「ULTIMATE DIRECTION SJ RACE VEST 2.0」と「mont-bell クロスランナーパック15」を比較レビュー
トレイルランニングザックって種類が多すぎて選ぶのが大変ですよね。
かくいう僕も、気付けば同じサイズ感のザックを2つも買ってしまうというトレランギア沼に陥っています。
今回は『ULTIMATE DIRECTION SJ RACE VEST 2.0』と『モンベル クロスランナーパック15』を比較レビューしてみます。
- ULTIMATE DIRECTION SJ RACE VEST 2.0
- mont-bell クロスランナーパック15
- 「SJ RACE VEST 2.0」と「クロスランナーパック15」を比較レビュー
- それぞれに適した利用方法
- まとめ
ULTIMATE DIRECTION SJ RACE VEST 2.0
[アルティメイトディレクション] ULTIMATE DIRECTION SJ RACE VEST 2.0(Size M) 80458314-M - (GM)
- 出版社/メーカー: ULTIMATE DIRECTION
- メディア: スポーツ用品
- この商品を含むブログを見る
ハイドレーションパックを生み出すなどトレランザックの革命児「ULTIMATE DIRECTION」のシグネチャーモデル。
シグネチャーモデルとは、伝説的トレイルランナーと共に開発したトレランザックで、世界規模の大会でも通用するプロ仕様ながら初心者でも扱いやすいと高評価レビューされています。
この「ULTIMATE DIRECTION SJ RACE VEST 2.0」は、SJ=スコット・ジュレクのこだわりによって誕生したモデルです。
そう、あのスコット・ジュレク!『BORN TO RUN』に登場しているあのスコット・ジュレク!
彼の著作やライフスタイルに憧れてトレイルランニングを始めた人も多いでしょう。
僕もそのうちの一人ですけど。
まあトレランザックのストーリーはこの辺にしておいて、製品レビューしてみます。
サイズ=H:30cm × W:23cm × D:6cm
適用胴囲=SM:58~84cm、MD:79~99cm、 LG:91~112cm
容量=7リットル
重量=付属ボトル容量:0.6リットル×2 、 ボトルを除く重量:310g
素材=ヘックスメッシュ、パワーストレッチメッシュ、シルナイロン66
参考定価:21,060円
ご覧の通り、めちゃくちゃポケットがあります。
どれもスコット・ジュレクこだわりのかゆいところに手が届く設定になっています。
ショルダーハーネスにあるボトルポケットは付属の0.6Lボトルが入ります。
ゴムでしっかり閉められるので、500mlペットボトルや行動食を入れても飛び出すことはないです。
ポケットは筒状に補強されておりしっかりした作り。けっこうここがポイントで、トレランザックのボトルポケットはナイロン系素材で補強されていないことが多く、安定感がないものが多いです。
ポケットが柔らかすぎると、下りを勢いよく走っているときなんかに縦揺れでボトルがかなり動くのがけっこうストレスですが、SJ RACE VEST 2.0はそれが無いですね。
あと見えづらいですが、ボトルポケット両サイドに小さなポケットが付いています。
ジェルや小物入れに使えます。
ショルダーハーネスには他にもポケットがこんなにたくさん!
行動食やゴミを入れたり、スマホや地図を入れたりも可能。
特に脇下にあるジッパー付きポケットはかなり便利。
トレイルランニング中はかなり激しい動きなので、ジッパー付きポケットがあれば落とし物もせずに安心して走れます。
5インチのスマホも入るので、行動中に写真を撮ったり、GPS地図を確認しやすいのも助かります。
購入理由の一位は、チェストストラップにあるT-Hookでサイズ調整ができること。
ストラップ両サイドにあるレール上で固定位置を動かせるので、自分に最適なフィット感を得ることが出来ます。
公式サイトでは下部のストラップを肋骨下側に合わせるとジャストフィットになると書いてありますが、個人的に荷物の量やトレイルによってその都度調整したいので非常に助かりますね。
けっこう他のトレランザックは、ザック自体のサイズが合っていても、肝心のチェストストラップが合わないなんてことがあります。特に海外メーカーだと、日本人の体格に合っていないことも。
トレランザックは走ってみないとフィット感がわかりにくいものが多いですが、T-Hookのサイズ調整機能があれば後悔は少ないと思います。
背面はメイン収納、装備を締め付けて固定するバンジーコードがあります。
コードやベルクロ等のサイズ調整も簡単にできます。
まあなんといってもデザインですね。
派手さはないですが、カッコいいの一言。
メイン収納は横からアクセス可能でどこに入れていてもすばやく取り出しやすいです。上からだけだと、重なっていたり底の方にある装備が取り出しにくかったりするので、この辺は良く考えているなあという印象。
背面部はパワーメッシュ素材になっており、通気性良く全然蒸れません。しかも柔軟性あるメッシュなので、強度もしっかりあります。
ハイドレーションは嫌いなのでレビューなしです。
Ultimate Direction: Scott Jurek Ultra Vest 2.0
とにかく多機能なので、動画を見た方がわかりやすいです。
スコット・ジュレク御本人の解説も御覧ください。
mont-bell クロスランナーパック15
みんな大好きコスパ世界最強mont-bellのトレランザック。
素材=本体:30デニール・バリスティック®ナイロン・リップストップ、背面:3Dメッシュ
重量=340g
容量=15L(高さ46×幅33×奥行き14cm)
ショルダーハーネス部のボトルポケットはジッパー付きになっており、ボトル以外の物を入れる時は写真のように薄い状態になります。
ポケットの中に小さいポケットがある2層構造になっています。
ボトル(0.6L)を入れるとこんな感じに。
ゴム性のボトルストッパーが付いているので、ボトル上部を写真のように締め付ければ飛び出しにくいです。
しかし支柱がなく柔らかいのでけっこう揺れます。ボトル専用ではないので、ボトルの形状によっては入りにくく、取り出しにくい場合も。
水分補給はハイドレーションかソフトフラスクという人、もしくはショルダーハーネス部に重いものを入れたくない人は良いと思います。
サイドポケットは袋状になっています。
サッと取り出しやすい形状で、揺れにくくなっています。
ジッパーなどしっかり入り口を止める形状ではないので、落とし物には注意。
背面はバンジーコード付きです。
下部のコンプレッションコードで荷物の揺れを抑えるよう調整も可能。
メイン収納はさすが15Lの大容量。
ジッパー付きポケットもあります。
背面にはハイドレーションパックが入ります。
ハイドレーションパックは引っ掛けるタイプですね。
こちらも背面はメッシュ生地なので通気性は良いです。
再背部にもジッパー付きポケットあり。
メイン収納は3層に分かれています。用途や使用頻度に合わせてパッキングが可能です。
「SJ RACE VEST 2.0」と「クロスランナーパック15」を比較レビュー
それでは両製品を比較レビューしてみます。
容量が違うので、「mont-bell クロスランナーパック15→7L」モデルとして比較します。
「モンベル クロスランナーパック 7」も試着したことがあるので、製品比較ということでご覧ください。
揺れにくさ
トレランザックは、どんなに使い勝手が良くても、どんなにフィット感があっても、どんなにかっこよくても、ぶらんぶらん揺れてしまっては話になりません。
揺れにくさでいうと、「ULTIMATE DIRECTION SJ RACE VEST 2.0」の圧勝です。
収納を前面や脇下部に分け、メイン収納を平たくし背中上部に配置しているので、本当に揺れません。
さらにチェストストラップにあるT-Hookでサイズ調整すれば、ジャストフィットになるので前面の揺れも気になりません。
またハーネスなどに支柱があるので安定性が高いです。支柱を入れると重くなりますが、登山用バックパックがフレーム入りなことでも分かる通り、安定性や荷物重量の分散が効率的になります。
「mont-bell クロスランナーパック」はナイロン系の素材で支柱が殆ど無いので、荷物が多いと左右の揺れを感じます。
メイン収納が深いので、パッキングをうまく行わなければかなり揺れます。
全体的にナイロン系生地とメッシュのハーネスなので、安定性は弱いです。その分、ザック容量の割に軽量です。
パッキング
揺れにくさと対象的に、こちらは「mont-bell クロスランナーパック」が良いです。
3層に分かれたメイン収納は用途別に使え、伸縮性もあるので見た目以上に入ります。
メイン収納は揺れやすいですが、登山パッキング同様、重い物を上・背面にパッキングすれば安定性は増します。
ハイドレーションパックを利用するのであれば、ショルダーハーネスのポケットはジッパー付き2層構造なので使い勝手が良いです。
「ULTIMATE DIRECTION SJ RACE VEST 2.0」は平たい形状で伸縮性に乏しいので、パッキングし辛いです。前面の収納をうまく使いこなす必要があります。その分、取り出しやすいのでザックをいちいち降ろさなくて済む便利さはあります。
用途でいうと「ULTIMATE DIRECTION SJ RACE VEST 2.0」は、レース向け・ザックを降ろさすにトレイルランニングに集中したい人向け。
「mont-bell クロスランナーパック」は、装備が多い人に向いています。
レインジャケットやツェルトなどの天候や気温対策装備、エマージェンシーキットなどの安全装備を多めに持っていく人はこちらが良いでしょう。
長距離、天候が変わりやすい季節・地域、クライミングなどの他アクティビィティを併用する人などなど装備が多くなる傾向の人向けです。
山頂でカップラーメンやコーヒーを堪能するための軽量ストーブセットなどトレイルランニング+αを楽しむ人にもおすすめです。
フィット感
結局のところ「ULTIMATE DIRECTION SJ RACE VEST 2.0」を買い足したわけなんですけど、それはこのフィット感が理由です。
「mont-bell クロスランナーパック」もある程度調整できますが、やはりしっくりこない感じがありました。
トレイルランニングのように激しく揺れるスポーツなので、ザックのフィット感がかなり重要です。
僕はかなり華奢な割に身長が高いので大体サイズが合いにくい特殊なタイプなのですが、「mont-bell クロスランナーパック」だとチェストストラップの位置が気になりました。
「ULTIMATE DIRECTION SJ RACE VEST 2.0」はフィットしやすい構造もありますが、チェストストラップの調整可能なところは本当にすごいです。
15kmほど山を駆けずりましたが、ほとんど気になりませんでした。
デザイン
mont-bellにそれを求めたらアカン!
気になる点
「ULTIMATE DIRECTION SJ RACE VEST 2.0」はやはり値段。
定価21,600円!mont-bellなら50Lクラスのテント泊用バックパック買えますからね。
クロスランナーパックは15Lでも9,300円+税なのですが、この価格差以上の(あくまでも)機能的な価値があるかは微妙です。
なので価格面からみても玄人向きなトレランザックだといえます。
「mont-bell クロスランナーパック15」は全体的にナイロン系の生地で覆われているので、カサカサ、シャカシャカと擦れ音がけっこうします。
まだ転倒などもないのでわかりませんが、耐久性も若干不安です。30デニール・バリスティックナイロンとはいえ、ナイロン袋っぽくもあるので枝に引っかかったりしたらちょっと怖いですね。
でもおかげで丸洗いできます。ジッパーなどが汗で腐食しないように、使い終わったら水をバシャーっとかけるだけなのでメンテナンスは楽ちんです。
それぞれに適した利用方法
[アルティメイトディレクション] ULTIMATE DIRECTION SJ RACE VEST 2.0(Size M) 80458314-M - (GM)
- 出版社/メーカー: ULTIMATE DIRECTION
- メディア: スポーツ用品
- この商品を含むブログを見る
・トレイルランニングレースに出場したい人
・走行中にザックを下ろしたりするのが手間なくらい走り回る人
・フィット感や安定性を求める人
とにかく『走り』に特化したモデルで、走行中の些細なストレスまで配慮したさすがスコット・ジュレクの名が付くトレランザックです。
揺れがなく、腕回しがしやすいので、マラソンの練習用にも最適です。
・トレイルランニング初心者
・トレイルランニング+αを楽しみたい人
・登山やハイキングにも使いたい人
mont-bellらしいコスパ最高の汎用性が高いトレランザックです。
トレイルランニング初心者でも求めやすい価格で、標準以上の機能があります。
登山経験が少ない人は自ずと装備も増えると思うので、収納力がありパッキングで詰め込みやすいのは良いでしょう。また天候が怪しいときなど、普段より荷物が増えそうなときにもおすすめです。
15Lサイズであれば軽量ストーブとクッカーなども十分入るので、山を楽しむトレイルランニングでも使えますし、日帰り登山やハイキングでも軽量のため使い勝手が良いです。
僕はこの2つのトレランザックを用途で使い分ける予定です。
「ULTIMATE DIRECTION SJ RACE VEST 2.0」は慣れたトレイルやタイムを測る時に利用し、「mont-bell クロスランナーパック15」は日帰り登山や友人とトレイルランニングする時にコーヒーセットを持っていく時に使います。
そもそも登山などの自然の中で行うアクティビティは、用途別に特化した装備を使い分けするので、この2つのトレランザックがあれば大抵はカバーできると思います。
まとめ
そんなこんなで結局散財!
スコット・ジュレクの名が付けば買わずにはおれないでしょう(T_T)
ずっと欲しかったんですけど、旧モデルバーゲンで安くなっていたのでポチりました。
ということでまた我が家にギアが仲間入り。嫁さんには「何が違うのかわからん」といわれました。「沼は細部に宿る」とだけ伝えておきました。
トレイルランニングの記事がこちら。
大山くらいしか山がないと思われがちな中国山地ですが、トレイルランニングと意外に相性が良いです。
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