【実機レビュー】これがライカM3とズミクロン沈胴型だ!!!

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ついに購入したライカM3!

せっかくなので、実機をこれでもかと舐め尽くしてレビューする。

 

 

 

 

死ぬまでにやってみたかったライカ開封の儀(中古)

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みんな大好きマップカメラーヤフーショッピング経由で購入。

ポイントが1万円くらい貯まったから、恵まれない不幸な僕にフィルムを買ってあげるんだ。

 

少しでも安く買うならポイントを狙えというのが高橋是清の最後の言葉でした。

 

 

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いよいよ開封!夢叶った(中古)

小さなプチプチの塊を手に持つと、脳がズレるような感覚。

そう、このくらいの大きさなのに予想以上にズッシリするからだ。

プラスチック世代の僕の脳は、このギャップに弱い。

 

 

これがライカM3だ!

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これがかのLeica様のM3だ!

俺はもう天下を取ったぞ!と8割くらい信じてしまうくらいの万能感、まさに袁紹状態!

しかしこの写真、「Nikon AF-S NIKKOR 24-120mm f/4G ED VR」の歪みはどうにかならんかね?

そんなこというならM3買わずに大三元中古で買えばよかったじゃないかというのはライカユーザーに絶対禁句である。

ライカM3の歴史や詳細情報は前前回の記事を御覧ください。

 

 

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製造番号は920962=1958年生まれ。

1958年はシングルストロークにマイナーチェンジしたばかりでスプリング式シャッターという貴重なモデル。

そこのところの詳細は前回の記事をご覧ください。M3は色々あるんです。

ライカは製造番号からいつどこで作られたかすぐわかるようになっており、そこがコレクターホイホイになっている。

要するにライカとは「ライカは消耗品ではなく歴史を作っているんだ!」と言い張る沼の住人の預金額を消耗している耐久財である。

 

 

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右から

・フィルムカウンター(なんと自動)

・シャッターボタンとシャッター巻き上げレバー(麻薬並みの依存性のある感触)

・シャッタースピードダイヤル

・アクセサリーシュー

・フィルム巻き戻しノブ

ひとつひとつの質感、動かした時の感触、握りやすいシルエット、完全調和なフォント、これは近くで見れば見るほど吸い込まれる。

あ、万札がね。

 

 

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左上の絶妙な位置にあるファインダーと、真ん中にあるいまいち使い方がわからない目盛り(フィルムISOを記録しておくらしい)

後ろから見るとわかりやすいが、一見持ちにくそうな丸みを帯びたシルエットだが、手に馴染むような絶妙な厚さ。

 

 

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裏蓋が開くようになったので、バルナックライカのようなヒヤヒヤもののフィルム装填儀式は不要となった。

シャッター幕がきれいで良かった。中古を買う時は要注意。

買って数日はここ開けてシャッター切りまくって幕がビュンビュン動くのをひたすら眺めていた(真似しないように。たぶんするが)

 

 

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スプールの切れ込みにフィルムを挟み込む。

自動フィルムカウンターはスプールを出せばリセットされる。

 

 

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最後に竜顔。

ボディキャップがツァイスなのはご愛嬌。

来世と預金通帳が透けて見えるとまで言われる史上最高のファインダーを構成する3つの窓、右からファインダー窓・採光窓、距離計窓。

この3つの窓を構成するのが7個のプリズムと8個のレンズであり、それが超絶的な精密さで組み込まれており、まあともかくすごいのだよ。

 

 

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そしてこれが史上最高のファインダー

デジタルカメラのファインダーなんて瓶底眼鏡ですよといわんばかりの抜群の視界。

スマホ写真なので伝わりづらいが、とにかくカメラを嗜むものなら一度はこのファインダーを覗き込んで欲しい。その後に待つのは田中長徳の本だ!

0.91倍という視野はほぼ見たままの世界、なので右目でファインダー覗いて左目で被写体を眺めると・・・これ以上先は言えないぜ!

大きな四角い線は50mmレンズの画角、真ん中の黄色い四角の浮遊物体はピント合わせ用。

一眼レフカメラと違い、ピント合わせは真ん中の黄色い四角の部分のズレを合わせるようにして行う。

ピント合わせは厳密にできるが、一眼レフカメラのようにボケを確認することはできない。

まあともかくこのファインダーは魔性、少しでもM3が欲しいと思うなら覗き込んだら最後だと思うべし。

これは沼へのETCゲートなのだから。

 

 

全体的にいうと、とにかく近代以降の所有欲を満たすモノTOP10には確実に入るであろうことは間違いない。

ここではモノとしてのM3の完成度の高さを書こう。

あくまでも「写真を撮るための機械」が欲しいのであれば、間違いなく日本製カメラを買うことをおすすめする。

ライカM3は「写真も撮れる機械」であり、近代以降の科学技術信仰のイコンなのである。

自然と非科学的な神の介在を一切持たない科学技術の塊であるM3は、その質感、手に取った時の重み、音や操作の感触、その全てに近代科学技術の絶対的な倫理を具象化している。

それは複雑な数式で導かれたように完全調和が再現されており、まさに「人工の自然」体系といえよう。それがどんな人間でも手に持つと感じることができるように、小さくそして完璧に生み出されたのがM3である。

これこそがM3の伝説なのである。

 

・・・と、昔のカメラ雑誌のライカマニアのオヤジのように書いてみました。

簡単にいうと「よくわからんけどめっちゃ複雑なカメラ」がM3です。

 

 

 

レンズはもちろんズミクロン50mm F2 

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レンズも買わないといけないのは言うまでもないし、正直なところフィルムカメラは本体よりレンズの方が重要。

なんせカメラはブラックボックスなので。

ライカM3とくれば50mmであり、そして「ズミクロン50mm F2初期型沈胴」となる。

もうこれは「次元大介と S&W M19」「ラオウと黒王」「ぐりとぐら」くらいどうしようもなくセットなのだ。

カメラのナニワさんで9万円で購入、お気付きの通りこの辺りで金銭感覚がスコセッシの映画に出てくるマフィアの奥さんくらいイカれ始めている。

連休を挟んだからか届くのに1週間もかかってしまい、カメラだけ先に来たので仕方なく無言でシャッター切りまくって待つという知らない人が見たら星飛雄馬の姉ちゃんみたいな目をするであろう日々を過ごしたのは言うまでもない。

 

 

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ちょっとクモリありくらいだが、60年前のレンズなんでこんなものなのかな?

まあこのレンズもちっこいのになんて重いんだ。

M3とほぼ同時期に発売されたズミクロンは、現代まで世代を重ねながら、描写力と値段を爆発的に向上させている。

 

 

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沈胴型とは現代人はよくわからないだろうが、レンズが伸びたり縮んだりするのだ。

しかし決してズーム機能があるわけではない、収納しやすくするためなのだ。

う~んマンダム。

 

 

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さあいよいよドッキング!

M型レンズからは、それまでペットボトルの蓋みたいにクルクル回して取り付けていたのを、今では当たり前のあのカチッと止めるバヨネットマウントに変更した。

 

 

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おおっ~!

なんやこのプロポーションは!

お~この感覚がアレか!

ライカ眺めながら酒飲めるっていうアレか~!

アレだ~!

うわあ~アレだ~!

 

 

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一杯飲んでひとまず沈胴型レンズをニョキニョキさせてみることに。

こいつが、

 

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こう!

ライカあるあるその53「意味もなく沈胴浮胴」

 

 

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レンズもさすがライカの黄金期(1950年代)であり、M3のような精密機械感が半端ない。

このセットを眺めると、さすがメッサーシュミットやティーガーを作った国やなあと軍事オタク的な発言をしてしまう。

以前にも書いたが、日独のカメラは枢軸国時代の兵器と思想が似ているんですよ。

ドイツは最先端、質実剛健、決戦主義。

日本は徹底改良、軽量迅速、決戦主義。

なのでM3とOLYMPUS PEN Fなんてまさにお国柄が出ていると思う。

 

 

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完全マニュアルで、F値ですら手動。

昨今の便利なデジタルカメラではありえない幾重にも渡る行程を経て、やっとこさシャッターボタンが押せるわけで。

レンズに数字が書いてあるが、あれで距離とピントを合わせることができる。

デジタルカメラ使ってたときは見向きもしなかったけど、マニュアルレンズはこれが大事。

ちなみに昔のプロは目測でガチピン写真撮ってたらしい。

 

 

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レンズフードが欲しかったけど、ご存知の通りライカレンズのフードはチューリップバブルの球根みたいな馬鹿げた値段がするのでスルー。

 

(パシュポ)Pixco Leica E39 39mm マウント レンズキャップ

(パシュポ)Pixco Leica E39 39mm マウント レンズキャップ

 

この完全に「訴えられるまでは売るぜ!」という意気込みを標榜したかのようなレンズキャップを購入。

600円也。

キャップをはめるというより、押し込む感じ。

 

 

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いやあ~この「あたしゃ舶来品のLeicaでっせ!」という自己主張の強さが潔くて逆に良い。だれも600円のパチモノだと思うまい。

ちなみにレンジファインダーカメラは、キャップを締めたままでもファインダー覗けば視界良好なので間違ってシャッター切っちゃあいけねえ。

 

 

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これだけ散財したのに、これ買っちゃった。

 

The Americans

The Americans

 

写真集って買ったときだけで、実際届いてみるとあんまり読まないというのを何度繰り返してもちょいちょい買ってしまう。

さすがロバート・フランク、スナップ写真の王道。

 

 

 

まとめと作例

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長々と書いてきたが、結局のところM3とは「とにかくすごい」としか言いようがない。

もうそれだけ。

でもそれだけだから60年以上も前のフィルムカメラが普通に高値で流通しているわけで。

だがこれだけは言える。買わなくても良いから、一度で良いのでM3を触って、覗いて、シャッター切ってみるべきだ。

これは本当に騙されたと思って一回やってごらん?その代わり、あとで何が起こっても責任は取らない

 

追記:M3のフィルム装填・巻取り・レンズ交換の動画をアップしました。


LeicaM3 Film Loading and Rewind and Change Lenses (ライカM3フィルム装填・巻取り、そしてレンズ交換について)

やっぱり動画がわかりやすいよね。

 

 

作例はこちら↓

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