る
まだまだ登る
牛と巡礼者しかいない町
この辺りは巡礼者用の宿場町といった感じだ。
冬は雪が積もるくらいなので、この時期も肌寒い。
Cruz de Ferroという所まで登りきった。
1504m。峠を登りきった。
モニュメントを見て泣いている人までいる。
柱にはたくさんの写真などが添えられていた。
峠を行く。
Manjarinはちょっとした山小屋があるだけ。今日は休憩場所が少ない。
新鮮オレンジジュース!
たまに山の中のナイスな場所にこういう物売りがいる。助かります!
この絶景からの一気に下り。
今まで登ったのは何だったのか!と喚きたくなるくらいの下り。
クソ暑い中、山道を練り歩く。
なんとか町までやってきた。
鬼のような物価だけど。
ここから更に降る。はあはあ
やっと到着!とここから更に1キロくらい歩いてやっとアルベルゲ。えらい町外れにある。
ついに念願のビールを浴びる!
五臓六腑に染み入る。
今日は久しぶりの登山かつ24kmというハードな一日。ご褒美に晩飯は豚肉500gの大盤振る舞い。夕焼けの中、肉を喰らいビールで流し込む。
ああ、幸せ!
6月19日
Molinaseca~Cacabelos 23.4km 7時間
朝っぱらからサンジャンピエドポーからずっと一緒のドイツ人おじさん二人組が、血相変えてやってきた。
「スペイン、負けちまったらしいぞ!」
WIFIもないアルベルゲ。情報が一切ない。昨日は夜遅くまでの放送時間だったので、彼らも試合を見れなかったのだが、通りすがりのスペイン人に聞いたらしい。
「・・・えらいことになった」
男3人で朝の寒気の中で佇む。
嘘か真か、この疑念を抱えたまま当のスペインを歩く。
日本好きなおじさんがいるアルベルゲだった。
Campoという何もない町
Ponferradaはすごく大きい町。
立派な教会や美術館がある。
時間が早いので教会以外は開いていなかったので素通りした。色々見た人曰くけっこう良かったらしい。
教会はいつもひっそりとしている。
気持ちが安らぐ瞬間。
町を抜けると高級住宅街。
広い庭付きの豪華な家、高級車、テニスコート。
いいなあ~と横目で眺める。
Colunbrianosでカフェ休憩。
まだまだ今日の半分も行っていない。
出発!
強烈な日差しを受けながら、ぶどう畑を行く。
スペインは湿気がない分日本よりマシだが、日差しが強烈。
砂埃の中、黙々と歩く。
あともうちょっとだ。
Cacabelosに着くと、オーストリアのおっちゃんに再会。
ドイツビールを奢ってもらう。
バイエルン州でしか飲まないという小麦のビールはフルーティーな味だった。
スペイン、まさかの敗退
マジだった。
格下チリ相手に2-0の完敗。
「どうした品川」を超えるどうしたレベル。
バルの新聞を見て驚いているとバルの兄ちゃんが、
「もう終わったんだ。すべて。・・・はははは」
と悲しそうに言った。
バルの客も、
「終わったんだよ。もう終わりさ。ふふふ・・・ふふふ」
なんか不気味だ。どうした!いつも明るいスペイン人!!
オーストラリア人のおっちゃんに連れられて川辺で泳ぎに行く。
ヨーロッパの人は日光浴が好きなイメージだったけど、想像を超える日光浴っぷり。
冷たい川にちょっと入っては日光浴、暑くなるとまた水に入ってそして日光浴。
かわいい子どもたちからビキニのおばあちゃん、そして妊婦さんまで。
少し昼寝してヨーロッパ風な休憩を楽しむ。
今日は祝日らしく、レストランがあまり開いていない。
しかもそんな時にアルベルゲにキッチンがないなんて・・・
食通の日本人に聞いたのだが、きれいなパエリアやパスタの写真が貼ってある看板の店は、だいたい冷凍らしい。
今日はまさにその店。10€でパエリア。
想像より美味しかったけど、まあこんなもんかという味。
ここで初めて「レモン入りビール」を飲んだ。
スペインでは一般的らしい。ビールにレモン絞るだけ。
チューハイみたいな感じ。
オーストリアではバナナジュース入れたりするらしい。
最近のビール腹っぷりが少し不安な僕だけれども、23時までオーストリア人、サッカー好きドイツ人2人、カナダ人、アメリカ人と飲んでいた。
誘われるから仕方がない。
・・・かな?
6月20日
Cacabelos~Vega de Valcarca 26km 7時間30分
日本対ギリシャ・・・引き分け。
新聞の見出しもちょこっと。
ドイツ人おじさん二人組が「まあ、まだ可能性はあるから」と慰めてくれた。
また今日も足が重くなってしまいそうだ。
巡礼者注意!
ぶどう畑を延々と歩く。
アップダウンがけっこう激しく、序盤からすでに消耗。
Leonからこの辺りまでは矢印や標識が一気に減ってしまい、よく道がわからなくなるところが多いので困る。
Trabadeloの町。
坂道だらけだが、立派な教会が何個もあり、とても美しい町だ。
ここに泊まればよかった・・・という町が多いのも巡礼の魅力。
犬連れ巡礼者
石畳と坂の町。
ここのカフェで休憩。
スペイン敗戦の新聞がテーブルに並ぶ。
「もう終わっちゃったよ」
と嘆く店主。
「日本も絶望的だよ」
と言うと、チュロスをおまけしてくれた。
なぜか半裸のオーストリアのおじさん発見。
渋い!!
今日はこんな道路沿いをずーっと歩く。
景色もやる気も最悪だ。
車もビュンビュン走るので、けっこう危険。
20kmちょいでやめようと思っていたが、何もない町だらけなのでもうちょっと進む。
どっちが幸せ?日本とスペイン
Vega de Valcarcaにやっとついて最初に見つけたアルベルゲに雪崩れ込む。実は町の真ん中まで1km以上あるという辺鄙なところだったのだが、疲れているからそんなことまで頭が回らなかった。
しかし、そういう時にこそ出会いはある。
ここでスペインの若者2人と仲良くなった。
スペイン人にしては珍しい流暢な英語。2人とも大学を出たばかりだった。
彼らは日本に興味があるらしく、かなりの質問攻めだったがなかなか楽しいひと時だった。
そんな中でとても考えさせられる話があった。
「日本人は一ヶ月でだいたいいくらくらい貰えるの?」
「大卒で20万円前後かな~」
「そんなに!?」
「でも、仕事、仕事、仕事だよ。バカンスもシエスタもないしね。だからスペイン人が羨ましいよ」
僕はお世辞ではなく心の底からそう思っていた。
シエスタとはスペインの昼休みで2~4時間近くあり、家族で昼食をとって昼寝する時間だ。だからスペインでは午後2時前後になると店は閉まるし町はゴーストタウン化する。さらに日曜日ともなると、このブログでも何度も言っているが町が死ぬ。
旅行者はかなり困る(スーパーマーケットや美術館も閉まる)のだが、住んでいる人はゆったりしていて、日本のあの忙しさがない。
日本人からするとかなり羨ましいこの文化、さらにスペインでは企業にもよるがバカンスが1ヶ月近くあるという。
「本当のところ、シエスタについてどう思う?」
彼らは真剣な顔で聞いてきた。
「まあ旅行者にとっては困るし日本人からすると考えられないけど、ゆったり過ごせて幸せだと思うけど」
僕がそう言うと彼らは思ってもみないことを言った。
「スペイン人は怠け者だよ。シエスタなんかしてるから貧乏なんだ」
青天の霹靂だった。
スペイン人がこんなことを言うなんて・・・
しかし彼らの現状を聞くと、それは至極重大な問題だった。
ご存知スペインは目下大不況中。たしかに町には昼間っから良い年した若者が遊んでいたり、物乞いがとても多い。
EU危機の際はなんとスペインの若者の失業率は60%だったという。
そして彼らも大学は出たけれど、仕事が無い。英語ペラペラなのに・・・
「スペインは変わらないといけない。もう今までみたいにのんびりしてたら大変なことになる。日本人を見習って働かないと・・・」
彼らのその言葉は重かった。
日本は田舎でもコンビニがあって24時間開いているし、ヨーロッパでは考えられない就業時間の中で働き、長いバカンスもない。
スペインはシエスタやバカンスがあって、バル以外は8時にはみんな閉まってしまう。それはたしかに仕事はないかもしれない。
日本人は経済的には豊かだけれども、忙しすぎて人生を楽しめないという。
スペイン人はゆったりしているけど、仕事がなくて貧しいという。
これ、どっちが幸せなんだろう?