サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼完全攻略~基礎編~

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サンジャンピエドポーからサンティアゴ・デ・コンポステーラまでの780kmを38日で歩き切った。とても辛く、そしてとても楽しい日々だった。


そんな巡礼だが、日本人は圧倒的に少ない。キリスト教徒も少なく、休みもない日本人にはカミーノ(巡礼路)はかなり難しい。

 

ということで情報もかなり少ない。書籍なども出ているが、実際に行ってみないと感じがわからないことばかり書かれていて参考にならなかったことも多々ある。

なので、38日もかかったが一応完歩できたのでこれから続く日本人巡礼者に捧ぐべく巡礼について思ったことや感じたことを羅列していく。

少々長くなったので基礎編、生活編、装備編に分けて書こうと思う。

質問も順次受け付けますので気軽にどうぞ。
※フランス人の道(サンジャンピエドポー~サンティアゴ・デ・コンポステーラ780km)、期間は5月22日から6月28日までの38日間

 

 

 

 

巡礼とは?

そもそも巡礼とは何なのかは下記のリンクを参照ください。

サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路とは 

 

当ブログでは、毎日の行程を載せていますのでそちらもご参照ください。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼の旅" - 記事一覧

 

 

巡礼の1日の流れ

巡礼とは簡単にいえば「地図通りアルベルゲ(巡礼宿)をたどって歩く」ことだ。
僕達もまずわからなかったのが、その流れについてだった。
なので、最初に巡礼とはどういった流れで行うのかを記す。

 

僕達の1日(20km前後の行程にて)

 

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6時~6時30分 起床

だいたい6時前には早い人が起きだして、ガサゴソ用意を始めるので目が覚める。

たいていのアルベルゲは8時に閉めるのでそれまでには出なくてはならない。

 

 

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~7時 朝食

朝はパンにハムとチーズを挟んだサンドイッチ、ヨーグルト、果物などを食べる。
朝食は自炊派の人が多いが、次の町のカフェで摂る人もいる。

 

 

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7時~ 出発
だいたいこの時間に歩き始める。かなり遅い方。

 

 

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10時前後 休憩(バルやカフェにて)
普通の道なら時速4~5km。3時間ほどで12kmは歩けるので、10時前後に休憩を入れる。
町は5km置きくらいにあるので、出発前に休憩する町の目星をつけておく。
カフェではカフェ・コン・レチェ(ミルクコーヒー)、暑い日はビール。ともに1.5€くらい。
一緒に前日買っておいた果物、チョコレート、朝食の残りのサンドイッチを食べる。

 

 

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13時前後 到着
20km前後だとこの時間帯に到着する。
アルベルゲは10時~13時には開くので、この時間帯に着けば満員で泊まれないということはない。
アルベルゲにつくと、スタンプをクレデンシャルに押してもらい、料金を払う。
その後は係の人に決められたベッドまで連れて行ってもらう。

 

 

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~14時 買い物
着いて早々行くのが買い物。
何故かと言うとスペインはシエスタ(昼休み)があり、14時前後にはあらゆる店が閉まる。
到着直後の乾杯用ビールと夕食の材料を早めに買っておく。

 

 

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~15時 シャワー・洗濯
ほとんどの人が着いてすぐにシャワーに駆けこむので、この時間に行けばかなり空いている。

洗濯は天気によって左右される。晴れた日の洗濯は気持ちが良い。

 

 

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~17時 昼寝または自由時間
疲れた時は昼寝。後半は昼に寝過ぎると夜眠れなくなってきたので、読書などして過ごす。
WIFIがあるところではネットをしていた。

 

 

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17時~ 調理・食事

19時前後にキッチンが激混みするので、早めに調理開始。
キッチンはあるところないところ、設備の良し悪しが激しいので要チェック。

仲良くなった人たちと食事会も楽しい。いろんな国の料理を食べることができる。

 

 

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~20,21時 バル・雑談
仲良くなった人たちとバルに行くか、自由に過ごす。
消灯の22時くらいまで飲み会が開かれている。

 

 

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21時~ 就寝
静かにベッドに行く。シーツがないところもあるので寝袋は必須だ。序盤の山間部は夜間冷える。

あまりにもキツかった日には、夢にはサンティアゴ・デ・コンポステーラが現れることも??

 

 

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ミサ

場所や曜日によってミサが開かれる時がある。

参加は自由で、だいたい18~20時に始まる。

 

 

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祭り

さすがお祭り大国スペイン。毎日どこかで祭りが開かれているというスペインでは、巡礼中に運良くお祭りに参加できることがある。

 

 

以上が1日の流れ。
だいたいこのような流れだった。
他の人達も時間は前後するが、ほとんど同じだ。

 

 

 

どんな人達がいるのか。

巡礼路は、世界最大の宗教であるカトリック教徒の聖地だ。
ということで世界中の人々が集まる。
一番多いのは西ヨーロッパのカトリック国であるフランスとイタリア。次点がドイツだ。
半分以上がこの3カ国からやってきた人たちになる。
次に多いのは韓国人。統一教会の関係でキリスト教徒が多いこともあるが、ベストセラーになった巡礼の本の影響が強いとも言っていた。
あとはアメリカ、カナダ、イギリス、たまに北欧や東欧の人たちがいた。
中南米ではプエルトリコ、ニカラグア、ペルーの人たちがいたがかなり少数派だ。
ご当地スペイン人は意外にも少ない。しかし終盤100km前後になると団体や家族連れ、大学生が一気に増える。
日本人はもちろん少数派である。

 

年齢でいうと60歳前後の人たちが一番多く、過酷な道のりもぐんぐん進んでいくパワフルな人達が多い。出会った中での再高齢は77歳。あっという間に抜かれてしまったけど・・・
若者はかなり少ないが、そのほとんどが韓国人。韓国人は若い子が多く、大学生がグループで参加していたりする。

 

 

巡礼の心構え

キリスト教徒3大聖地の一つであるサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路。
キリスト教徒ではなくとも門戸は開かれているが、僕達が一番不安だったのはまさにそこで、熱心な人達ばかりのところだったらどうしようという思いがあった。キリスト教徒でもない日本人が来ても良いのかという引け目もあった。

 

が、全く気にしなくとも良い。

というか、想像していた厳粛さはミサの時くらいで、ほとんどの人はトレッキングや観光気分に近い。かといってふざけていたり遊びに来ているという意味ではなく、みんな楽しく歩こうという感覚に近い。なのでキリスト教徒ではないからといって、引け目を感じるということはない。
ミサにも行かず酒ばっかり飲んでいるおじさんや、夜遅くまでパーティーを開く人たち、完全に思い出旅行な学生たち、スペイン料理を勉強している人などがいて、初めは驚きもした。
なので最低限のマナーさえ守っていれば、何も気にすることはない。

 

 

巡礼者たちとのふれあい

巡礼者はみんなオープンで優しく、巡礼を愛している人たちばかり。

年齢も国もバラバラだが同じ苦労を味わっている分、すぐ仲良くなれる。(とくに日本人は少ないので可愛がってもらえることが多い)

 

巡礼者同士のコミュニケーションは英語だ。

非英語圏でもフランス人、ドイツ人、韓国人は英語ペラペラ。僕達は中学英語くらいしか使えないが、みんな合わせて話してくれるので、コミュニケーションは大丈夫だった(でもやっぱり英語圏の人たちと話すのは・・・難しい)

 

しかしスペイン人とイタリア人は英語が使えない人が多い。しかもこのラテン気質の陽気な人々は、こっちがわからないのを知っていながらガンガン母国語で話しかけてくる。でも同じ巡礼をしているので、何となく分かるのは不思議だ。スペイン語とイタリア語はとても似ているらしく、何を言いたいかくらいはわかるという。せっかくスペインを歩いているのだし、スペイン語を勉強していくのをおすすめする。

※ちなみに現地のスペイン人はほとんど英語はしゃべれないので、簡単な会話(あいさつ、道を尋ねる、買い物)くらいは勉強しておかないと困ることが多い。

 

巡礼者たちと仲良くなるのはすごく簡単。
あいさつだ。「オラ!(こんにちは)」か「ブエン・カミーノ(良き巡礼を)」と笑顔で挨拶するだけで良い。歩き始めて2週間位すると、だいたい同じグループに固まっていくので「あそこで会ったね」といった具合に話が弾み仲良くなれる。

 

欧米人はとにかく食べることとお酒が好きなので、仲良くなると食事会や飲み会になる。そこでいろんな文化を知ることができ、それが巡礼で一番楽しかったことでもある。

 

 

 

どれくらいきついのか?

僕達はかなりゆっくりペースで1日平均20km前後で38日かかった。

ほとんどのガイドブックでは30~34日を目安にしている。
すごい人たちだと1日50kmなんていう話も。
体力に不安がある人が多いだろうが、きつさは時とともに変わっていく。
さらに巡礼路は地域によって難易度がかなり変わってもくるので、特徴と注意点を述べる。

 

序盤

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最初のサンジャンピエドポーからのピレネー越え。
28kmを8時間くらいの道のりだが、この日が全行程で一番きつい。
1000m以上も登り、峠道ではものすごい豪風にさらされる。悪天候だとさらにきつく、毎年ここで行方不明者や死亡事件が発生している。

 

何とか登り切っても、今度は長大な下りが待っている。

初めの一週間はアップダウンが激しい山道を越える。なんとか序盤最大の町パンプローナまで辿り着く頃にはほとんどの人が体のどこかに何らかの痛みを感じている。
僕らも山道を越えたあとのパンプローナのアスファルトで足をやられ、翌日は休憩日にした。

 

この辺りはまだ慣れないうちに山道とアップダウンばかりなので、身体的に一番きつい区間だ。
でもここを越えれば、身体が勝手に順応してくれるようになる。
また、サンジャンピエドポーからバスク州までの間は雨が降りやすく、夜間冷えることが多い。

 

中盤

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パンプローナを過ぎBurgosまでにかけて、段々道がなだらかになっていく。
足の痛みが最早普通になってくるのがこの辺り。
2週目辺りになれば、痛いのが普通になり、さらに膝周りに筋肉がついてきて『なんとかなってくる』時期だ。

 

Burgosを越えてLeonまでの道は台地になっていて、畑が延々と続くほとんど勾配の変化ない真っ直ぐな道。
この辺りで余裕が出てくるので、早い人はこの区間をハイペースに飛ばして歩いて行く。

 

しかし、この区間はすごく暑い。天気も良いが日差しも強く、35度を超す日も珍しくない(6月)
畑が続くので町が17kmの間一つもない区間もある。水分補給をしっかりして、先の行程を考えながら歩く。
ちなみにこの辺りで顔見知りが増えてくるので、巡礼が楽しくなってくる区間でもある。

 

終盤

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Leonを越えると一気に山登りが始まる。
ガリシア州の境は久しぶりの山道になるので、非常に疲れる。
さらに最後の難関セブレイロ峠がある。ピレネー越えよりは軽めだが、最後の最後でかなりきつい登りとなる。

 

ガリシア州に入ると山道と悪天候に襲われ、精神的に辛くなる。集落は多いがアルベルゲが無いところばかりなので、歩く距離が長くなりやすい。
体力的にはすでに20kmくらいは楽だと思えるようになっているので、ガリシア州は精神力が試される。

 

 

予算

渡航費などを除く巡礼でかかる費用は、どういう方法で巡礼を行うかで大きく変わってくる。

 

僕らはほぼ公営アルベルゲでホテル泊なし、できるだけ自炊でたまのご褒美とレストランしかない街だけ外食をした。
38日間で一人8万5000円ほどだった。(1€=145円)

 

アルベルゲが平均7€くらい、食費も自炊で1日7€くらいを目安にしていたので、1日平均2000~2500円くらいだった。
巡礼中の支出のほとんどは食費なので、これは巡礼参加者でおそらく最安値の部類に入ると思う。外食をしたいという人はここに加算すればわかりやすいはずだ。
巡礼はもちろん移動費無料なので、ヨーロッパを格安で旅行できるというのも巡礼の魅力だ。

 

 

 

巡礼情報リンク

以上が基礎編。

これで何となく巡礼の雰囲気がわかってもらえるのではないだろうか?

この他にもわからないことや不安なことがあるという方は、コメント欄にご質問ください。

 

※追加記事 

tabing.hatenablog.com

 

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