第4回 ひろしま恐羅漢トレイル「ミドルコース」試走
我がホームグラウンドである中国山地で、日本でも屈指の過酷なトレイルランニング大会があります。
エキスパートコースは65kmという距離と過酷なアップダウンで、西日本屈指の難易度です。
今回はミドルコース22kmを試走してみました。といっても大会に出るレベルではないので、本大会には出場しませんが。
ミドルコースはご覧の通り。
※中国山地は登山者が極端に少なく、トレイルも不明瞭で眺望も悪いため、人の多い大会でもない限りはしっかりとした安全装備で臨みましょう。
今回も多めの水分食料・レインジャケット・ツェルト・GPSと地図を持っていきました。獣も多く、ツキノワグマの過密生息地域なので鈴などの装備もわすれずに。
序盤(ヨビヤ峠周回)
スタートが恐羅漢スノーパークになっていますが、駐車場等の関係もあり、今回は恐羅漢エコロジーキャンプ場から走り始めました。
なので試走コースは、序盤と終盤に距離がプラスされていますのでご注意ください。
4月中旬ですが、すごい良い天気。この辺は豪雪地帯なので、4月でも降雪があることも。
スタートからはロードを一気に下ります。
スタート地点が標高900m→700mまで怒涛の下りです。
高山地域なので今頃桜が満開です。
ミドルコースは、ヨビヤ峠を走ります。
このトレイルは人気コースではないので、情報が殆ど無いです。
横川トンネル方向まで一気に下り、魚切滝を越えたところに・・・
登山口があります。
見落としがちなので、車で恐羅漢スノーパークまで登る時に見ておきましょう。
人気コースではないですが、わりと整備されていました。
しかもこの時期は落ち葉のおかげでふかふかロード。アカマツが多いので足に優しいですね。
赤テープが所々にありますが、沢や谷沿いは迷いやすいところもあるので、一人で行くときは注意です。
峠道なので道幅は細く、沢越えもあるのであまりスピードは出せません。
登山口から渋滞しそうなので、序盤のロードは飛ばしたほうが良いかもしれませんね。
小さい沢ですが、雨が降ったりしたら滑りそうですね。
ヨビヤ峠は120mくらい登って、また100m程下ります。
高度を上げるとブナが見えてきます。
西中国山地はブナの原生林で有名ですので、ぜひブナロードをお楽しみください。
九十九折の下りを降りると、牛小屋キャンプ場方向へ向かいます。
古い石垣。この辺は僻地で集落がないので、木地屋かたたら製鉄か平家の落人なんかの人たちが暮らしていたのか?
牛小屋という名の通り放牧地でもあったので、牛飼いさんの田や家があったのかも。
中国山地の暮らしは情報が少なく、民俗学的に面白い地域なのです。
牛小屋谷は巨大な岩が転がる絶景です。
近くには名蹟三段峡がありますが、急峻な谷を流れる激流が生み出した自然の芸術が素晴らしい景色を見せてくれます。
写真を撮りたくなる絶景だらけなので暫し撮影タイム。
と思って岩場に付くと、足元で蛇が日向ぼっこ中。
熊、イノシシ、蛇、スズメバチと危険生物の宝庫でもありますので要注意!
何箇所かハシゴがあります。
岩場やガレ場が多いので、あまりスピードが出せません。
この辺はゆっくり歩いて写真を撮るのも良いでしょう。これぞ中国山地という景色なので。
このような小さい滝がいくつもあります。
今度、釣りにでも来ようかな。
巨大な一枚岩を流れる川。
牛小屋キャンプサイトに近づくと、ダムがあります。
ここからは道がひらけて走りやすくなります。
ここまで緩やかな沢沿いを200m程度登ってきたことになります。
キャンプサイトへ入ろうとしたら、いきなり電流デスマッチ!
仕方なく脇道から電線を越えました。さすがに本番は通過できると思います(笑)
キャンプサイト内はアスファルト舗装されていますが、けっこうキツイ上り道です。
本コースはここからスノーパークまで向かいます。
恐羅漢エコロジーキャンプ場で休憩。
本番はスノーパークでエイドステーションがあります。今回は自販機のジュースと待っていた高カロリー菓子パン。
大会ではなく普段のトレランでは、駐車場の車をエイドステーション代わりにできそうです。が、初めてのコースは食料等多めに持っていくことをおすすめします。
中盤(夏焼峠~恐羅漢山)
本番ではスノーパークまでスキーコースを下り、また登ってくるようです。
スキーコースを走ってよいのかわからず、今回はこのまま恐羅漢山登山口から登っていきます。
本番ではこの辺りで8.5kmです。僕の試走コース(恐羅漢エコロジーキャンプ場からのスタート)では10kmになります。
スキー場の激坂登りは名物らしいですね。
ここから恐羅漢山を目指すこともできます。
夏焼峠(なつやきのきびれ)まではセラピーロードともいわれているくらいなので、最高の森林浴が楽しめます・・・が、この日は4月中旬にもかかわらず20度近い気温。糞暑い。
夏焼峠(なつやきのきびれ)からは砥石郷山へも行けます。
かなりの急登で、エキスパートコースでは最後に待ち受けているというドSぶり!!!
かといってこちらもけっこうな急登。
恐羅漢エコロジーキャンプ場から200mくらい一気に上がります。
右手に台所原までの分岐が現れます。
狭い道を下ったあとは、久しぶりの高速道路(林道)になります。
この辺りは眺望もよく、気持ちの良いトレイルです。
がけ崩れあり。
開けたところを抜けると分岐を左に。
中ノ甲林道に繋がります。
台所原に到着。
ここからマニア向けの西中国山地最深部まで行けるようですが、相当な読図能力必須です。
台所原は僕が中国山地で一番好きなところ。
ブナの原生林に近い状態が保たれており、非常に美しい世界が広がっています。
ブナの巨木を中心とした植生が保たれており、人間の手があまり入っていません。
江戸時代まではこんな景色が西中国山地に溢れていたようですが、今やごく一部の地域にしか存在しません。
新緑の季節や紅葉の季節にはそりゃもう最高の景色が広がります。
この辺りは野鳥が多く、風の音と鳥の鳴き声で溢れています。
こんな感じで、日本でも有数の美しいトレイルではないでしょうか?
ということで暫し撮影散策。ここで暮らしたいなあ。
新緑時期に一眼レフを担いで撮った写真です。
と言っておりますが、ここはミドルコース最強の登りが待ち受けています。
恐羅漢山山頂まで一気に350m登らなくてはなりません。
すでに後半戦で足もだいぶ疲労しているので、めちゃくちゃキツイです。
後半は道も狭く、木の根が階段のようになっていたりと、かなり足にきます。
なんとか山頂直下の分岐まで来ました。
コースタイムが60分です。距離2km程度で350mの登りですからね。
恐羅漢山三角点!
中国山地にしては珍しく、山頂からの景色は眺望がよく最高です!
3時間ぶりに人間に会いました。
晴天の土曜日でもこんな感じなのです。恐羅漢山夏焼峠往復コース以外はほとんど人がおらず、熊のほうが多いような環境です。
天候も変化しやすいので、単独の場合はくれぐれも安全装備で。
終盤(旧羅漢山~水越峠~ゴール)
旧羅漢山までは大会規約で歩行区間となっております。
混雑するからか?ぬかるみが多いからか?
ということで僕も歩きました。ただ疲労困憊だったからですが。
さあここからは名物の怒涛の下りです!
水越峠まで300m以上を転がるように下ります。
途中ロープが設置されている通り、かなりの急坂なので非常に危険です。
水越峠まで降りれば、あとは高速道路(林道)です。
距離2kmを一気に駆け下ります。ゴロゴロ道ですが、最後の駆け引きが見られるところですね。
そしてスノーパークまでは最後の激坂。
ここへ来てロードの激坂・・・死にます。
僕は恐羅漢エコロジーキャンプ場までですので、距離2kmで150m上がります。
最後は歩きました。山菜採りの老夫婦の横を、ゲッソリした顔で・・・
試走コースゴールの恐羅漢エコロジーキャンプ場では巨大なぞうさんが出迎え。
だあ~疲れた。
まとめ
少しコースが違いますが、なんとか4時間台でゴール。
制限時間が6時間半なので、完走はできそうで良かったです。
試走した感想は、
・ヨビヤ峠~田代は道狭く沢越えあるため渋滞しそう
・牛小屋谷は岩場、ハシゴ、沢越えありスピード出せない
・エイドステーション後の夏焼峠~台所原までは比較的走りやすく、林道もあるので勝負どころ
・台所原からの登りはめっちゃキツイ
・恐羅漢山からの下りはかなり急なので追い抜きは厳しいかも
・水越峠からの林道は飛ばせる、最後の登りロードのために余力を残して
また大会ではなく、トレランや登山でこのコースを走る場合は、
・夏焼峠~恐羅漢山~水越峠以外はほぼ人と合わない
・獣多数(今回もイノシシ、キジ、蛇に遭遇)
・沢以外の水場なし
ということで、装備はしっかりしましょう。
以上、恐羅漢トレイル試走でした。中国山地はトレイルランニングに最適な地域です。
良ければ下記のリンク先も御覧ください。
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