結局、初めてのファミリーキャンプテントは何を買えばよいか。『4人家族』『程よく安い』『設営簡単』
前回の記事で述べたように、テントはとにかく種類が多く、また値段の幅が広くて選ぶのがとにかく大変!
経済的に余裕があるのならデザインなんかで選べるかもしれないが、我が家はもちろんコストパフォマンスが最優先である。
ということで、こういう高い買い物をする時の鉄則!
まずは自分たちが欲しい機能、優先する事項を挙げてみる。
- テント選びで譲れない項目
- ローベンス クロンダイク(7万円~10万円)
- テンマクデザイン CIRCUS 300ST(46800円)
- スノーピーク エントリーパック TT(53784円)
- その他、迷いに迷ったテントたち
- 最終決定は・・・
テント選びで譲れない項目
『4人家族用テント』
今は3人だが将来のことも考えて=余裕を持って6人用テント
『出せて5~8万』
安すぎず高けりゃ良いというものではないコスパラインを狙う=タープ別と考えるとこの辺が限界
『設営が簡単』
夫婦共に3段ボックスすら満足に作れない不器用者=とりあえず立てるだけなら簡単なワンポールテント
以上の3点は絶対譲れない項目だ。
よって「6人用ワンポールテント=8万円まで」というのが我が家のテントにふさわしいということになる。
他にも、「質感はコットンが良い」「あまり人と被らないものが良い」「軽量」などなど邪念が渦巻いたが、これらは物欲と見栄が生む副産物なので、宝くじが当たるか庭から石油が吹き出すまで胸の内に封印しておく。
では、そんなこんなで森羅万象調べまくった結果、食指が動いたテントたちを挙げてみる。
ローベンス クロンダイク(7万円~10万円)
いきなりの欧州モノ。
さっきまで言っていたコスパはどうしたのだろうか?
邪念の権化、コットンテントへの憧れは誰しもが持つだろう。
山岳テントを持っているが、あのナイロンっぽい質感はコスパ&使い勝手最高だが、どうも居住性は悪い。
だがコットン製は重く値段が高くカビやすい、まさに金持ちの余裕が無ければ維持できない。
しかしコットンテントを無理して買っても(もちろん手が出ないが)、結局雨や汚れに気を使いすぎてキャンプの醍醐味が薄れてしまうような気がした。なんせ我が家の二歳児は笑いながらジュースをぶちまける悪行を平然と行うのだから。
そんな中、この「ローベンス クロンダイク」はポリコットン製。
ポリコットン(T/C)とは、ポリエステルとコットンの良い所を合わせた素材。ポリエステルの撥水性や汚れへの強さ、そしてコットンの質感を併せ持つ二兎追う者が二兎得た感じの万能感。逆に言えば、コットンっぽい「感じ」と普通のテントより若干重い中途半端なモデルでもある。
クロンダイクは、「ノルディスク アスガルド」のようなベル型テントで、しかもフロアセットモデルなのに10万円と同レベルのモデルからするとかなり安い。
ノルディスクやテンティピなどの高級メーカーはフロアシートが別売りなものが多く、しかもそれが抜群に高い。
※「ノルディスク アスガルド 12.6用 ジップインフロア」=51840円
しかもクロンダイクは自分で海外から輸入すれば7万円台も夢ではない。
大きさは6人用で16.1kg。
ベル型テントが欲しかったのは、ワンポールテントにありがちな外縁部のデッドスペースが解消される事と、換気が良い事がある。
これにより、ワンポールテントの設営のしやすさと大人でも立てる高さに加え、床面も十分に使える居住性が加わる。
こりゃ人気が出るわけだ。
さらにクロンダイクに惹かれたのは、男子諸君が大好きな「煙突」が出せる通気孔が標準装備。
真冬キャンプなんて絶対しなさそうだが、男という生き物はこれに非常に弱い。
薪ストーブで温まりながらウイスキー(飲めない)をちびちびなんて男の中の男ではないか!
ということで、ローベンスのクロンダイクが第一候補として君臨した。
テンマクデザイン CIRCUS 300ST(46800円)
次は国産の雄「テンマクデザイン CIRCUS 300ST」
最近、非常に攻めたアイテムを産み出し、ヒット連発即完売だらけの国産メーカー。
デザインや機能面から、「テンマクデザイン CIRCUS TCサンド」が欲しかったのだが、フロアシート/グランドシートと一体型ではなく、別売りのシートもベルクロ等で密閉できないようなので見送り。寒いのが苦手なので。
大きさはまずまず。
もう一つ大きな「テンマクデザイン CIRCUS440」もあるが、こちらは区画サイトでの設営が厳しい様子。
「大は小を兼ねる」は大抵の場合有効だが、キャンプの場合、大きすぎるとオートサイトなどの区画が決まっている所では、設営が難しかったりはみ出してしまうことがあるので注意が必要。
テンマクデザインのテントは、かゆいところに手が届くようなアイデアが満載だ。
CIRCUS300STでは写真のように、風通しの良いベンチレーター+雨の日でも濡れにくい荷物渡し窓のように、機能的なアイデアを盛り込んでいる。
グランドシートにファスナーがついており、写真のように土間を作ることができる。こうすれば雨の日でも快適に利用ができ、そして薪ストーブも使いやすい。
またワンポールテントにはなかなか無い前室(入り口の庇)があるため、雨や汚れの侵入が防げるのも、子供がいるファミリーにはありがたい。
しかし、テントの素材はポリエステル 210D。その分、14kgと軽いのだが、耐水圧
フライシート1500mmと少し心細い。
スノーピーク エントリーパック TT(53784円)
しかし、この辺りで少し冷静になります。
「自分たちはガチ初心者なのだ」と。
これはあらゆる趣味初めに起きる最初のマリッジブルー的なやつである。
そんな時目にしたのが、あのスノーピークの青田買いモデル『スノーピーク エントリーパック TT』である。
これは本当に商売上手なスノーピークらしい商品。
ちょうど僕のように選択肢が多すぎて、疲れてきた時に衝動買してしまいそうな巧妙なセットである。
なんせ一番値段が高く種類が多いテントとタープがスノーピークお墨付きセットとなっているんだから、悩める子羊が簡単に罠に落ちていく素晴らしい戦略的商品。
初心者客を始めにスノーピークに触れさせ、さらに店舗に行けば小物もスノーピークで買っていくことだろう。
エントリーモデルともなれば、必ずその先がある。初心者がもしキャンプにハマれば、確実に上級モデルを探すであろう。そうなれば、「スノーピークで揃えたい」「スノーピークの道具を流用できるじゃないか」「スノーピーク率が多いと安物が目立つなあ」「プラチナ会員になりたい」・・・嗚呼スノーピーク無限地獄。
逆にキャンプが合わなくてすぐ辞めてしまった場合でも、スノーピークが初期投資額を回収できる。キャンプは初期投資が一番大きい。
気づけばダンケルクに追い込まれた英仏連合軍のような状況に陥れるスノーピークの戦略は、最強としか言いようがない。
エントリーパック TT プロモーション動画|Entry Pack TT PV
それでこの動画ですよ。
かなり心が動かされた。
なんせスノーピーク製品のテントとタープセットで、5万円ちょい。
レビューを見ても、ほぼ高評価でコスパ最強との声も。
多すぎる選択肢を投げ出したい気持ち、誰かに決めてもらったほうが楽だという現実逃避、「初心者だしスノーピークさんが言うなら」という安心感、あえてエントリーモデルと名付けたスノーピークの戦略が深慮遠謀すぎる!
たぶん、初心者と自認し、手堅くステップアップしつつも、もしもの撤退リスクを想定している堅実な人には絶対こちらがオススメだ。
少人数でも使いやすい大きさ、テントとタープが個別に使える、セカンドテントにも最適な設定、まさに拡張性=伸び代しかない恐ろしいテントセットである。
その他、迷いに迷ったテントたち
急に自信が無くなった結果、登山でお世話になりまくってるモンベルにしようかなと誘惑される。こういうときこそ、ブランド力が発揮されるのだ。
僕はモンベルが世界最強コスパのアウトドアメーカーだと思っている。
ムーンライトテントは、設営簡単なのに雨や風に強く割と安いというまさしくモンベルらしい機能が備わっている。
名前は月明かりでも設営できるからムーンライトだとか。う~んモンベルらしいセンスだ。
でもやっぱり形が好みのティピーテントは捨てがたい。
ワンポールで立てられるのは本当に魅力的だ。
そこで国産に舞い戻り、ピルツに心が揺らぐ。
だけどシングルウォールというのがネックだ。結露の恐怖は登山でも身に沁みている。
でもシングルウォールならではの軽さは非常に気になる。
その他、もう考えるのが嫌になって定番中の定番コールマンに気移りしたり、謎の「あえて」が発動しカマボコテントを調べてみたり、最後には気が狂い始めてカーカムスやテンティピを海外サイトで探してみたり・・・
最終決定は・・・
これになりました。
おそらくほとんどの人が知らないテント『UJack(ユージャック) Desert 450』
このテントはまさに考えつくされた隙間需要テント。
満足感と機能性を両立しながらコスパよしモデルの全容はまた次回!
謎のスペックはこちら
↑次回「UJack Desert450レビューと設営方法」
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キャンプ装備を一式揃えるといくらになるのか?を実践!
超初心者向けキャンプ道具の選び方「テント編」
キャンプを始めようと思う。
子供も大きくなってきたので、夫婦共に念願の家族キャンプを行うことに。
登山や世界一周でかなりハードな生活をしてきた我々にとっては、若干舐めていた「キャンプ」
だが、その奥深さと金のかかり方に度肝を抜かれたのであった。
そんなキャンプ道具の選び方を学ぶため、死ぬほど本やインターネットの海を彷徨ったので、ここに簡潔にまとめておく。
テントの選び方
肝心要のテントは非常に癖のある道具である。
種類、用途、そして金額、多種多様すぎるのである。
とにかく玉石混交で選ぶのが大変であり、おそらく一番高い買い物になるので、選ぶ目安を学んでみた。
ドーム型テント
一番ポピュラーなテント。
メリット
【風に強く結露しにくい】
丸形で天上が低いので風に強く、フライシート(テントの上にかぶせるシート)があるモデルだと結露しにくい。
結露とは、真夏に冷たいジュースが入った缶を放置しておくと付く水滴だと思えばわかりやすい。寒暖差があると発生しやすく、ひどい場合テント内がビチョビチョになる。登山でテント泊する人にはおなじみである。
テントの上にフライシートをかぶせることで、二層構造となるので結露が生じにくくなる。
【設営しやすい】
ポールを交差させて設営する。
そこまで難しくはないと言われるが、個人的にはポールの扱いが面倒ではある。
ペグ打ちが少ない。
【安い】
入門モデルに多く、安いものが多い。
デメリット
【天井が低い】
設営しやすさ、風への耐久性と引き換えに、天井が低い。
【キャンプサイトで腐るほど乱立している】
入門モデルということで、キャンプサイトに行くとかなり多いらしい。
人と違ったものが良いという人にはあまりおすすめできない。
代表的なモデル
ツールームテント
ドーム型テント+スクリーンタープ
メリット
【居住性最高!】
ドーム型テントを延長してスクリーンタープ(網戸みたいなもの)を引っ付けたもの。
なので、虫や暑さを防ぎ、快適に過ごすことができる。
また寒い時期は、タープを閉めれば外気を遮断し、暖かく過ごすこともできる。
店舗で見たが、まさに家であった。
突然の雨などにも対応しやすく、プライバシーも守られる。
【タープが要らない】
普通、テント+タープ(シートを立てて屋根のように使う)というのが基本的なキャンプスタイル。
ツールームテントの場合、テントとタープがセットになっているため、タープを改めて買う必要はない。またしっかり連結されているものが多く、居室との移動も楽チンで雨なども入りにくい。
デメリット
【設営・持ち運びが大変】
写真のスノーピーク ランドロックは少し大げさだが、とにかくデカいため設営が大変。
大人数で協力して行うなら良いが、不器用な僕のような人には確実に無理だと思う。
ランドロック=22kgと、重量もそれなりのものになる。オートサイトなら良いが、手軽に持ち運びするのは難しい。
代表的なモデル
ワンポールテント
テントの真ん中にポールを立ち上げるインディアンっぽいテント
メリット
【設営が簡単】
テントを一つのポールで立たせるため、とにかく立てるだけなら非常に楽チン。
ペグ打ちは多いが、かなり大きなテントでも一人で立てることができる。
【天井が高い】
高いものなら3~4mもある高い天井。
ベンチレーター(換気用窓)が多いモデルなら風抜けも良い。
天井から煙突を出せるモデルも有り、冬季キャンプにも向いている。
デメリット
【デッドスペースが多い】
真ん中にポールがあるため、そこは活用できない。
また△の形状なので外縁部は狭く、荷物を置くくらいしか利用できない。
最近は外縁部だけ立ち上がるモデルが人気(ベルテント)
【前室が無い】
前室とは、テント入り口にあるスペースで、ドーム型などは簡単な庇(ひさし)がついている。
ワンポールテント(特にティピーテント)は、入り口に庇が無いので、雨が降った時は中が濡れてしまう/靴の置き場がないなどの問題がある。
代表的なモデル
その他のテント
コットンテント
最近流行りといえばコットンテント。
テントの型の種類ではなく、テント生地がコットンのもの。
コットンは昔ながらの素材だが、高級感と温かみのある白色でインスタばえするらしく大人気。雨にもまあまあ強く、結露しにくい。火にも強く、焚き火やストーブと相性が良い。
だがインスタでは見えないデメリットとして、非常に値段が高い&重い、カビが生えやすいなどを忘れてはいけない。
TC素材(ポリコットン)というコットンとポリエステルの良いとこ取りの生地があり、こちらが扱いやすく口コミ評判が良い。
カマボコテント
寝室やリビングを自由に設定できる。
例えば、「人数が多い時は3分の2をリビングにする」といったような自由度の高さが人気。
設営も簡単で、最近大人気。
テントの選び方の目安
ざっと有名所は紹介したので、ここからは選び方を調べた結果をまとめてみよう。
テントの大きさ=予定人数+2人
メーカーによって広さの感覚に違いはあるが、概ね予定人数より2人足したくらいが丁度よい。
荷物を入れたり、子供が走り回ることも踏まえた上で計算する。
テントはただ寝るだけと割り切るのであれば、狭いモデルでもよいだろう。
設営のしやすさor居住性
不器用だと自認する人は、設営が簡単だと言われているテントにする方が良い。
友人のテント設営を手伝ってみたが、不器用で空間認知能力に問題がある僕のような人間にとっては非常に難易度が高い。
慣れてしまえばどうということはないらしいが、あまりにも設営に労力を感じてしまえば、せっかく買ったのにキャンプに行くのが億劫になってしまう可能性が高い。
逆に器用な人や子供が大きくてかつ手伝ってくれるのならば、設営が大変=居住性が良いということなので、一概に悪いというわけではない。
拡張性
テントは一年を通して利用するのが難しい。
夏季は虫や暑さ対策、冬季は結露対策やストーブの導入など、季節によって求められる機能が全然違う。
真冬や真夏にキャンプをするのはそもそもハードルが高いが、より広いシーズンを網羅できるテントであればあるほど使いやすい。
逆に、夏は夏用、冬は冬用と、専門性の高いテントを2種類買うという手もある。
このように、テントはある程度拡張性を考えないといけない。
最近の流行
最近は、今まで述べてきたテントの活用をガラッと変えるスタイルが増えている。
代表例のカンガルースタイルは、大きなタープの中に小さなテントを設営する。
これであれば、大きなタープを立てれば好きなレイアウトでキャンプができるし、雨や寒さなども防ぐことができる。
今までは重い荷物を運び、巨大なテントやタープを使うのが当たり前になっていたが、最近の流行はミニマムで自由なキャンプのようだ。
たしかに荷物が少なく軽いのは、誰にとっても良いはずだ。しかし、その分デメリットとして快適性を落としているものもあるので、ここの所は上級者向けであるとは思う。
でもやっぱり値段
なんといっても結局は金である。
初心者モデルなら2万円代で、普通のキャンプなら十分なものもある。
逆に、最近流行のグランピング的な豪華さとインスタばえを兼ねるモデルだと、10万円は軽く越えてしまう。
コールマンやキャプテンスタッグのような低価格ながらしっかりしたメーカーもあれば、スノーピークや小川キャンパルのような良質な国産メーカー、さらにはノルディスクやヒルバーグやテンティピのような超高級メーカーまで。
だが初心者の場合、テントにいくら賭けるかは非常に難題だ。なんせ自分がどのくらいキャンプにのめり込めるか不明瞭であるのだから。
A「初心者だからと割り切って初めは安物を買って、その後の展開は実際行ってから決める」
B「安物買いの銭失いにならないよう、初めからある程度拡張性もある良いテントを買っておく」
この2択はあらゆる趣味において究極の難題である。
Aの場合、もしキャンプが合わないと感じた場合の損失は小さい。もちろん友人に借りたり、レンタルをしてみるのが最も良い方法だが。
だが様々な経験上、初心者モデルの安いものは慣れるのは早いが飽きるのも早い。そして各メーカーは必ず上級モデルが欲しくなるような仕掛けをたくさん盛り込んでいる。
Bの場合は、もしキャンプにガッツリハマった場合は最高の選択だ。なんせ初めから欲しかったモデルを手にすることができる。初心者モデルといえどテントはやはり高い買い物。その分を高いテントに回してしまえば、お得感はある。
だが、こちらも経験上慣れてくるともっと欲しいものが出てくる。各メーカーは必ずそんな罠を仕込んでいるのだ。
もちろんキャンプが合わなかった場合、悲劇が訪れる。が、大人気モデルならメルカリヤフオクで売れば傷は小さくてすむ場合もあるが。
結局の所、資本主義経済に雁字搦めの日本において、その最も先鋭化した部分が「趣味」のカテゴリーなのは言うまでもない。カメラマニアは超高額なレンズを買い続け、オーディオマニアは1m10万円のケーブルを手にする、そう、数多くの趣味の沼に溺れた僕が言うのだから間違いない。
よって金額は冷静な奥さんに決めてもらおう(笑)
まとめ
テントの種類と選ぶ目安をまとめてみた。
セオリー通りに行くと、「初心者モデルで全て揃え、経験を積んでその都度自分のレベルに合ったものを買っていく」というのが鉄則なのは誰にでも分かる。
だが、そうはいかんのだ!人間はせっかちで身分不相応な物に価値を認める。マルクスが言ったとおり、我々は商品の奴隷なのである。
そして忙しい日本人には時間というのは非常に貴重だ。キャンプなんて週末にしか行けないし、初心者で冬や真夏は厳しい。そうこうしている内に、子供が大きくなったり、仕事がますます忙しくなったり、体力が衰えたり・・・なんて理由で結局何もできないまま時間だけが過ぎていく。
ああ、そんな事になってしまってよいのだろうか?
そう、テントを買おう!
ということで、実際に購入したテントまでの険しい道はこちらから
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登山の前に読むと世界が広がるオススメ本
登山を趣味にして10年近く。
ただ山に登るだけでも十分楽しいのだが、少し世界を広げてみると、今まで見過ごしてきた大きな発見がある。
それほど登山とは奥が深いのである。
ということで、今回は登山の前に読むと世界が広がるオススメ本を紹介してみる。
地学~なぜ山ができるのか?
「ブラタモリのように、地形のことがわかると登山も楽しいだろうなあ~」と、思ったことがある登山趣味家は大勢いるのではないだろうか?
たしかに槍ヶ岳のような尖った山もあれば、九州の火山のような草木の少ないなだらかな山もある。
では、その違いは何なのか?というか、どうやってこの山はできたのか?
そんな疑問に答えるのは地学しか無い。
山はどうしてできるのか―ダイナミックな地球科学入門 (ブルーバックス)
- 作者: 藤岡換太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
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あたりまえのように「そこにある」山は、いつ、どのようにしてできたのか──。あなたはこの問いに正しく答えられますか?
実は「山ができる理由」は古来から、地質学者たちの大きな論争のテーマでした。山の成因には、地球科学のエッセンスがぎっしりと詰まっているのです。
本書を読めば、なにげなく踏んでいる大地の見え方が変わってくることでしょう。(ブルーバックス・2012)
理系人間御用達であったブルーバックスシリーズだが、最近は地学の素晴らしい本がたくさん出ている。
中でも藤岡換太郎先生の著作は、超絶文系の僕でもとても面白く読めた。
難解なプレートテクトニクスから、火山のでき方などなど、山がどのようにできるのか?がわかりやすく書かれている。
例えば、火山はどのようにできるのか?と聞かれたら、「地下のマグマが~」と答えるだろう。
ではなぜそのマグマが「そこ」にあるのか?
ここにもちゃんと答えがある。それがわかると、日本の火山が列を成していることにも納得するだろう。
「山はどうしてできるのか」は、地学超初心者でもわかりやすく、登山中にも役立つ知識が盛りだくさんとなっている。
その他の地学オススメ本
NHKスペシャル 列島誕生 ジオ・ジャパン 激動の日本列島 誕生の物語
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こちらはNHKで放送され好評だった「列島誕生」の詳細本。
山の成り立ち以上にダイナミックな日本列島の誕生を知れば、とりあえず丹沢に行きたくなるだろう(笑)
三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち (ブルーバックス)
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山の成り立ちよりもさらに深い、3つの岩石を中心に地球の成り立ちまで紐解いた名著。
もちろんこの3つの岩石は、山の構成物質である。槍ヶ岳がなぜあのように尖っているのか?高山植物が咲き乱れている山とそうでない山の違いがあるのはなぜか?などなど、山の疑問に答えてくれる。
運動生理学~なぜ山でバテるのか?
最近、三十路を越えたあたりから、山で異常に疲れてしまうようになった。
もともと運動音痴ではあったが、唯一登山だけは人並みにはできたにもかかわらずである。
加齢による体力の低下はあるだろうが、でも三浦雄一郎のように高齢でもエベレスト登山してしまう人がいるのでそれは言い訳にはならない。
なぜ山で疲れるのか?が分かれば、トレーニングの目安や装備や食料の対策ができるはずだ!と思ってこの本を手に取った。
たとえば、ある山に登ろう、と決心したとき、体力はどれくらい必要で、水と食料はどれくらい持って行けばいいのか。
体力とは自動車のエンジンのようなもので、自分のエンジンが大型なのか小型なのかを理解しておくことも大切だ。さらに、山の気温はどれくらいで、衣服はどれほど持って行けばいいのか。食料、水はどうか。これらを余分に持って行きたくなるが、荷物が重くなると登山どころではなくなってしまう。
本書は、このような問いに答えるべく、登山というスポーツを環境・運動生理学の立場から科学的に解説したものである。実験データに基づいた、無理のない登山術を紹介する。
ということでまたブルーバックス!
今回は、運動生理学から紐解いた『バテない』登山の仕方と準備について。
巷の登山本を見ても、登り方や装備の選び方、食事の取り方が書かれているが、深読みするとただの経験則だったり、登山という環境には適さない一般論だったりする。
この本は、運動生理学的にエビデンスがしっかりあり、実際に実験された内容が化学式多めで書かれている。
ちょっと難解な部分も多いが、細かい計算は抜きで見ても十分登山でのバテ対策になる。
体力に応じた適切な登山ペースとは?水分・栄養補給の必要量はどのくらい?効果的なトレーニング方法は?といった疑問に、具体的に答えてくれているので、自分の若さだけで乗り切っていた弾丸登山の反省と戒めになった。
そしてこの本のせいで心拍計付きのスマートウォッチを購入してしまった(汗)
疲労はピーク近くなるまで意外と実感しにくい。特に集中していたり、時間に追われていたりすると尚更だ。
そんな時は、本書にあるように心拍数を確認することで、実際の運動負荷を知ることができる。そこからペースを調整すれば、バテずに登山が続けられるというわけだ。
もちろんこれには栄養や水分摂取のタイミングなども重要になってくる。
少々難しい本ではあるが、バテずに登山することは安全にもつながるので、登山する人にはぜひ読んでほしい本だ。
その他の運動生理学オススメ本
GO WILD 野生の体を取り戻せ! 科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス
- 作者: ジョンJ.レイティ,リチャード・マニング,野中香方子
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2014/12/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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こちらは人間の生活や運動について書かれたベストセラー。
現代の生活が如何に人間らしくないか、また現代人の食べる物が如何に体に良くないかが書かれている。
登山をする人は自然で体を動かすのが好きな人がほとんどだろうが、なぜあなたが山に向かうのかがわかってしまう結構刺激の強い本でもある。
大雑把に言うと、「人間は狩猟採集生活に適応するようできている」ということだ。そこから運動や食事、ライフスタイルを見直すよう諭してくれる。この中では、トレイルランニングや登山についても詳しく書かれているので、登山趣味家には頷ける内容が多い。
この本についてはまた深く掘り下げてみたい。
山病本~なぜ人は山に惹かれるのか?
割とお固い本が多かったが、ここからは山の危険や山に取り憑かれた人間を描いた名著を挙げてみよう!
遭難本といえばこちら。
世界でも最難関といわれる中国のミニヤコンカで遭難した松田宏也の手記。
数ある遭難本でも屈指の極限状態であり、著者の幻覚が詳細に描かれているので非常に怖い。
ミニヤコンカ登山のアタック隊であった松田は、頂上付近で遭難してしまう。しかもあろうことか、ベースキャンプにいた仲間たちはすでに遭難死したものと思い、装備どころか取り付けていたロープまで撤収してしまう。
酷い凍傷と極度の疲労の中でも何とか下山していく松田は、キャンプや荷物がデポしてあった地点にたどり着く度にこの事実が突きつけられる。
これは遭難本をいろいろ読んだ中でも、一番心が折れてしまいそうな状況だ。
題名にもあるように、このような極限状況でも、人間は強い意志で打ち勝つことができた。その闘いはとにかく凄まじいので一見の価値あり。
個人的には昔の単行本の表紙のほうが好きですね。
他にも超人山野井夫婦の遭難を描いたノンフィクション「凍」、山に取り憑かれた男といえば「狼は帰らず アルピニスト・森田勝の生と死」、この三冊を読めばきっとますます登山にハマっていきます!
K2を登頂したような大登山家が、なぜか今、サバイバル登山をしている。
サバイバル登山とは、最低限の装備と食料を背負い、あとは山中で狩猟採集しながら生きる事をいう。
服部文祥先生は、銃とテンカラと野生動植物の知識を武器に、山でサバイバルして生きるのだ。現代人が忘れていた人間本来の生き方がそこにある。
鹿を撃ち、その場で捌く。残酷なようにも思うが、我々がスーパーで買うパック入りの肉は全く同一である。要するに現代人はそういったことを金で済ましているのだ。
サバイバル登山は、もはや哲学の世界に入ろうとしているが、とにかく刺激的な本なので一度手に取ってもらいたい。
登山装備はハイスペックになってきているが、その分失ったものもあるわけだ。登山について非常に考えさせられる本でもある。
でもモグラは食えないと思う(笑)
まとめ
登山は自然を相手にしている。
そのため、世界は無限に近いほど広い。科学的に分析することもできるし、精神的に取り入ることもできる。
ただ登山するのも良いことだが、少し(というかだいぶ)違って視点を持つことで、さらにその奥深さを感じることができるだろう。
わかろうとするのは簡単だが、その広さに閉口するのは意外に難しくもある。
なぜこんなに山の本を読んでいるかというと、この酷暑と休みが取れなかったせいで鬱屈しているからである!
この秋は絶対テント担いで山に行くぞ!
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