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tabing 世界一周

旅好きな夫婦が世界一周してきます。旅好きな人たちが集まるサイトです。

怪しいタンジェの街でバロウズを探して

5月2日

 

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居心地の良かったシャウエンをさすがに抜けだし、宿のおじさんから12時って聞いてたけど実は14時だったバスに2時間待って乗ってタンジェに着いた。2時間・・・

 

 

自由都市タンジェ(タンジール)

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自由都市というとSFのように聞こえるだろうが、ここタンジェは第2次世界世界大戦直後まさに小説のような怪しい雰囲気が立ち込めていた。

地中海にちょこっと出っ張ったタンジェは、運が良いやら悪いやらジブラルタルの反対側にある重要な要衝と認知されていた。ということで幾度も幾度も大国から狙われていたのだ。

第二次世界大戦直後のタンジェは大国の利権と欲望が絡みあい、国際管理地域なるへんてこな落とし所に落っこちなんと無国籍となった。タンジェは列強の植民地でもなければモロッコでもない台風の目のような街になった。

 

 

そんなタンジェの怪しい雰囲気を感じるためだけに、旅人が素通りしていく中わざわざ寄ったのだ。

そう、最近のタンジェはスペインとアフリカをつなぐフェリー乗り場としてしか利用されていないように思える。

我々がイメージするモロッコとはマラケシュとフェズとメルズーガなのだ。怪しい迷路のようなメディナサハラ砂漠。これこそモロッコ(一昔前は性転換手術のメッカ)

タンジェはそんなモロッコっぽさが一見ないように見える。

しかしそこにあるのは古いヨーロッパ風の街並みとモロッコの汚さ、そして怪しいモロッコ人。タンジェはモロッコの濃い部分が炙りだされたような場所なのだ。

街を行くととにかく汚い。迫ってくるのは麻薬を売りつける焦点の合ってないモロッコ人。地中海のネチャつく風と生臭い香りが狭い路地を吹き抜ける。

 

 

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タンジェは前述通り著名な芸術家が集う都市だった。

彼らを吸い寄せたのはタンジェという街の美しさ・・・ではなく人間の欲という欲のすべてが至極簡単に手に入る街だったからだ。無政府状態で街には国から追い出されたものや怪しい詐欺師に007みたいなスパイ、さらには逃亡中のナチス残党までいたとか。麻薬と女と男まで何でもあったこの街は、当時世界一刺激的で怪しい夢のディストピアだったのだろう。

 

ポール・ボウルズを始め、シャブ中のバロウズ、売り出し中のカポーティ、そしてやっぱりローリング・ストーンズなどなど一癖も二癖もあるメンバーがこの街で盛大にラリってたというんだから。

 

そんな面影を探してまずはねぐら探し。

ホテルパレス。ありきたりな名前の安宿は噂通りのタンジェっぽさ。汚い、臭い、安いという王道の安宿だがこの旅始まってこれほど2度と泊まりたくないと思わせてくれた宿はない。2泊したけど。

バロウズもこんな宿の隅っこでラリってたのかな?」なんて思いながら街に出る。

 

 

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タンジェのメディナはお馴染みの迷路が急勾配の坂の中にある。こんな急な道をラリった皆様が駆け抜けていたのかと思うと動悸がしてきた。

特にこれといって見るものはないので、迷路の中に身を投じる

 

 

 

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そこら中にカフェがあり、一日中おっさんたちが喧嘩しながらお茶している。モロッコでは1日に2回は喧嘩を見ることになるが、タンジェは2回どころではない。爺さん同士が額を付け合う勢いで罵り合い、若い兄ちゃんがガチンコの殴り合い、おば様が八百屋に食いかかる。

喧嘩を避けて坂を下るとアマトロ~ンな顔した兄ちゃんが白昼堂々

「ジャパニーズ!ハシシ!ハシシ!」とセールストーク。

「いや、僕ソッチのほう嗜みませんので」

「これはね~グッドクオリティなんだよ~」

「いや、だから僕タバコもしないお子ちゃまなんです。だから・・・」

「なんでだい?グッドクオリティだよ。すごいんだよこれ。いくらが良いんだい?いくらだい?」

と言いながらむっちゃフラフラしている兄ちゃんをけっこうな距離を仲良く散歩する。

兄ちゃんを振り切り(というか勝手に座り込んだ)、遠くジブラルタル海峡を臨みながら一人過去のタンジェの雰囲気を感じるのであった。

 

 

タンジェ情景

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プチソッコを少し出れば、新市街が見えてくる。

新市街は近代的できれいな街だ。メディナの中と、とても同じ街には思えない。

そんな新旧混ざり合ったタンジェは、近代的なビルの中をジュラバを着た爺さんがオレンジを売りながら歩き、古臭いメディナの中を背広を着たおっさんがアルファロメオで走り抜けていく。

 

日中、でっぷりした白人の団体ツアーが街を占拠する。彼らはその香水臭い巨体を、道の真中であろうがところ構わず座礁させる。それが団体様だ。彼らはタンジェの狭い道のあちこちで動脈硬化をひきおこす。それに群がるモロッコ商人も乗せて。

 

 

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夕暮れ、道行く人が少なくなってもタンジェの夜は眠らない。いたる所にあるカフェというカフェにおっさんたちが群れている。一杯のミントティーかコーヒーだけで、まるで泥酔しているかのようにわめき散らす。100m歩けば2件は喧嘩を見る喧騒が夜を包んでいく。

 

 

 

 

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怪しい雰囲気でお腹いっぱいになってきたので地中海へ。

遠くに霞んで見えるヨーロッパ。ナポレオンには申し訳ないが、こちらから見ればヨーロッパはヨーロッパだ。

 

 

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カスパはそそり立つ崖の上に立っている。

かつていろんな理由でここに辿り着いた荒くれ者たちはどんな気分であちらを眺めていたんだろう?

 

 

タンジェはまだ少しそんな雰囲気が残っていました。