寒いメキシコシティと熱いディエゴ・リベラの壁画

1月18日

 

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メキシコシティに現地時間5時半に着いた。

荷物も無事届き、25時間にも及ぶ移動が完了した。

10時間の直通で終えるところを25時間かけて2万円浮かしたのに、アクシデントで15000円も余分にかかってしまい大損した気分だ。

 

 

メキシコシティは寒かった。

朝の気温は5度。

僕のイメージでは空港から出たらすぐにサボテンだらけの荒涼とした大地でとんがり麦わら帽子をかぶったチョビ髭のオヤジがアミーゴとか言いながらマラカス振ってテキーラを飲ましてくれると思っていたのに、現実は違った。

奇抜なデザインのきれいな空港。行き交う人もジャンバーとか着ている。誰もマラカスを持っていないしテキーラはどこにも売っていなかった。

メキシコも寒いんだ。

メキシコシティは標高2000mにあるから言うまでもないが。

 

 

到着後の最初の儀式はATMで軍資金を下ろすことだ。

いざ、やってみるとなんとスペイン語限定だった。

英語のは調べていたが、まさかスペイン語だけとは。アジアの国は全部英語バージョンがあったのに・・・

 

 

困り果ててるとメキシコ人が金を下ろしている。

アルシンドを思わせる優しそうな顔。おじさんに賭けよう。

己が顔相に思いを託し、アルシンドに声をかけた。

※スペイン語は軽く勉強はしたが本場は早すぎて何を言っているかもさっぱり。なので以下は妄想翻訳なり。

 

「あのすいません。スペイン語わかんなくて困ってるんです。」

「そいつは大変だ。見てあげようか。」

日本でもATMの出金を他人に見せたくはないが背に腹は代えられない。おじさんの優しそうなアルシンド似の顔を藁と見た。

アルシンド似のおじさんは慣れない英語で教えてくれた。

おじさん、暗証番号を打つ時は見ないでくれたのだ。なんて良いアミーゴなのだ。

結局アルシンド似のおじさん、フランシスコさんのお陰で出金できた。

フランシスコさんはこれからキューバに行くと言い、なぜか僕達と記念撮影をして走り去っていった。チップをよこせとか言われるかもと杞憂していた自分が恥ずかしい。

フランシスコさん、グラシアスです。

 

 

腹も減ったしおろしたてホカホカのお札で初買い物へ。

空港内にある店でタコスとコーラを買う。お釣りでやたら小銭を渡されたが後々意外に重宝する。

初タコスは美味しかった。辛い汁をつけなければの話だが。

マクドナルドやスターバックスなどもある。もちろんマクドナルドのメニューにはタコスがあるのは言うまでもない。

 

 

空港から向かうはサンフェルナンド館。

メキシコシティのど真ん中にある日本人宿だ。

日本人宿には賛否両論あろうが情報ノートや長期滞在者から良い情報が聞けるし、なんせ日本語が通じる。ツインで1泊28US$。ドミトリーだと一人9US$。

地下鉄HIDALGO駅すぐそばで近所にスーパーとかもあるので非常に便利。

なぜ日本人宿かというと電話をしなければならなかったからだ。

アメリカ入国時のドタバタで予約しなければならなかったあの航空券のキャンセルは電話でなければならなかった。

そしてこれが最大の理由だが、朝食付きだったからだ。これ、意外と大きい。

 

 

空港からサンフェルナンド館までの行き方は3つある。

・タクシー

高価だが土地勘がない時は便利。もちろん流しのタクシーは大変危険なので空港で手配する。空港でタクシーカードを購入し呼んでもらう。値は張るがかなり安全だと思う。

・メトロバス

空港から市内まで直通。タクシーよりは半額以下でいけるがカードを購入しチャージしなければならない。バスは大きいので荷物があっても大丈夫だ。

・市バス

格安で行けるが乗り降りが多く非常に混むので大きい荷物がある時は心配だ。

 

 

 

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我々はメトロバスで向かうことに。

ゲート6,7の間にカード販売機がある。インフォーメーションで聞くのが良い。

チャージ方法はまず10メキシコ$でカードを購入し、チャージする。やり方が分からなかったので警備員に教えてもらった。お釣りは出ないらしいので注意。

メトロバスに乗り込み、運転手の横でカードを機会に読み込ませる。代表者が1枚持っていれば良い。

サンフェルナンド館があるHIDALGO駅までは40分位。何故かやたら多い日産車とビートルを掻い潜ってバスはぶっ飛ばす。

 

空港のモニュメントにNISSANの文字もあったし、日産はメキシコで人気らしい。

ビートルはあのお馴染みの形のビートルだ。

メキシコはつい最近まであの型のビートルを生産していたのだ。ヒトラーもまさか遠くメキシコで未だに走っているとは思うまい。

 

 

先進的な空港を出るとレンガ作りやトタンのボロい家並みが続き、やがてスペイン統治時代の巨大な教会や建物が現れる。

道は綺麗だが、信号待ちの車に新聞を売る人がいたりしてなかなか面白い。

駅で人に道を聞きながらサンフェルナンド館へ。

さすがは日本人宿で日本人ばかり。地球の歩き方やマンガも豊富。水とコーヒーも無料で、キッチンも貸してくれるので長期滞在者には願ったり叶ったりだ。WIFIも完備。

 

 

着いてそうそうだが、寝た。

この25時間、緊張と仮眠を交互に繰り返していたので疲労が半端ない。

仮眠を済まし散歩に出る。

 

 

 

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ディエゴ・リベラ美術館

すぐ近くにディエゴ・リベラ美術館があるので行ってみた。

メキシコは初めは行く予定がなかったので予備知識は殆どなかった。なので出立前に映画「フリーダ」を見た。

 

フリーダ [DVD]

フリーダ [DVD]

 

 

 フリーダはメキシコ近代芸術を飾る花であり、その作品は独特の感覚に満ち溢れている。

 

その夫がディエゴ・リベラ。デブのおっさんなのだが才能は凄まじく、国立宮殿などの壁画を描く大人物あり、そして恐ろしく女好きである。

英雄色を好むというが妻であるフリーダの妹にまで手を出すのだから見境がない。

 

 

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しかし壁画の圧倒的な表現力は異邦人をも圧倒する。

写実的でもないし抽象的でもない初めて見るデザインだ。すべての登場人物にちゃんとした意志があるかのようだ。

リベラはマルクス主義に傾倒した時期もあり、作品もどこかプロパガンダ風にも見えなくない。作品中にはマルクス資本論を掲げている姿や資本家らしき人が労働者を絞り上げているお馴染みの姿もあった。ベトナム旅行で戦争時のプロパガンダポスターを買ったくらい「プロパガンダ風」が好きな僕にとってはたまらない芸術家である。

プロパガンダ風は大衆向けであり、絵のインパクトで多くの情報を伝えなくてはならないので迫力とセンスが問われると思う。

なので僕のような感化されやすい人間には美しく見えるのだろう。小一時間でも見ていればヘルメットとゲバ棒を買いに行ってしまいそうだ。

 

 

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シウダデラ市場

美術館から少し南下するとメキシコの民芸品が売られている市場がある。

タイルや銀の指輪などなどあふれるばかりの店が並んでいる。

メキシコはメキシコシティしか行く予定ではないので、ここで各地の雰囲気を感じておこうという算段だ。

 

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嫁さんはこのおじさんからタイルを買った。メキシコデザインはドクロが大人気なので、小多分にもれずドクロタイルを買った。

 

あわよくば、これを家のお風呂中に敷き詰めたいのだけれども。

 

 

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ベジャス・アルテス宮殿

HIGARUGO駅に戻って東に向かうと公園がある。

ここでは大道芸や屋台がひしめき合い、とても賑やかだ。

喧騒をすり抜け、宮殿に向かう。リベラの壁画があるらしいのだが、今は見られないらしい。話の感じでは修理中だろうか。

屋外にはなぜか見たことがあるナウシカに出てきそうな巨大な蜘蛛がおり、見上げれば1956年にたてられたラテンアメリカ・タワーがある。

42階建てのビルは創建当時はさもや驚かれたであろう。今は全体的にくすんではいるが巨大都市メキシコシティを見下ろしている。

展望台があるらしいが昨今のメキシコシティ大気大汚染で景色は少し落ちたらしい。

 

 

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帰り道、タコスとビールを買って帰る。

まだ夕方四時だが、疲労と睡眠不足と時差ボケでカーロス・リベラ状態なので早々に寝る。メキシコシティは朝晩冷える。