東京50mm①「東京ミッドタウンの中の不自然な自然」

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久しぶりの旅行、久しぶりの東京。

そしてそんな東京に50mmの単焦点レンズだけで向かった。

結論から言うと、東京は50mmじゃ収まりきらない。

今回は東京ミッドタウン周辺の写真と共に東京雑感シリーズ。

 

 

 

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夜行バスから寝ぼけ眼で降りて、トボトボと新宿駅の中を歩く。

「東京人というのは、歩くのが速い」

ド田舎者は本当に見てきたのか知らないが皆そう言う。

早いのは確かだが、東京人の歩行は暗黙の了解という名の東京ルールで完全に統制されている。これがド田舎者にとって異様に映る。

北朝鮮の軍隊の行進か、日体大の団体行動か、それくらい彼らは新宿駅の中を数学的に闊歩している。

ここでは立ち止まってはいけない。ド田舎者にとって、あの統制された人の波の中へ分け入ることは恐怖である。

無表情な東京ルールにより管理された東京人のカオスにして自主的な意思の交差の中は、まさに最近流行りの忖度に次ぐ忖度の乱気流である。

ほんの一瞬の目の動きで右に行くか左に行くか読み合い、急いでいるサラリーマンやハイヒールのお姉さんや反応の鈍そうな御老人という多種多様な反応を忖度することで声もかけずに避ける様は、これぞクール・ジャパンだと思うんだが。

 

 

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朝の新宿駅は、僕の田舎の総人口が一瞬で混じり合い散らばるような所であり、それだけで僕の脳内は過剰ストレスでチカチカする。

こんな中を通勤で毎日二回以上歩き回るんだから、そりゃおかしくもなるわなと率直に思いつつ、日本人でも混乱する路線図を近づいたり引いたりして眺めつつ、文明の利器であるスマートフォン様のおかげで行き先までの経路を何とか見出す。

地元のJRしかない路線図は幼稚園児でも書けるレベルなので、東京の路線図はカンディンスキーの絵のように前衛的だ。

何とか魔窟新宿駅を脱出し、あの六本木にある東京ミッドタウンにたどり着いた。

 

 

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こういう、

 

 

 

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わざとらしい、

 

 

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都市と自然の融合のような風景、これぞ東京である。

大自然に囲まれたド田舎物が見たことのない不自然な自然がここにある。

コンクリート製の川らしきものの周りに、木やら花やらが生花のように突き刺さっている。

 

 

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これとか究極。

うちのばあちゃんがみたらゲラゲラ笑いそうだ。

僕はこういった冷たい人工的な自然が大好きである。本来の野ざらしの自然では、こういった精巧さは微塵もない。

田舎の自然は自然が人間を圧倒しており、最近の過疎化のおかげでもはや負け始めている。人類始まって以来の出来事で、自然は数万年ぶりの勝利である。

都会の自然はOLが雰囲気を変えるために頑張ってDIYして壁紙を変えたようなものであり、それは気分である。

 

 

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これなんかもはやヒッチコックだ。

 

 

 

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「ビル群と芸術的構造物と人工自然と工事するおじさんの風景」

もはや何が起こっているのか理解できない。

それが東京なのである。

 

 

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ちなみに、なんでこんな洒落たところに来たかというと、かのウィリアム・クラインの写真展があったからだ。
場所は東京ミッドタウン内にある「21_21 DESIGN SIGHT」というコンクリートの板を並べた箱の中である。

ウィリアム・クラインは都市に住む人間をスナップし続けた写真家であり、僕のようなド田舎者には見いだせないセンスとチャンスを持った男である。

 

 

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ウィリアム・クライン愛用のカメラ。

 

 

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SONY使ってるのに驚いたが、レンズはやっぱり良い仕事されてますね。

 

 

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狭い施設と聞いていたが、本当に小さく、写真展と書いてあったが写真を映像で壁に投射しまくるという都会的なコンセプトで少々面食らい財布を握りしめたがまあこんなもんだろう東京。

 

 

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ウィリアム・クラインの写真を観て、急に体の芯から芸術的な何かが湧いてきた。これはヤクザ映画を観て気が大きくなるアレと一緒だ。ワイルド・スピード観た後は警察に気をつけるべし。

そして最初に撮った一枚、右上に枝が見えている。なんてことだ。

 

 

 

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東京シリーズ、続きます。