日本海礼讃

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無数の生き物の死臭、分厚い潮風、見上げればいつもの灰色の空、膿んだような曇、青黒い海。

ここは日本海。

太平洋側と比べると、言うまでもなく暗く陰惨で死人のような、そんな日本海。

水平線から灰色の重そうな曇をぞろぞろと連れてくる日本海は、いつ見ても心は晴れない。

夏の一時の辛うじて美しい姿を除けば、あとは暗い廃墟のような海。

 

 

 

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そんな海に押し込められたような岸壁を走る線路。

 

 

 

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冬に吹き付ける寒風の度に列車は止まる。

 

 

 

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学生くらいしか乗っていないけど

 

 

 

 

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ひと風吹けば潮まみれになる道沿い

 

 

 

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散歩道

 

 

 

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かと言って凪いでいたら絵にならない。

そこが難しいところ。

 

 

 

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日本海を見るなら冬に限る。

荒れ狂う白波まみれのモノクロの海、塩害で蝕まれた腐った家、耳を食いちぎる寒風、錆びて崩れたトタン、岩に打ち付ける重い波。

それを見て明日も頑張ろうとゆっくり立ち上がるのが日本海に住む人々。

ってじいちゃんが言ってたなあ。

 

 

 

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それにしても列車が来ない。