【巡礼完結】サンティアゴ・デ・コンポステーラに立つ

6月28日

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普通に生きていて、1ヶ月以上かけて780kmも歩くことがあるだろうか?

何の報酬もなく、足に豆をつくり、体中の痛みに耐えながら、ただ与えられた道を歩く。

そのゴールがもうすぐだ。

1日目の終わりに不可能にも思えたサンティアゴ・デ・コンポステーラの地に、やっと辿り着く。

 

 

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丘を下ると町が見えてくる。

あと5kmなんだ。5kmなんて今の僕達には他愛もない距離。

775kmの道のりを踏みしめてきた足は、Gozoの丘を一気に下る。

 

 

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サンティアゴ・デ・コンポステーラの文字が感慨深い。

巡礼中たくさん見たこの文字。ついに本当のサンティアゴ・デ・コンポステーラなのだ。

 

 

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思ったより都会なサンティアゴ・デ・コンポステーラの町中を行く。

もう周りも気にせずにただただ突き進む。

そしてなぜか早歩きになる。

 

 

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見えた!

 

 

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これだけ人がいるのに、カテドラルしか見えていない。

 

 

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もう少しだ。

 

 

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カテドラルの裏手。

もう、もう少しだ。

 

 

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トンネルを抜けるとそこは・・・

 

 

 

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着いた。

感動はない。

「ついに」より「やっと」着いたという気持ちだ。

でも780km、38日間という数字だけでは計り知れない経験だった。

 

広場に着くと一気に体の力が抜ける。

バックパックで軋む肩、日焼けでヒリヒリする腕、慢性的に筋肉痛な太腿、下り道でいつも痛んだ膝、何回も攣った脹脛、豆だらけの足。

どっと疲れと痛みが襲う。

でも、終わった。

780km、何だったのだろう。今はまだ何もわからないし、何も感じない。

「明日からもう歩かなくてよいのだ」

とにかく今はそれだけ。そして、

「今日は何を食べよう。何を飲もう」

思うことはいつもと同じ。

 

 

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 改修中。奇しくも姫路城と同じ。

旅の前半に改修中と聞いてがっかりすると、

「改修中の方がレアじゃないか」といったドイツのおっちゃんはもう着いたのだろうか。

 

 

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喜び合う巡礼者たち。

広場は人と自転車だらけ。 

 

 

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とにかく終わった。

38日間歩き続けるなんて初めてだし、38日間乗り物に一切乗らないというのも初めてだ。

疲れた。辛かった。でも楽しかった。

最後のゴールは巡礼事務所だ。

 

 

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カテドラルから曲がって行くと事務所がある。

ここで証明書をもらうわけだが、すごい人だ。

 

 

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45分も待つ。

こっちは気持ちが完全に切れているから、バックパックは糞重いし体中痛いしで、ある意味巡礼中この待ち時間が一番つらかったかもしれない。

証明書を受け取った。

ただの紙切れだが、死ぬまで大事にしたい紙切れだ。

写真は載せない。これから行く人の楽しみを奪わないように('∀`)

 

 

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アルメダ公園から見たカテドラル。

あまりにも疲れた。

だがアルベルゲがすごく遠いのだ。

インフォメーションで聞いた一番近いアルベルゲに行くも満室だった。

この巡礼初めてホテルに泊まる。もうアルベルゲを探し歩く力は残っていなかった。

ダブルで48€。

なぜ奮発したか。それは・・・風呂があるからだ!!

ということでお湯をたっぷり張ったお風呂で38日の疲れを癒やす。

38日もヨーロッパにいたくせに、結局は日本人なのね。

 

 

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母をたずねて三千里」をやっていた。

やる気のない感じのスペイン声優陣。

 

 

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クレデンシャルは両面びっちり。

一つ一つのスタンプに思い出がある。

 

 

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この教会でも証明書っぽいのをもらえた。

100年に一回の記念年らしく、しかも今年は800年で巡礼780kmと縁があるから2倍お得だと、長らく巡礼で同じだったドイツ人おじさん二人組に教わったので貰いに行った。

 

 

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サンティアゴ・デ・コンポステーラの町を歩いていると知った顔がそこら中にある。

みんな再会を祝い、抱き合い、キスをする。

僕らも何人も知った人に出会って嬉しかった。

前述のドイツ人おじさん二人組にはビールまでおごってもらった。

考えたらおごってもらってばかりの巡礼だったなあ。

ありがたやありがたや。

 

 

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到着日はご褒美の外食。

ネットで調べてお腹いっぱい食べられるというレストランへ。

ミラネサはアルゼンチン以来でした。

 

 

巡礼者ミサ

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次の日、12時の巡礼者ミサへ向かう。

壮大なカテドラルの中では巡礼者がひしめき合う。

ここでも知った人ばかり。

ミサで会う約束をしていたイタリア人夫婦と地下聖堂などを見学する。

キリスト教徒にとってはここが世界三大聖地の一つ。

熱心に祈り、祭壇裏のヤコブ像に額をつけて祈る。

彼らにとってはここがゴールなのだ。

僕らはただただその荘厳さに驚くのみ。

 

 

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ミサでは司祭が巡礼者の出身国を読み上げ、聖歌が歌われる。

涙にくれる巡礼者たちが大勢いる。

いつもはたくましいヨーロッパの人々がむせび泣く。

巡礼初めは全然宗教色を感じなくて驚いたが、やはり巡礼はキリスト教徒にとって強い思いがある。

彼らは宗教で泣ける人々なのだ。日本人にはわからない感覚。結局巡礼を通して宗教的な感覚は一切受けなかった。でも、人々の祈りの思いは感じた。日本の神様の感覚とは違うようで本質的なところは一緒なのかもしれない。人間は弱い。だからこそ神様が必要な人がいる。

 

 

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大香炉はなかった。

大香炉とは巡礼者の体臭を消すために始まったとも言われる、このカテドラルの名物でもある。

聞くと金曜日説と日曜日説があったり、お金が集まったらやるなどがあるが、残念ながら見ることができなかった。

 

 

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ここから87kmくらいのところにあるフィニステラという地があり、そこまで行く巡礼者も多い。

その「地の果て」という意味のフィニステラの海で、巡礼で使った品々を燃やすという。

僕らはシェンゲン協定のせいで、急がなくてはならないので行けなかった。バスでも行ける。

 

 

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ミサはスペイン語なので一切分からないが、日本の名を上げられた時「おつかれさん」と言ってもらったような気がした。

 

 

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町は巡礼者と観光客であふれる。

サンティアゴ・デ・コンポステーラは不思議な町だ。

巡礼者の憧れの聖地であり遠い遠い終着点でもあるが、普通にここで暮らしている人も大勢いる。人々は巡礼者に対してとてもやさしい。町では苦楽を共にした友人たちにも会える。

夢に出てきたくらいのサンティアゴ・デ・コンポステーラは、色々な思いが詰め込まれた町だった。

 

 

とにかく巡礼は終わった。

38日間もかかってしまったが、無事怪我もなく終えることができたのは、神様のおかげというやつかもしれない。

ひとまず、休憩・・・と行きたいところだが、貧乏世界一周旅行。とどまることは許されない。何だかんだいってスペインも物価高いからね。

 

 

早くアジア行きてえ~

 

 

巡礼の旅-終-