サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路とは
我々が今から行う「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼」をご存知だろうか?
これはキリスト教三大巡礼地(他:エルサレム・ローマ)であるサンティアゴ・デ・コンポステーラ(スペイン)を目指すことをいう。
日本でいう四国八十八ヶ所お遍路巡りのようなものだと思っていただければ良い。
この巡礼道自体が「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」として世界遺産登録されている。ちなみに「道」が世界遺産となっているのは、この巡礼路と日本の熊野古道だけである。
そんなサンティアゴ・デ・コンポステーラへの道を歩むとは一体どういうことをするのか?というのをまとめてみた。
1,サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路概要
キリスト教三大聖地の一つであるサンティアゴ・デ・コンポステーラには一体何があるのかというと
伝説によれば、イエスの十二使徒の一人聖ヤコブがエルサレムで殉教したあと、その遺骸はガリシアまで運ばれて埋葬されたとされる。813年、現在のサンティアゴ・デ・コンポステーラで、隠者ペラギウスは天使のお告げによりヤコブの墓があることを知らされ、星の光に導かれて司教と信者がヤコブの墓を発見したとされる。これを記念して墓の上に大聖堂が建てられた。
とあるように、イエスの使徒であるヤコブが埋葬されている。
この「奇跡」は、ちょうどイベリア半島にイスラム勢力が侵入している時期であったため、レコンキスタに大いに利用されることとなる。
ということで、殉教者であるヤコブが眠る聖地となったサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指して歩いた巡礼者たちの道が巡礼路となったのだった。
2,巡礼路ってどのくらいあるの?
地図を見た通り、そもそも巡礼路は一つではない。
今回は一番ポピュラーである「フランス人の道」を行く。
この道は一番利用者が多いため、後述する宿泊施設や道路の整備が充実している。
スタート地点はフランスのサンジャンピエドポー。スペインとの国境ピレネー山脈沿いにある街だ。
ここからだとサンティアゴ・デ・コンポステーラまでは約800㎞の道のりであり、平均1ヶ月~1ヶ月半ほどかかる。
3,巡礼の条件
まず巡礼の条件から知っておかなければならない。
その条件を達成して初めて巡礼証明書をもらうことができる。
・サンティアゴ巡礼道を徒歩または馬で100㎞以上歩いた人
・自転車で200㎞以上走った人
※ただしこの距離は最終地点サンティアゴからの通し計算なので、サンティアゴを含まない所を100㎞以上歩いても巡礼証明書はもらえない。
ということで最低でも上記の条件さえクリアすれば良い。
とくに期間は決まっていないので、何回かに分けて巡礼する人もいる。
また、キリスト教徒でなくとも参加できる。スポーツ感覚で参加する人もいるという。
4,巡礼の手順
まずクレデンシャル(身分証明書)をもらう。
巡礼路は決まったチェックポイントなどはなく、町にある巡礼宿でスタンプを押して貰う。そのスタンプを押して貰う台紙がクレデンシャルであり、これがないと巡礼宿(アルベルゲ)に泊めてもらえない。
このクレデンシャルに押してあるスタンプを見てその人が歩いた行程がわかるようになっているので、巡礼証明書を受け取る際にも必要になる。
クレデンシャルは教会や巡礼宿、インフォメーションなどで手に入る。
あとは通過する町々でスタンプを押して貰う。これをひたすらゴールであるサンティアゴ・デ・コンポステーラまで繰り返す。長大なスタンプラリーだ。
5,巡礼宿(アルベルゲ)とは?
教会が運営している公営なものと私営のものがある。
宿泊費は寄付であり公営だと5~15ユーロと西ヨーロッパの物価からすると格安で泊まることができる。
宿はいわゆるドミトリー式のベッドがずらっと並んだような施設が多い。ほとんどの宿で自炊も可能である。食事付きアルベルゲもある。
・門限が厳しい(朝8時には出立等)
・公営は先着順(歩行での巡礼者優先)
・連泊はできない
などの決まり事がある。
またバカンスシーズンである6~8月になると利用者が多く泊まれないこともある。
まとめ
ということで簡単に言うと長大なスタンプラリーである。
もちろん道中には荘厳な教会や北部スペインの美しい自然の風景がある。
そんな道をただひたすら1ヶ月以上もかけて歩き続ける我々は、果たしてサンティアゴ・デ・コンポステーラまで無事たどり着けるでしょうか???
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