旅立つ前に見ておきたい「その国の雰囲気が味わえる」おすすめ映画
photo by Kitone
せっかくいろいろな国に行くのだから、事前知識があったほうが絶対に楽しい。
しかし、世界一周ともなれば何十カ国も周ることになるので、本やサイトで予習しようものならすごい時間が掛かるしたぶん覚えられない。
そんな人におすすめなのは『映画』
映画ならその国や時代の雰囲気が味わえるし、実際に映画の舞台になったところへ自らの足で行くことだって出来てしまう。
今回はそんなおすすめ映画を国別で語っていこう。
※行ったことのない国についての映画もありますが、現地を訪れた旅行者の感想や旅先で出会ったその国の人のイメージで挙げています。
アメリカ大陸編
まずはアメリカ大陸編。
広大な大自然を誇るアメリカ大陸にまつわる映画とは?
アメリカ
広大なアメリカの大自然を味わいたいならこの映画。
エリート街道を行くリア充青年が突如家を飛び出し放浪の旅に出る。
その行き着く先は・・・
アメリカの都市と自然の対比を、苦悩する青年の旅で描いた名作。
しかも実話だ。
アメリカの大地を旅する前に見てみよう。
メキシコ
メキシコが生んだ悲劇の芸術家。
若き日の事故によって一生苦しむことになるフリーダは、愛と死の狭間で燃えるような絵を描き続ける。
メキシコの芸術に興味が有るのならばぜひ一度見て欲しい。
メキシコ壁画運動の旗手ディエゴ・リベラや亡命中のトロツキーなど、当時のメキシコを彩った過激な人々が物語を作っていく。
メキシコはマヤ文明などの博物館が有名だが、近代美術も負けていない。メキシコシティで美術館廻りをするのならばこの映画はおすすめだ。
キューバ
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アメリカの目と鼻の先で生まれた赤いカイマン。
キューバはカストロやチェ・ゲバラによって起こされたキューバ革命により、社会主義国家となった。当然アメリカはキューバに幾度も侵攻し、カストロにヒットマンを送り続け、長い間経済制裁を与え続けた。
そんな中で尊厳を保ち続けたキューバは今でも貧困国である。
キューバといえば音楽だ。
レトロな車が走り行くハバナでは日夜踊りと音楽が繰り広げられている。
貧しくとも明るいハバナの街の雰囲気を味わいたいならこの映画。僕もキューバに行きたかったんだけど予定が合わず・・・また次行きます。
チリ
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「9.11」と聞けばアメリカで起きた同時多発テロだと思うが、南米ではチリ・クーデターのことを指す。
時は1973年9月11日、チリでは選挙で選ばれたアジェンデ率いる社会主義政権がいた。これを良しと思わないアメリカが裏で手を引いて軍人にクーデターを起こさせた。これがチリ・クーデターだ。
この血生臭さい事件の間で小さな子供たちにも押し寄せる歴史の波。それを上手く描いた作品だ。
チリ・クーデターを知ることで南米の悲しい歴史の一端に触れることができる。
この映画を見れば、首都サンティアゴのモネダ宮殿を訪れると感慨深いものがある。
アルゼンチン
せっかくブエノスアイレスに行く予定だからとそのまんまの題名の映画を借りた。
簡単に言うと腐女子御用達のホモ映画だ。しかもブエノスアイレスが舞台なのに東洋人しか出てこない。
でも実際にブエノスアイレスに訪れてみると、この町の雰囲気をとてもうまく現していることに驚いた。暗く殺伐としていてどこか艶かしい。
最後のイグアスの滝のシーンは必見。
ブラジル
僕はこの映画の影響でブラジルに行かなかった。
まあビザが面倒なのとワールドカップのせいで物価が高かったのもあるが、深層心理にはこの映画のシーンが刻み込まれていた。
1960年代のブラジルが舞台。ちょっとの金やクスリのためにガンガン人が殺される。しかも被害者も加害者もストリートチルドレンだ。
実際にブラジルに行った人の話を聞いても、やはり世界でもトップクラスに危険な国であることに変わりはない。
でも少し行きたかったかも・・・
南米大陸
もうこのブログのレギュラーと化しているが仕方あるまい。
先程のキューバ革命の英雄チェ・ゲバラの南米バイク旅が原作の映画だ。
アルゼンチン人であったゲバラはこの旅でその後の革命家としての人生が決まったのだった。それくらい旅は人を動かす力がある。
アルゼンチンからチリ、ペルーと北へ上っていき、最後は将来の宿敵であるアメリカの地まで辿り着く。そんな若きゲバラの壮大な旅は、現代の若者たちを奮い立たせている。
これ読むと南米でバイク乗りたくなっちゃうんだなあ~
ヨーロッパ編
続いてはヨーロッパ編。
どこを見ても映画のセットのような美しいヨーロッパの風景を映画で楽しもう。
イギリス
栄華を誇った大英帝国からの凋落。
霧とウイスキーとホームズがうろつく町ロンドン。そんなイメージが強いUK。
でもイギリス映画はSEX PISTOLSのようなパンクな映画が最高だ。
ガイ・リッチーの作品のようなハチャメチャな映画も良いが、やはりダニー・ボイルのトレインスポッティングは外せない。
独立問題で話題になったスコットランドのシャブ中青年たちの物語。良くも悪くもイギリスってこんな国なんだと思わせてくれる会心作。
イギリスの町で警察に追われながら走ってみたい・・・かも。
フランス
この映画を見てパリに行ったなんていう女の子は多い。
センスが良くてどこか不気味な感じがそうさせるのか?
パリのモンマルトルを舞台に、少し変わった人たちが繰り広げるドタバタかつ最後は見事なハッピーエンドな素晴らしい映画だ。
ちなみにアメリに登場するカフェはパリに本当に存在する。カフェ・デ・ドゥー・ムーランはそんなアメリファンが押し寄せる観光地になっているとか。
でも周辺はスリが多いらしいので要注意。これぞパリという感じ。
ちなみに映画「taxi」も捨てがたい。フランス人は本当にあんな感じだった。
イタリア
旅先でイタリア人によく出会った。
僕のイメージするイタリア人というのはローマの休日みたいな華やかな感じだったが、実際は異常に明るい天然な人達が多かった。いつも陽気でいつも何か食ってるか飲んでいる。
ニュー・シネマ・パラダイスに描かれている田舎のイタリアの人たちがそこにあった。
映画自体は感動作なのだが、素朴なイタリアの生活が感じ取れる。マフィア映画好きな僕にとっては少し物足りないイタリアの景色だけども。
スペイン
サンティアゴ・デ・コンポステーラまでの巡礼の道を舞台にした映画。
巡礼の道は僕らが歩いたあの道だ。780km、38日もかかった。
巡礼の道に挑戦する人は是非見て欲しい。映画のようにとても過酷ではあったが、人生で一番充実した日々を送ることが出来た。
ドイツ
ドイツ人は世界一旅が好きな人達。なのでしょっちゅう出会った。そんなドイツ人はほとんどの人が超がつく真面目。巡礼でもイタリア人やフランス人が宴会で盛り上がっている中、横で黙々と長い日記を書き続けていた。
その姿がこの映画のヴィースラー大尉と重なった。
東西ドイツに分かれていた頃の話だが、暗い中に機械じみたドイツ人の姿があった。
「ドイツ人は真面目すぎてつまんない」とナンパしまくるフランス人が言っていたが、この映画のように生真面目ながらどこか温かいのがドイツ人なのだろうと思った。
そして仲良くなるとやたらビールのウンチクを話しながらも奢りまくってくれるドイツ人が大好きです。
オーストリア・チェコ
歴史上最高の作曲家の一人モーツァルトの伝記映画。
映画自体のスケールがものすごい。当時のオーストリア首都ウィーンの風景やオペラ座の雰囲気が味わえる。
両大戦で戦火を受けなかった数少ないヨーロッパの都市であるウィーンとプラハ。そんな古きヨーロッパの様相と音楽が楽しめる映画だ。
オペラにはもちろん行けなかったが、その壮大な建物だけはこっそり見てみた。いつか行ってみたい。
ポーランド
第2次世界大戦中、600万人ものユダヤ人が殺された。その虐殺の舞台だったのが強制収容所でありアウシュビッツだった。
ポーランドには時間が合わなくていけなかったのだが、立ち寄った人にぜひ行ってほしいと言われた。それくらい衝撃的だったという。
もしポーランドやドイツを訪れるなら見ておこう。
クロアチア
「飛べない豚はただの豚だ」でお馴染みのジブリのオヤジ向けハードボイルド映画。
子供の頃はあんまり面白いと思えなかった紅の豚も、今見ると何だか泣けてくる。
僕の大好きな紅の豚の舞台はアドリア海だ。あの青い海のバックに飛んで行く赤い機影・・・たまらん!ということで行ってみました。
アジア編
パワーに満ち溢れたアジア。
どこに行っても人混みと屋台があふれている。
そんなアジアのエネルギッシュさを感じる映画。
インド
インドの大都市ムンバイのスラム街から始まる物語。
インドといえば映画大国。もうどこ行っても映画館だらけだ。テレビやバスの中でも映画、映画、映画。そのすべてが中年太りのオヤジが踊り狂うめちゃくちゃな話。
このスラムドッグ・ミリオネアはそんなインドの負の部分をうまく描けていると思う。スラムの町の貧しさや汚さ、その中で生きるか弱い子供たち。その小さな子供はまさにインドそのものだ。
ちなみにエンディングではインドおなじみダンスパーティーが見られるので、ディープなインド映画世界への橋渡しになるかも。
ネパール
なんとあの「神々の山嶺」が映画化するという。
これは夢枕獏原作のむせ返るハードボイルド山岳小説。エヴェレスト最大の謎と山に命を賭けた男の物語が交叉する山好きのバイブルである。
僕は谷口ジロー先生の漫画版も読んだが、こちらはすでに映画を超えてるんじゃないかと想うくらいの迫力だ。
ネパールでヒマラヤ山脈にトレッキングするという人にはおすすめの本なので、映画化が楽しみだ。間違ってもキャストにジャニーズやEXILEが入らないことを祈って、ここに挙げました。
タイ
安くて優しくて何でも美味い旅行者の天国タイ。
しかしその裏で思わず目を背けるようなことも起きている。
この映画はタイで起きている幼児買春問題を扱っている。貧富の差が激しいタイでは貧しい山岳民族が「テレビを買うために」娘を売ってしまうという信じられないことが横行している。この前ニュースになった日本人の事件も記憶に新しい。
タイの闇の部分を知ると、夜道で声をかけてくる怪しいオヤジ達がどんな人間かというのがわかってくる。
ベトナム
ベトナム、カンボジア、ラオスのメコン川の近くに行くのなら是非見て欲しい映画。
ベトナム戦争を主題にした数多ある映画でも一番の「メコン」臭を発している。この映画のお陰で僕はメコン川好きになってしまった。
ベトナム戦争の概要はこちらから。
中国
中国の近代史の情景を、京劇の美しい舞のように描いている傑作。戦争、文化大革命と続く当時の中国を感じれば、中国は三国志や西遊記だけではないということがわかる。
以前中国を旅した時に思ったより寺院などが少ないことに気づき、文化大革命とこの映画のことを思い出した。
中国や香港の映画はカンフー以外にも良作が多い。香港行くならインファナル・アフェアだね。
まとめ
旅好きはけっこう映画マニアが多い。
やはりそのうち映画の世界に行ってみたいと思うようになるのかもしれない。僕のように。
意外にも外国人に日本の印象を聞いてみると、「ニンジャ」「サムライ」「過労死」のあとに映画の話が出てくる。
やはり黒澤明や小津安二郎はけっこうな人が知っている。でも最近の映画では北野武作品しかしられていないのが哀しいところ。
若い世代にはアニメが人気だった。
ガンダムや戦隊モノなどは結構な人が知っている。特にアジアの若者はかなり詳しくてiPadのカバーがエヴァンゲリオンだったりする。
ちなみに日本では鉄板のジブリ映画も人気。
だが、「ジブリ作品」としては見られていない。宮﨑駿は知っているが、ジブリという名前は知らないという人が多かった。
映画で旅先の予習というのも楽しいものです。
実際のロケ地に行けてしまうのも旅の良い所。
よかったら参考にしてください。