FCバルセロナの聖地カンプ・ノウ、ネイマールの間近でサッカー観戦

3月26日

 

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6時、バルセロナはサンツ駅に降り立つ。

寒い。しかしついにきたバルセロナ

軍資金的に西ヨーロッパの都会は自殺行為なので、夫婦で絞りに絞り、力石みたいにカラッカラになってもまだ絞った結果残ったのがバルセロナだった。

多くの芸術家が生まれ愛したバルセロナは世界屈指の芸術都市でもあり、多くのサッカーファンを魅了するFCバルセロナの本拠地である。

ガウディ好きの嫁とサッカー好きの僕がここを選んだのは至極当然のことであったかもしれない。

 

 

地下鉄エンカンツ駅に向かい、Graffiti hotelに向かう。

サグラダファミリアから一駅、エンカンツ駅とスーパーマーケットも徒歩5分、そしてドミトリー格安の1泊7ユーロ。日本人の旅人に教えてもらった激安宿だ。

大都会バルセロナにおいて奇跡的な価格だが、その分お金のない若者が多いので夜中までうるさく、嫌というほどバルセロナの夜を満喫させてくれるというサービスもある。

荷物を置いてカタルーニャ広場へ歩いて行く。

 

 

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まさに芸術都市だ。

その辺の街角がピカソロートレックの作品で見たことありそうな風景。

古いゴシック建築に近代的なビル、そしてその間に何の前触れもなく突飛なデザインの建物がある。

古い街並みは世界にも多くあるが、街全体を芸術実験のキャンバスにしたような今にも爆発しそうなところはここにしかあるまい。

 

 

 

 

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カタルーニャ広場にたどり着く。

平日だというのにすごい人だ。この辺は王宮やカテドラルがあるゴシック地区とよばれており、巨大デパートからおしゃれなバルまであるバルセロナの中心である。

金もないのでショッピングなど何の興味もなく目指すはカタルーニャ広場横のインフォメーション。

さすがの観光都市でバルセロナはツーリストインフォメーションがしっかりしている。

インフォメーションではチケットの予約販売、フリーWIFIスマホタブレットの充電などができ、とても充実している。

まず買うのはバルセロナカード。これさえあれば公共交通機関は乗り放題、そして美術館やアクティビティがタダになったり割引してもらえる。

1~5日券まであり、その場で購入できる。

僕らは3日券を購入。一人42ユーロ。

結果としてガウディ詣でやかなりの美術館巡りをしないのであれば、地下鉄10回券を買ったほうが良いと思う。タダになる施設はカタルーニャ美術館やミロ美術館、ガウディ建築は1~3ユーロ割引くらい、ダリ美術館やピカソ美術館は割引なしなので、よっぽど周らない限りは必要ないかと思う。

ちなみに一部のレストランやフラメンコ鑑賞なども割引になる。

 

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そして次はFCバルセロナの観戦チケットだ。

なんせ聖地カンプ・ノウがすぐそこにあるのだから。考えてみれば、今自分がいる街にメッシやネイマールイニエスタなんかが住んでいるのだ。

本当はオンライン上で確認しながら買うのが良いのだが、日程が微妙だったので調べてもなかった。

レアルマドリードとの対戦であるクラシコチャンピオンズリーグなどではないかぎり、予約しなくても当日券で買えるらしいが、少し緊張しながら聞いてみた。

「あのぅ、カンプ・ノウでサッカー見るのが夢でして、日程とかどうなってますかね?」

「今晩です。」

「え??」

「20時キックオフですよ。」

なんて幸運!聞いてみたところ次回のカンプ・ノウでのホーム戦は2週間後だったらしいので危ないところであった。

問題は席だが結構なお値段がする。

最安は最上段ゴール側で19ユーロ、そこからゴール裏26ユーロなどが続き、ベンチではない方の中段席で50ユーロ以上、ベンチ側では100ユーロを超えるVIPルームまである。しかもクラシコになると値段がここからさらに跳ね上がるらしい。

せっかく来たのだから、なんとしても顔が見えるくらいの席に行きたい。

1ユーロ142円の嵐に中で迷いに迷う。

インフォメーションのお姉さんも苦渋に満ちたもはや苦虫のような顔の僕を見て察してくれたのかいろいろ教えてくれた。

「50ユーロまでの席ではすごく遠くて選手も小さいわ。おすすめはここね!」

52ユーロ席だ。コーナーキックエリア近くで中段より前に位置する。

「そ、そ、そこにします。」

万札が消し飛んだが夢のカンプ・ノウである。僕より熱烈なサッカーファンたちが大勢いる中、風呂あがりの「すぽると!」くらいでしかバルセロナを見かけない男と本田と長友くらいしか知らない嫁が聖地カンプ・ノウに降臨する。

支払いしようとしたら、財布がパクパク口を開けていた。

「金が・・・ない!」

なんとマドリードの空港でおろした280ユーロが消え去っていた。

バルセロナへの夜行バス代、そしてバルセロナカード3日券、FCバルセロナ観戦チケット、たった2日で4万以上が消え去った。スリかと思ったら使ってた。

「あのう、これだけ説明してもらって予約までしていただいたのに言いづらいんですけど・・・」

「どうしました?」

「2ユーロ足らん」

手持ちのドルで払おうとしたがダメらしい。ユーロの物価を舐めすぎた僕たちはドロボウさん対策でクレジットカードを宿の貴重品ボックスに厳重にお留守番させていた。

「わたしが貸してあげるわ」

哀れな日本人の旅人にインフォメーションお姉さんのクリスティーナは2ユーロ貸してくれた。インフォメーションで金借りるなんて一昔前なら映画「酔拳」のジャッキー・チェンみたいに素っ裸で吊るされて大笑いされてしまうところだ。

 

 

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金が無いままカテドラル周辺を散策。

スリが来ようとも何も恐れることはない。

カテドラル周辺は昔の大富豪たちの家が多く残っており、モダンな細い路地をたくさん作っている。

路地マニアとしてはたまらない。※後日、路地特集

 

 

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少し薄暗い路地は治安がよろしくないが、見ていてなぜか癒やされる。言うまでもなくバルセロナの路地はどこを切っても絵のような佇まいなのである。

 

 

 

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とても活気あるサンジュセッフ市場。

さすが食通をうならせるバルセロナ。肉も野菜も海鮮も豊富にある。ここにも麗しの生ハムが吊るされている。市場内のバルを眺めていると空腹で卒倒しそうになるので、急いで帰宅する。

 

 

初日見たガウディ作品は2つ。初日コースはこの2つを結んだ。

 

 

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カサ・カルベ

初めてのガウディ。嫁さん大興奮だ。

読書・映画・歴史好きの僕は世界中行きたいところだらけ。今まで行ったところは大体の歴史や話の筋くらいは知っていた。なので強制自動オーディオガイドとして嫁さんに熱く語っていた。嫁さんは全く趣味嗜好が逆なのでそういったものに興味はあまりないのだが、ガウディだけは思い入れ深いらしく今回は僕が解説の聞き役になる。

ガウディらしいグニャグニャしたデザインと配色でいきなり「天才だなあ」という凡人のありきたりな感想しか出てこなかった。

絵や写真と違い、建築を一から設計するということはどれほどの才力が必要なのだろう?

理数系さっぱりな僕はアーチの作り方の説明だけでのぼせてしまう。

ここはレストランとして営業している。これほどの文化財の中で食う飯の味は格別だろう。

 

 

 

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グエル邸

グエルはガウディのパトロンだ。超大富豪だったグエルはガウディの才能に惚れ込み、今のこる芸術的建造物を任せ、またバロセロナの芸術活動を引っ張った人物でもある。

そんな人の家なのだからこれまたグロテスクともいえる配色と装飾の数々。仕事を終えてこんな家に帰ったらますます疲れてしまいそうだ。

 

 

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宿に帰り、食事と風呂を済ませ万全の準備。

20時キックオフのFCバルセロナVSセルカの試合が僕達を待っている。

地下鉄でカンプ・ノウを目指す。

最寄りコインブランの駅から歩いているとちらほら青いユニフォームを着た人たちが。

バルセロナの人たちは試合開始15分前くらいにドバっと集まると聞いていたので1時間半前についたのだが、意外に人は多かった。

 

 

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ついにカンプ・ノウが目の前に。

巨大なメッシがこっちを見てニヤけている。

 

 

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グッズ売り場へ。屋外の方は安い。

ここで17ユーロのマフラーを購入。

 

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オフィシャルショップ内はすごい人混みとお値段。

まあ、当たり前か。バルセロナカードがあれば5%OFFで買い物ができる。

 

 

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ついに会場へ。

安チケットなので正面ゲート真裏まで歩き、ついに入場。

9万人も入る巨大なカンプ・ノウに飲み込まれた。

 

 

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フィールドまでとても近い。

 

 

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防犯対策で一眼を置いてきたことを悔やみ始める。

嫁さんのカメラで手ブレを必死に抑えながら撮影していると控え選手の練習が始まった。

 

 

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そしてついにレギュラー登場。

地面からうなりあがる歓声。

 

 

選手もかなり近くに見える。インフォメーションお姉さんがコーナーエリアでも一番中央寄りの席にしてくれた。

 

 

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熱狂的なファン軍団の歌にみんなが合わせる。

バルサバルサバルサ!!!!」

 

 

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ここでなぜか日本語がスクリーンに!

あとで調べるとメッシが日本の被災地の子どもたちを招待したとか。

ありがたい話である。子どもたちも一生の思い出だろう。ぼくもです。

 

 

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メッシとネイマールが間近で練習。

なぜか嫁も熱狂し始める。恐るべしカンプ・ノウ

選手紹介がはじまる。メッシやイニエスタが呼ばれると大歓声でスタジアムが震える。

 

 

 

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いよいよ試合開始。

前半バルセロナがこっちにむかって攻めてくる。

 

 

 

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ということは左サイドのネイマールが目前!!!

 

 

 

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間近で見るバルセロナのパス回し。

恐るべき速さと正確さだ。速すぎて目で追えない。

圧巻はメッシのドリブル。テレビではわからない超人感がひしひしと会場に伝わり拍手喝采。

キレッキレのドリブルでどこにボールがあるのかわからない。メッシに良いようにやられるDFをテレビで見て「トロくせえなあ」なんて言っていたが土下座して謝りたい。こりゃ無理だわ。

 

 

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開始6分でネイマールのゴール!!!!

メッシとイニエスタがDFラインを崩してネイマールが押し込んだ。

展開が早すぎて瞬きもできない。

 

 

 

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意外にバルセロナファンはおとなしかった。

フーリガンみたいなイメージですごくビビっていたが、日本の野球観戦に比べれば静かすぎるくらいだ。

でもブーイングはすごい。

 

 

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GKバルデスフリーキックをキャッチしたあとの着地で足を痛めたらしく、負傷交代。

あとでわかったが前十字靭帯断裂でワールドカップ絶望だとか。

 

 

メッシがこぼれ球を打ち込み2点目。その後も鬼のような容赦無い試合展開で前半のバルサのボールキープ率は7割以上だったと思う。

ハーフタイムにブラジルからきたネイマールファンのお姉さんたちと話したり、激混みのビール売り場を見に行く。

 

 

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後半は守備陣をじっくり見る。

鉄壁過ぎて中央でボールを制圧してしまうのであまり近くでは見れなかった。さすがだ。

 

 

変わって入ったGK。スーパーキャッチ連発ですごかったのだが、えらいおっちょこちょいで足元にボールがあるとテンパッていた。会場が爆笑。

 

 

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ネイマールが本日2点目を入れ、3-0の圧勝だった。

さすがの試合展開。バルセロナのパス回しとメッシのドリブルのすさまじい速さが体験できただけでも感動モノだった。

サッカー音痴な嫁さんも大喜びだったので、やはりスポーツは生にかぎる。

 

 

 

ここからが大変。

帰りが大渋滞だ。一気に何万人も動き出すのだからバスも地下鉄も車も大変な人でごちゃがえす。

地下鉄で帰ったのだが、来る時は15分で来れたのに一時間以上もかかってやっと帰宅した。

最寄りの駅より少し行ったところが地下鉄5番線始発駅となるので、そちらに向かって折り返してくるか、歩いてその駅まで行くほうが早いと思った。

 

 

夢だった欧州リーグ観戦、しかもカンプ・ノウ

これ以上ないシチュエーションに大感動の夜だった。

 

もちろん次の日は声が出なかった。