僕が世界一周の旅を終えて一番強く思ったこと
夢と現実逃避が混ざり合った世界一周が終わった。
こんな大それたことを考え始めたのはいつだったか。
それは僕の生きてきた中で経験した全てが、僕という人格を形成した本や映画や音楽が、その全部がごちゃまぜになって生み出した一つの答えだったように思う。
そして気づけば頭の中は「世界一周」という夢でいっぱいになっていた。
世界一周の夢は不安の塊でしかなかった。
でもその目標に向けて生きていくのは楽しくもあった。
嫌な仕事も「軍資金を貯めるため」と何とか頑張れた。
ひもじい生活も世界の歴史や文化を本や映画で吸収することで現実逃避できた。
そしていうなればここ数年のすべてを注ぎ込んだ世界一周へと踏み出した。
何となくのプランはあった。
でも世界は広い。いくら勉強してもまるで追いつかなかった。
そしてたくさんの人に出会いたくさんの物語を聞くことで、僕らの最初のプランは脆くも崩れ去った。
僕らは文字通り放浪した。世界地図は小さくなっていった。だってインターネットとLCCとバスがあればどこでも行けるんだから。
まるで近所を散歩するように、その時の気分のまま世界を歩き回った。
良いことばかりではない。でも今思い返してもどれも素晴らしい時間だった。
旅は何も教えてくれないが、いろんなことを考えさせてくれた。
日本にいたら一生考えないようなことがそこら中に転がっている。
そしてどんなことも答えなんてなかった。
日本の当たり前はどこに行っても通用しない。
僕の中にある核の部分がボロボロと崩れていった。
そんな僕らの旅。
別に自慢できるようなたいそうなことはしていない。
時間とお金があれば誰もができる旅だ。
でも、そこで何を感じるかはやってみないとわからない。
何かが劇的に変わったかというとそうでもない。
パソコンの前には今までどおりの僕がいる。
そんな僕らの旅を今ゆっくりと思い出す。
中南米
世界一周出だし大コケの原因はもちろんあの国だった・・・ - tabing 世界一周
旅の最初は大失敗で始まった。
アメリカの超然たる自信のせいで、一介の貧乏旅行者が心臓をバクバクさせられた。
テオティワカンの階段の傾斜は、ばあちゃん家くらいだった - tabing 世界一周
メキシコではテオティワカンの迫力に圧倒された。
そしてディエゴ・リベラやフリーダ・カーロなどの熱い芸術を感じることが出来た。
でもタコスはとびきり辛かった。
ペルーはやっぱりマチュピチュだ。
すごい足元を見られたチケット代だったが、それもこの景色を見ればぐうの音も出ない。
霧と雨の中でかすかに見えたマチュピチュは、遠いインカ帝国時代の面影を感じさせてくれた。
チチカカ湖に咲くインディヘナ文化 プーノの祭り「カンデラリア」 - tabing 世界一周
チチカカ湖畔の町でお祭りに遭遇した。
普段は恥ずかしがり屋のペルーの人たちが踊り狂う姿は、それはそれは美しかった。
ボリビアの入国は緊張した。
なんせたくさんの日本人が酷い目にあっていたから。
でもビビればビビるほど意外に呆気ないものだ。
この旅でも一番の絶景はやはりウユニ塩湖だろう。
一面が鏡張りの大地はまるで世界が終わったかのような光景だった。
あの時の360°すべての景色は、今でも鮮明に思い出せる。
一生忘れることができない絶景だった。
宇宙のような星と闇しかない光景。
そこに差し込む太陽の光。
ウユニ塩湖の朝は、この自然の調和のお陰で生きているというのを実感できる感動があった。
アタカマ砂漠2泊3日ツアーで見た青い空とフラミンゴ - tabing 世界一周
標高5500mを走るランドクルーザー。
アタカマ砂漠は月面のような異世界。
色とりどりの湖とフラミンゴが迎えてくれた。
ここで同じゲバラファンのチリ人の友人ができた。
細長いチリをぐーっと下って辿り着いたチロエ島。
かわいい家々と巨大サーモンのお出迎えにご満悦。
ディナーはサーモンのフルコース!
フィッツロイ~セロ・トーレトレッキング 1日目 - tabing 世界一周
憧れのパタゴニア。
煙を吐くといわれる名峰フィッツロイで、奇跡のような快晴の下トレッキング。
パタゴニアの大自然のおもてなしに圧倒される。
パイネ国立公園トレッキング その1 - tabing 世界一周
大苦戦したパイネ国立公園トレッキング。
7日間で99km。強風と極寒の中、台湾の友人とともに何とか乗り切った。
辛すぎる思い出の中でもきらめくのは偉大なパイネの山並みだ。
癒やしのコロニアル・デ・サクラメント - tabing 世界一周
ひょんなことから降り立ったウルグアイ。
コロニアル・デ・サクラメントは、素朴でどこか懐かしい港町。
世界遺産の町でゆっくり過ごした。
ブエノスアイレスで世界最高の肉を3000円で食べる - tabing 世界一周
アルゼンチンといったら肉でしょう!
世界でもトップクラスの高級ステーキ屋で、700gの肉塊にかぶりつく!
・・・ちなみに1周間で7kg太りました。
「南米の巴里」ブエノスアイレスの美しい街並み写真集 - tabing 世界一周
南米の巴里ブエノスアイレスの町並み、そしてタンゴに酔いしれる。
治安の悪さにドキドキしながらも、ブエノスアイレスの町を歩き回った。
長かった南米大陸の旅を終えるには名残惜しい町だった。
ヨーロッパ・北アフリカ
FCバルセロナの聖地カンプ・ノウ、ネイマールの間近でサッカー観戦 - tabing 世界一周
やってきましたヨーロッパ。
急なユーロ高で目眩がするも、一路向かうはカンプ・ノウ。
サッカーファンの聖地で超人たちのプレーを見る。
実物のメッシは速すぎて目で追えなかった・・・
バルセロナの至宝ガウディの作品を巡る。
あまりの天才ぶりにただただ口を開けるしかなかったのは良い思い出。
サグラダファミリアの完成は2026年。その時はまた行きたいな。
アフリカの大地、最初の町はモロッコはマラケシュ。
はじめてのイスラム国家の雰囲気に戸惑いながらも、やっぱりお腹は空くもので。
世界遺産のフナ広場で日夜繰り広げられる宴を堪能する。
エッサウィラは港町だ。
モロッコと聞いて海を連想するのは難しいが、本当に居心地がいい町だった。
でも生まれて始めての南京虫を味わった場所でもある。
トドラ峡谷で日本人宿に入り浸る。
ノリコさんのコロッケの味は今でも忘れない。
とっても静かなトドラでベルベル人の歴史を感じる。
メルズーガは砂漠の町。
あまりの暑さに閉口するも、洗濯物の乾きが一番良かった町でもあった。
そして僕らはサハラ砂漠で妖精を見つける。
モロッコの美しすぎる「青い街シャウエン」の風景 - tabing 世界一周
シャウエンは青い町。
とにかく何もかもが青くて、何もかものんびりした町だった。
丘の上から眺めるシャウエンは、今まで見たこともない美しさだった。
モロッコは猫の国でもある。
もちろん青い町にも猫はいる。
モロッコの猫は本当に幸せそうだったなあ。
巡礼1日目 St-Jean-Pied-de-Port~Roncesvalles 26km - tabing 世界一周
さあ、始まりましたサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼の旅。
スペイン北部を780kmただただ歩き続ける。
何のために?それは僕らが一番聞きたかったことだ。
ここではたくさんの人たちと友達になれた。国も年齢も宗教も違うが、同じ道を歩く同志にはそんなこと関係無い。
【巡礼完結】サンティアゴ・デ・コンポステーラに立つ - tabing 世界一周
38日間歩き通してなんとか辿り着いた聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラ。
いろんなことがあったけど、これほど濃密な時間は今までなかった。
これも毎日のおいしい料理とワインのおかげかな。
マドリードの3大美術館巡りは巡礼よりキツかった - tabing 世界一周
懐かしい都会の喧騒が響くマドリード。
ここでは巨大な美術館を数日かけて巡った。
ずっと見たかったゴヤの「我が子を食らうサトゥルヌス」とピカソの「ゲルニカ」があった。
まるで人間が描いたとは思えない迫力でクラクラしたのを覚えている。
チェコはプラハで絶景とビールを満喫! - tabing 世界一周
全く予定になかった東欧に飛ぶ。
旅で会う人会う人みんな口をそろえてよかったという東欧。
僕らはチェコのプラハにいた。
第2次世界大戦で傷つけられなかったプラハは、まるで童話の世界のような綺麗な町だった。
ビール狂の詩~チェコのビール聖地巡礼~ - tabing 世界一周
ビール狂の聖地がチェコにある。
ビール好きなら絶対に来るべき聖地だ。
ここで飲んだビールを思い出すと今でも・・・ゴクッ。
「紅の豚」の世界が広がるクロアチア・ドブロブニク - tabing 世界一周
大移動を繰り返して辿り着いたクロアチアのドブロブニク。
そう、ここは紅の豚でお馴染みのアドリア海が目の前に広がる要塞都市。
気分はもちろん映画の世界だ。
旧ユーゴスラビアとブルガリアを越え、やっとトルコにたどり着く。
トルコのカッパドキアで気球を下から眺めながら、灼熱サイクリング。
しんどかった~(汗)
凄まじかったエジプトの喧騒。
でもピラミッドはやっぱりピラミッドだった。
これで料理がうまかったら言うこと無いけど。
ダハブで世界一周旅行者の持病『旅疲れ』を癒やす。 - tabing 世界一周
駆け抜け続けてかなり疲労困憊だった僕らを癒やしたのはダハブ。
海を見て寝て飯食ってを繰り返す毎日。
ダハブはそれが許される町。
アジア
時差ボケでオロオロしながら降り立ったのはスリランカ。
古都キャンディはこれぞアジアという匂いで満ちていた。
久しぶりの米食がうれしいスリランカ。でも辛い。
ダンブッダの石窟寺院でアジアをみた - tabing 世界一周
ダンブッダの石窟寺院は素晴らしかった。
お隣のシーギリヤロック目当てにやってきたのだが、むしろこちらのほうが良いといううれしい誤算。
やはり仏教芸術は自由なんだなあ。
南インド・マハーバリプラムでバターボールに戸惑う - tabing 世界一周
ついに来たインド。
まずは南インドだ。南インドの人たちはとても優しくて拍子抜けした。
南インドは料理も美味しくて、また行きたいと思わせてくれた。
しかし、バターボールとはなんぞや?
【やさしいインド鉄道入門】28時間寝台列車インド亜大陸打通作戦(チェンナイ~コルカタ) - tabing 世界一周
広大なインド大陸を28時間かけて北上する。
もちろん鉄道だ。インドの旅は鉄道なくして語ることは出来ない。
もちろん平凡な車内もそこはインド。たくさんのドラマがある。
ブッダガヤはかのお釈迦様が悟りを開いた場所。
その静かな聖地で日本から来られているお坊さんと話した。
悟りは開けなかったけど、とても有意義な日々だった。
インド最大の聖地バラナシ「神と共に生きる人々」 - tabing 世界一周
聖なるガンジス川に抱かれたバラナシ。
これぞインドという風景に襲われる。
インド・・・また来たくなっちゃうんだろうなとガンジス川を見て思う。
タージマハルのあるア-グラから地獄の移動を繰り広げて何とか辿り着いたリシケーシュ。
この旅始まって唯一のダウンを期したのはやはりインドだった。
ヨガの聖地リシケーシュではもちろんヨガを体験してみた。
というかインドって聖地いくつあるんだろう?
アンナプルナBCトレッキング 1日目 分け入っても分け入ってもヒマラヤ - tabing 世界一周
ネパールといえばそうヒマラヤ山脈だ。
この旅最後のトレッキングはアンナプルナ。
雨季のジメジメした道をヒルに食われながら何とか進んでいった。
そしてゴールに待っていたのは・・・
ポカラは僕が好きな町の一つだ。
フェワ湖を望む静かな町はモノクロ写真がよく似合う。
写真を撮るのが一番楽しかった町。
旅人が沈む町、カトマンズ。
飛行機の都合で大沈没する羽目になった。
カトマンズといえばグルメ。お気に入りの店を巡るのは楽しかった。
想像を超える大都会バンコクでは、デパートにランボルギーニが売っている - tabing 世界一周
やっと着いた微笑みの国タイ。
なんせおいしい料理に安いビールが並ぶタイは天国だ。
そして僕らは大都会バンコクに潜り込む。
そこには圧巻の光景が広がっていた。
アユタヤ、スコータイ、タイの仏教遺跡巡り - tabing 世界一周
アユタヤからスコータイへ。
タイの遺跡は少し悲しげだ。
破壊された仏像はそれでも薄っすらと笑みを浮かべる。
チェンマイ・ローイクラトン祭り コムローイの空 - tabing 世界一周
チェンマイで見たコムローイ。
空を埋め尽くす明かりの祭典。
かなりの混雑の中で見た感動の瞬間。
そして僕のカメラはついに果てる。
ラオスの悪路を進んでルアンパバーンにやって来る。
・・・うん、特に何もない。
それがラオスの良い所なんだけど。
のんびりラオスの正しい過ごし方はメコン川を眺めながらビアラオを飲む。これだけ。
日本の面影とオーダーメイドと黄色い町ホイアン - tabing 世界一周
ベトナムは料理といいコーヒーといい僕の好きなものばかりが待ち受けている。
ホイアンで甘ったるいベトナムコーヒーを飲みながら、遠い昔のご先祖様を想う。
あとなぜかWiFi完備のバスがありがたい。
変わり行くホーチミン。
もう3度目だけどホーチミンは全く飽きない。
デタム通りで飲むビールはいつ行っても変わりなく美味い。
カンボジアといえばアンコールワット。
旅のフィナーレを飾る大遺跡を巡る。
この圧倒的な遺跡たちがなぜ忘れ去られたんだろうというのが一番の謎。
ムスカ大佐も目が痛む?カンボジアのリアル・ラピュタ「ベンメリア」 - tabing 世界一周
ムスカも勘違いしそうなベンメリア。
天空の城ラピュタの世界を味わうならやっぱりここだ。
日本人なら誰もが叫びたくなる「バルス」な遺跡。
旅の疲れを癒やすのはやっぱり海。
ということでタイ南部のクラビでゆっくり過ごす。
旅の終わりを感じつつ、旅の思い出を話し合うには最高のところだった。
最後の地、台湾。
この旅で出来た一番の友人と久々の再会だ。
おいしい台湾グルメで心身ともに満たされる。
そして旅は終わった。
非日常が日常だった11ヶ月。
夢と不安と驚きとため息、そしてたくさんの出会いが詰まった11ヶ月だ。
たしかに世界を一周した。
27カ国を巡った。
世界はとても広い。そして狭い。
いつ終わるかもわからない長いバス旅で感じた世界の広さと、今思い返す記憶の中の小さな世界は同じようで違う。
僕達の見た27の国々、0mから5500mの景色、数えきれない人々、そのすべてを忘れることはないだろう。
今やインターネットですべての情報を得ることができる時代に、この目と舌と肌と足で感じた世界。
それは言葉にするのが不可能なくらい膨大な感情で彩られたリアルな世界だ。
本やネットでは絶対得ることが出来ない世界の、色を、匂いを、そして思いを記憶に刻み込んだ。
この経験は金にはならない。
でもたしかに僕の中で強く輝いている。
これで何を得たかというのはまだわからない。まるで変わってないようにも見える。
でも世界で僕が感じたことは、これから起こることすべてに関係していくだろう。
僕の今までの人生の中で導き出された答えが世界一周だったように。
すべてのことは繋がっているのだ。
今ある価値観や基準はすぐに変わってしまう。
しかし生きてきた証である経験は変わることはない。
だから自分を突き詰めることによりたどり着いた先に見つけた『やりたいこと』を実現するために生きる、それが人間にとって一番幸せなのではないかと思ったのだ。
たとえそれが他愛のないことであっても、一銭にもならなくとも、誰にも評価されなくとも、自分がたどり着いたということが素晴らしいと思うのだ。
自分がしたいことが実現できた、いや自分が本気でしたいことが一つでも見つかった僕は、とても幸せな奴だと思う。
これが旅の中で一番強く思えたことだ。
小さなことだが、そんなことを気付かされた旅だった。
だから「お前は明日死ぬ」といわれても後悔はない。
全くないとはいえないが、でも僕の人生はすごく楽しかったと思えるだろう。
自分がやりたいことを見つけることができれば、どんなに高い壁があろうが絶対に挑戦すべきだ。
たとえ失敗しようとも、何もしなかったよりは良い。
やりたいことを見つけられない最近の社会の中で、それを掴み取れただけでも幸せなことなのだから。
あとで振り返ればきっとそう思えるだろう。
さいごに
ということでひとまず「この」旅は終わりました。
読みづらいブログだったと思いますが、いつも見てくださった方々、コメントをくださった方々、誠にありがとうございました。
おかげさまで毎月17000PVもの閲覧があり、とても驚いています。
初めは誰も見ていなかったこのブログが、今やたくさんの方々が覗いてくださるようになれたのも、この旅のうれしいかったことのひとつです。
あ、でもまだまだ終わりません。
今から当分は暇なニートちゃんなので、旅を通して思ったことなんかを書き連ねていきたいと思っています。
職探しは・・・正月明けくらいから・・・いや2月くらいかな(^O^)