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tabing 世界一周

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青春の一冊「モーターサイクル・ダイアリーズ」

特別お題「青春の一冊」 with P+D MAGAZINE
http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/pdmagazine

 

 

モーターサイクル・ダイアリーズ (角川文庫)

モーターサイクル・ダイアリーズ (角川文庫)

 

 「青春の一冊」というお題。

こいつを見た時、脳内書庫からバサッと落ちたのはモーターサイクル・ダイアリーズだ。

 

青春の一冊というのは、99%がアイデンティティー喪失期の誇大妄想モード時に手に取ったものだろう。

いや、手に取ったというより必然的に目の前に具現化したと言っても良い。

青春の一冊とは自称迷える子羊たちをますます迷子にさせちゃう、ハーメルンの笛吹き男みたいな存在なのだから。

 

 

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そんなハーメルンの笛吹き男が連れてきたのは、チェ・ゲバラという中二病の教祖だったわけだ。

チェ・ゲバラというのは、(マテ茶好き)アルゼンチン生まれの正義感の強い(喘息持ち)イケメン(やぶ医者)であり、その類まれな行動力が(演説長すぎ!)フィデル・カストロとの出会いによって(グランマ!!)キューバ革命へと向かい、そしてその奇跡を世界へと広めようとした男、いわゆる限りなくフィクションに近い超人だ。

あのジョン・レノンがかっこいいなあ~って憧れちゃうほど、男の誇大妄想を地で行く化物でもある。

 

 

初めにゲバラを知ったのはTシャツだった。

DQNホイホイのナイト・ドン・キホーテであの有名な写真がプリントされた980円のTシャツだ。

当時18歳、慢性中二病患者だった僕は、このむさ苦しくも凛々しい髭面のベレー帽男を見てハッとした。

こいつ、よく見るけど誰やねん」と。

 

歴史好きで名を馳せていた僕も井の中の蛙、当時は世界史の中でもマイナー(失礼)な中南米まではまだその終わりなき触手を伸ばせてはいなかった。

それから数日間、(学校の教師の数百倍も使える)ウィキペディア先生の中に入り込んで出られなくなったのは言うまでもない。

中南米の歴史というのは若い。若いというのは歴史の浅さという意味ではなく、主要人物が軒並み若いのだ。

そのため、シャアも嘆くほどの若さ故の過ちが繰り広げられる

マヤやインカという高度な文明が、インドと間違えてやってきた病原菌によって滅ぼされ、そして長く続く植民地時代。そんな抑圧を跳ね除けたのはシモン・ボリバルより続く若い血だった。

ウィキペディア先生はそんなパッションすら教えてくれるからえらいものだ。

 

まあそんなこんなでゲバラと出会う。

はじめに買ったのは、バイク野郎先生のチェ・ゲバラの遥かな旅だった。

これはサクッとゲバラの人生が書かれている入門書である。ここで目が行きそうなのはキューバ革命やその死であろうが、何故か僕はゲバラ学生時代の中南米貧乏旅行に釘付けになった。

そこには後のゲバラの思想、行動、意志の源泉があり、そして死までの道の最初の一歩だったからだ。

 

 

そしてモーターサイクル・ダイアリーズを読んだ。

この本はゲバラの旅の日記を元にしている。ここには後の革命家である23歳の医学生の1万2千キロにも及ぶ経験のすべてがある。

ゲバラ中南米の貧乏旅行を通して、中南米に蔓延るたくさんの問題が、実は非常にシンプルな原因によって引き起こされていることを知る。ただ本を呼んだり学校で学んだわけでもなく、目と耳と肌と足ですべてを知ったのだ。

 

この「吸収」の原動力こそ、青春だった。

ここに僕の青春も惹かれたわけだ。青春とは闇雲に当たり散らしたい衝動的なエネルギーであると思う。自分がなんであるか?というより、自分とは他と何が違うのか?を自他ともの認めさせたい、そんな欲求がエネルギーの源だ。

でもほとんどの人はそれをただ抑圧し、可能性に憧れながらも、気づけば社会人とされてもっと強い抑圧の中に吸い込まれていく。

ゲバラはそんな青春のエネルギーを行動に昇華し、そしてそれが未来のキューバ革命へとつながった。その行動こそ、男たちの理想の姿であり、憧れでもある。

 

ゲバラはそんな青春の熱いスタート地点から、休むことなく走り続け、そして熱いまま死んでいった。すべてが映画的だ。始めからシナリオでもありそうな、激しい人生。しかし、そこにはたくさんの不安や挫折があったはずだ。キューバ革命が失敗していたら、ゲバラは馬鹿な左翼ゲリラの一兵卒として、名も知られず人々の嘲笑を受けながら野垂れ死んでいただろう。

 

そんなゲバラに憧れた頃から、僕は世界一周の旅を現実的な視野に収め始めていたのかもしれない。

僕の世界一周の旅はゲバラに比べれば何の変哲もない観光旅行だったかもしれない。だが、僕なりにたくさん吸収することができた。

それより何より、無謀だと思ってもとにかくやってみた。数年かかりの準備と計画、そして不安だらけの日々だったが、とにかく「できた」という経験が一番の勉强だったと思う。

これこそ若きゲバラも目指したものではなかろうか?

 

 

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あの多感な時期にモーターサイクル・ダイアリーズを読んでいたからこそ、今の僕があるわけだ。

一冊の本が人生を変えるというけれども、あながち間違っていないかもしれない。

僕はゲバラとは逆ルートだったけれども、ゲバラの旅した中南米に行った。もちろんバイクじゃないし、相棒はアルベルトじゃなくて嫁さんだったが。

僕はバスの車窓から南米の果てることない地平線を眺めながら、バイクを押しながら咳き込んでいる若きゲバラの姿を想像していた。

 

 

 

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