RICOH GR 大都会とド田舎でストリートスナップ

GR×大都会


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ストリートスナップならRICOH GRでしょ!

そう思って手にした途端、コロナウイルスの影響で都会に行けなくなってしまった。

なので、本分である大都会でのストリートスナップはたった一回、雨の東京2019となってしまった。

東京は同じ日本でもド田舎者の僕にとっては、完全に異国である。

都市システムを縦横無尽に使いこなす都会人の横で、僕は三次元路線図を見ながら口を開けている。なんせ我がド田舎の路線図は、西に行くか東に行くか、それだけなのだから。

都会システムは、ド田舎者の僕から見ると非人道的である。

便利さの追求は、自ずと合理的効率化の極地に至り、そこは人間の自然な感覚の屠殺場であった。

あらゆるところで効率化の元、人間は機械やルールに完全に従順となり、逸脱者は冷ややかな目線をチラッと向けられ、そして存在が無に帰す。

そんな東京をGRで撮った。

ド田舎者に刺さる瞬間をスナップしたのである。

 

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例えば渋谷駅地下のグロテスクな階段に置かれたおしるこ缶。

なぜここに?そしてこの異質な物体がわりかし危険を呼び起こしそうなところに鎮座しているにも関わらず、都会人は石ころほどにも意識を向けることなく尋常ではない速さで歩いていく。

 

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あと駅構内にいる鳩の集団。

建造物の中に動物の群れがいることは、田舎ではありえない。

校庭で走り回る犬のような非日常の瞬間は、この妙なマッチングによりかき消される。

それにしてもこの写真は大好物である。

 

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東京、合理化と不自然の巣窟。

感情を押し殺して久しい都会人は、有象無象犇めく喧騒の中を、まるで無人の荒野を行くように歩いていく。

 

 

GR×ド田舎


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そして今度はド田舎、我が島根県である。

全県民集めても66万人、一地方都市の人口くらいが全都道府県19位の面積に散らばっている。世界屈指の少子高齢化地域であり、山村に行けば子供を見かけるよりイノシシを見つける方が簡単なリアルあつ森状態。

奥深い山と森林に覆われた中国山地には、炭焼きやたたら製鉄の名残を残し、限られた耕地面積と水源のために星屑のように散らばった集落が点在し、そして少しずつ蚕食されるように野生=自然に帰依している。

そんな秘境島根県だが、僕がGR片手に訪れたのはあの森山大道のルーツがある島根県大田市。

あの都会スナップの大家にして、日本写真界屈指の大物である森山大道はこのド田舎に因縁があるのだ。

魔窟新宿を根城に時代を切り取っていた森山大道が、まさか我が島根県に!

この事実を知った瞬間、GRを手に馳せ参じたのは言うまでもない。

 

宅野

森山大道の父の故郷、島根県邇摩郡仁摩町大字宅野村(現在/大田市仁摩町)

1987年夏、墓参りに立ち寄った際に撮影されたのがこの写真集だ。

なんと森山大道のお父様は僕と同郷だったのね!

 

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ということで訪れた。

 

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これ以上ないくらい森山大道のパク・・・リスペクトオマージュなスナップ写真。

東京と島根の対比は、まさに現代日本の縮図である。

大都会東京を維持するために、島根県から大量の若者が移住した。

もちろん、都会で居を構えた島根県産の子どもたちが故郷に帰ってくることはほぼない。

 

 


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そして東京はオリンピックをやるらしい。

島根では寂れた商店街や廃校が、かつて賑わっていたであろう面影すら失い、自然に帰っていく。

東京が生み出した富により、島根は過疎として森に返っていく。

僕が小学生だった頃にあった市の小学校は、もはや半分以下となった。

少しずつ腐ちていく田舎だが、僕は都会で住む気はさらさらない。

それはド田舎生まれだからなのか?

それとも普通の人間の感覚なのか?