着いて早々マドリードからバルセロナへ~生ハムを食いながら
3月25日
アルゼンチン航空のおばちゃんばかりのキャビンアテンダントにがっかりでなかなか眠れなかった。激しい揺れで目が覚めると、ユーラシア大陸に着地していた。
一応、日本と同じ大陸らしいのだがさっぱり実感はない。
8時間の時差でさっき起きたのにマドリードは16時。
EU入国は一瞬で終わり、その足でインフォメーションへ。
バルセロナに今日の夜行バスで向かいたかった。
バルセロナ行きの飛行機は何故かべらぼうに高く、マドリードから夜行バスで向かうのが最安と見たのだった。
その前にATMで初ユーロを下ろす。
出国時130円くらいだったユーロは142円にクラスチェンジしており、ワイマール共和国のお話かと思って涙を流した。
さすがは都会。
インフォメーションで聞くと空港内でバスのチケットが買えるらしい。
ターミナル4に移動し、バス会社で22時半初のバルセロナ行き夜行バスチケットを難なくゲット。幸先が良い。
物価が高いということは僕ら貧乏人は失敗ができないのだ。
バスに乗り遅れたりしようものなら、3日は絶食野宿くらいしないとお上に申し開きができない。
今回はバルセロナの安宿を抑えておいたので、26日には向かうべく周到に準備した。
マドリード最大バスターミナル。、アベニーダ・アメリカ・バスターミナルへ向かう。
空港バス停で200番のバスに乗り、終点まで待っておけば良い。2ユーロくらいなのでありがたい。
バスターミナルにつくとすぐにスーパーへ。
まずは物価チェック。ましてやヨーロッパ。物価が怖くて仕方がない。ユーロ高直撃の今や自炊をどううまくやるかが文字通り命運を握っている。
物価はというとパン、野菜、酒は日本より少し安い。あとは大体一緒だった。
そして、このスーパーで念願のアレに出会うことができた。
生ハム様だ。
スーパーのお肉コーナーにずらりと並ぶ豚の生足。日本の子供を連れてきたら泣き崩れるだろう光景だ。
僕らは南米でリャマやヤギのズル剥け生首に慣れているのでよだれしか出ない。
安いもので1キロ15ユーロから。
おじさんに一番安いのを100g頼んでみた。
「あいよ!」
といって長細いナイフで巧みにスライスしていくおじさま。もはや美しい。
熟練の大工のカンナ削りと同じ趣がある。
あんまりキラキラした目で見ていたからか、試食させてくれた。(普通にさせてくれる)
濃い!濃い!ブタちゃんが濃い!
獣臭さではなく、ブタ本来の味が口の中でとろける。絶妙なしょっぱさもたまらない。
最安の生ハムで大興奮している観光客を見て笑いながらも、おじさまはピタリと100gのハムを切り取った。
バスターミナル待ち時間にチーズと生ハムをいただく。
これをするためにスペインに来たんだ。ぜったい。
22時半、普通のバスが来た。
南米で豪華バスに慣れている身には少々きつい。
なかなか眠れなかった。
そして3月末のスペインは意外に寒かった。
オレンジ色に輝くイメージしか無かったけど、やっぱり冬は寒い。
全く揺れない久しぶりの道路をバスはスイスイ走っていった。