アンコールワット×スナップ
旅も大詰めである。
正直帰りたくない。最近こんなことばかり考えている。自由で楽しくてたまらない日々が終わる。自由気ままな旅人も、日本に帰ればただの無職ニート。
バックパッカー共通の念だが、帰国後の不安はそれはそれは強い。帰国間近のバックパッカーは旅の終わりの達成感と、現実的な日本での生活への恐れというアンニュイな状況にある。
でもせっかく旅で学んだたくさんのことを活かさなければね。みんなそう言って帰っていく。
僕らのフィナーレを飾るのはアンコールワットだ。
まだもう少し旅は続くが、旅らしい旅、遺跡らしい遺跡はこれが最後。
やはりアジア、いや世界でもトップクラスの世界遺産であるアンコールワットはその有終の美を飾るにふさわしい。
そんなシュムリアップ周辺遺跡の中でも特に荘厳なアンコールトム、タ・プローム、そしてアンコールワットの3つの寺院を厳選した。
始まりはシュムリアップから
シュムリアップの町からアンコールワットまでは7kmほど。
宿でトゥクトゥクを半日観光&夕日ツアーのセットで15ドルにてチャーターする。アンコールワットの入場券は1日券で20ドル。顔写真付きの立派なチケットだ。
カンボジアはアンコールワットで成り立っているといっても過言ではない。観光業の殆どはアンコールワットだろう。それは国旗にもなっているように、カンボジアの誇りでもある。
アンコールワットと周辺の遺跡はかつて隆盛を極めたアンコール朝が30年もの時間をかけて作った寺院だ。
ヒンドゥー教と仏教の形式が入り混じった独特の建築や彫刻が有名だ。
すべてを周るにはトゥクトゥクをチャーターして1日作業になる。それくらい広大な遺跡群だ。
しかしこんな巨大な遺跡が数百年もの間忘れ去られていたのだから、それに一番驚いてしまう。
アンコールトム
柔和な笑顔、それとも不敵?
そんな不思議なアンコールトムの中央にあるバイヨンの四面像。
その笑顔は「クメールの微笑み」と呼ばれている。
ちなみに僕が世界で一番好きな遺跡の一つでもある。
タ・プローム
思わず「バルス!」と叫びたくなる空間がそこにある。
崩壊した遺跡の中を貫く木々。たしかに焼き払いたくなる気持ちもわかる。それくらい人工物を喰い破る自然の脅威の象徴的な姿にも見えるからだ。
アンコールワット
ついにやってきたアンコールワット。
僕は2回めだが、やはり何度見てもその美しさには驚かされる。そこには沢山の人間の長い長い時間が刻み込まれているからだ。労力をかければかけるほど美しく見える。これは世界の有名な遺跡の全てにいえることだ。「なぜこんなところに?」「なぜこんなに大きく?」「なぜこんなに細かく?」美しさとはその先に見える働く人たちの思いなのかもしれない。
その美しさとは、神に捧げられるものとして生み出された。労苦を刻み、崇高な巨大さ、畏怖すら感じる造形、神への信仰心が形となって現れている。そこには権力者の、民衆の、死者の様々な思いが込められている。だからこそ現世の人間をも虜にする力があるのだろう。
プノンパケンの丘から望む夕日
アンコールワットから5分ほど行ったところの山道を歩いて登っていく。
20分位でやっと丘の上へ。
たくさんの人だ。遠いジャングルの中へ真っ赤な夕日が沈んでいく。
もう旅も終わりに近づいている。
しかし!
アンコールワットは最後の旅らしい旅の場所、序盤そう言ったがなんかクメール美を惚れなおしたので明日『ベンメリア』に向かうことに。
ベンメリアは通称「リアル・ラピュタ」
ジブリマニアとしてはそこでバルスを唱えなけりゃ旅を終えることは出来ん!
40秒で仕度しな!!!!!