リマのバスターミナルは意外に快適&南米ファーストクラスバスの旅
1月23日
中米から南米へ。飛行機は一路ペルーを目指す。
機内食の巨大焼き鳥で久しぶりに食いごたえあるものを食べながら、リマ情報をチェックする。
リマはあまり治安がよろしくない。23時発6時着、一気に気温が20度近く上がるので、今のうちに予習しておく。
入国は至って優しく、特に質問もなかった。
税関を出ると早くもタクシーおじさん達がコンドルのように襲ってくる。
メキシコシティはほとんど客引きというものがなかったので、やっと旅をしているという気分になってきた。
一昨年、インドやベトナムの犯罪級の客引きを体験しているので、ここはまだ断り甲斐がある。
2階にあるインフォメーションへ。
予定ではリマに泊まらず、このまま北にあるワラスという町に行く予定だ。
嫁さんの腹の状態を鑑み、現地に行ってから決めようとなっていた。
どうやら大丈夫そうなので、このままバスに乗りたかったのだ。
しかし、ここで面倒臭いことがある。
リマはバスターミナルがないのだ。
旅人の母親的存在のバスターミナルがないのだ。
観光立国なのに何故なのだろう?
バス会社のオフィスに直々に向かい、そこでチケットを買い、そこから旅立つ。
だから比較ができないし、行ってみて売り切れや中止なんてこともある。※ネットで予約もできる。
非常に面倒だ。
バス会社はまとまってはいるが歩いて巡る距離感とは程遠い。
インフォメーションで聞いたところ、バス会社は「Cruz Del Sur」が良いと言われた。
これはネット調べでも同様だった。
Cruz Del Surは値段が高めだが安全で何より超リッチなバス旅ができるらしい。
今まで遠足バスみたいなのばかりだったので、リッチバスが気になる。
Cruz Del Surのオフィスまではタクシーで向かうことにした。
リムジンバスや普通の市バスの方が遥かに安いが、場所が場所だし何しろ眠たいのでタクシーで行くことに。
これまたインフォメーションで聞くとタクシーグリーンが良いと言われた。こちらもネット情報と同じだ。
群がる客引きを闘牛士のように交わしながらタクシーグリーンの窓口で。治安が少しでも怪しい国はできるだけ窓口やホテルでタクシーを呼んでもらったほうが良いのは鉄則である。
オフィスまでは40ソル。1500円くらい。
お金を支払うと客引きおじさん達は急にしらけて何処かへ舞っていった。
すぐに小太りの運転手がやってきた。
エアコン付きのヒュンダイのセダン。エアコン付きなんて快適だと喜んでいるのも束の間。おっさんはいきなりホテルやバス会社の勧誘を始めた。
雇われのくせに小遣い稼ぎかよ!と思ったが、なんせこちらはいつ路地に連れ込まれて素っ裸にされてしまうかわからない。
ここはスペイン語がワカリマセ~ン作戦で行こう。
おっさんはいろいろ言ってくるがこっちがワカリマセ~ンジェスチャーで菩薩の微笑みをかけていると
「英語はできるのか?」
と言ってきた。
「パンツに付いたクソぐらいなら。」
そう言った途端、何やら電話をかけ始め、すぐにNokiaのボロい携帯をよこした。
ボロい携帯は耳をつけるかつけまいかで、
「アミーゴ!」
嫌な予感だ。陽気な草刈正雄みたいな声が向こうでテンションマックスだ。
運転手は英語が出来る仲間を呼んだのだ。マドハンド軍団か。
今度は英語もワカリマセヌと対応したがかなりしつこい。
「どこに行くのか?」とか「今日は泊まったほうが良い。」とかいう質問攻めだ。ボロを出そうものなら巧みに足をすくわれる。
何度も運転手に携帯を返したり戻されたりの押し問答が続き、やっと諦めた。
車内に気不味さが走る。外は25度を越えるあったかさだが、車内はヒャダルコぐらい冷たい。
運転手の機嫌が悪くなり、運転も荒くなる。僕は平気な顔をしながら地図と時計の方位磁石で変な所に連れて行かれていないか監視中だ。
幸いおっさんは目的地まで連れて行ってくれた。
ちゃんとチップも払い、気不味さ満載のタクシーは渋滞の中に紛れ込んでいった。
Cruz Del Surに着くとすぐにチケットを買う。
ワラス行きは昼と夜の2便。8時間ほどかかる。
昼の便は到着が夜になるので夜行にすることに。夜行は22時半発。12時間も暇だが仕方ない。
だが、席はファーストクラスだ。
一人82ソルもする。4000円近い。飛行機では一家心中しても無理なファーストクラスだ。
それも評判高いCruz Del Surのファーストクラス。
これから何度もバスに乗るが、一度くらいはファーストクラスに乗ってみたかった。
短い区間ならファーストクラスも良いんじゃないか。飛行機で来たばかりだし。リマには泊まらなかったんだから宿代が浮いたと思えば・・・等々言い訳を山積みしてチケットを買う。
Cruz Del Surのオフィスの待合室はフードコートがあり、電源があり、WIFIまである。日本よりすごいではないか。すでにファーストクラスな待合室でこの旅初めての読書時間だ。メキシコシティは物価も高くドタバタしてしまったので、ゆっくりできる時間が無かった。せっかく持ってきた本やデータを楽しむことに。
昼過ぎにはどこか行こうかと思っていたが、面倒になりそのまま夜まで読書に耽る。
22時30分、ついにファーストクラスに乗車。
ファーストクラスは2階建てバスの1階だ。
猫バス並みのふかふかソファーが45度位まで下がる。178センチの僕が膝を少し曲げるくらいだからなんとも贅沢なスペースだ。
添乗員呼び出しボタン、WIFI、個人テレビなどなど至れり尽くせり。
距離が短いからと一番最初にファーストクラスに乗ってしまったが、これからのことを思うとちょっと失敗したかなとも思った。人間、上を知れば知るほど欲深くなる。
気づけば、海水浴場があるリマから一気に4000mほど急上昇するバスの中でも熟睡していた。